著者
向 脩 川村 勇気 川喜田 雅則 竹内 純一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.471, pp.193-198, 2015-02-23

近年,インターネットにおいてボットと呼ばれるマルウェアに感染した端末群(ボットネット)により起こされる被害が大きな問題になっている.濱崎らは,同一のボットネットに属するホストは同期してパケットを送信するという特性(協調性)を利用した検出手法を提案した.この手法では,スパースな協調関係を推定するアルゴリズムであるglassoによりホスト間の協調関係を逐次的に推定し,協調関係の変化を捉えることによってボットネットの検出を行う.濱崎らの手法には問題点が二点あった.一点目は,ボットネットが活動していない時間のアラート(フォールスアラート)が多数観測されることである.この問題を解決するために,本研究では,移動平均を用いてアラートを上げる手法を実装した.二点目は,ボットネットが活動している時間帯は推定できても,ボットとして活動しているホスト群を推定することはできないことである.この問題をホスト間の協調関係を可視化することにより,解決する手法を提案する.さらに,これらの提案手法によって発見できた最近の事例を紹介する.
著者
竹内 純一 萬 淳一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.46, pp.57-58, 1993-03-01

通常N次正方行列の積を計算するには,2N^3回の浮動小数点演算が必要となるが,1969年にV.Strassenは,分割統治法(divide and conqure)という方略を再帰的に適用することにより,4.7N^<2.81>回の浮動小数点演算で行列積が求められることを示した.このアルゴリズムは計算量のオーダを下げるが,係数が増加するため行列のサイズがある程度大きくないと実際には計算量が減らない.また,アルゴリズムが自然なものに比べ複雑であり,誤差の点で不利であること等の理由から,ほとんど実用に供されることがなかった.しかしながら,近年計算機のハードウェアが発達し,大規模な行列の演算が実用的な時間で計算出来るようになるとともに,実用化される例が現れている.こうしたことから,NECのスーバーコンピュータSX-3上でも,Starassenのアルゴリズムをインプリメントしてみた.一般に,SX-3のようなベクトル計算機の場合,行列のサイズが小さいとベクトル化の利点が活かしにくいため,演算速度が下がる.このため,行列を小行列に分割して計算するStrassenのアルゴリズムでは,必要な演算量を減らしても実行時間が減るとは限らない.しかしながら,評価実験の結果,Strrassenのアルゴリズムにより,行列積の演算時間が最大約15%削減されることが分かった,特に2048次の行列では,見かけ上約5.9GFLOPSの演算速度を達成した.また,誤差の面でも実用上問題が無いことが分かった.
著者
竹内 純一 高橋 規一 實松 豊 川端 勉 川喜田 雅則 香田 徹
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

機械学習,情報理論,およびそれらの応用に関する諸課題について,記述長最小原理に基づく統一的視点のもとに研究を行った.特に,Markovモデルの幾何学的構造と確率的複雑度の関係,通信路容量と確率的複雑度の関係について考察し新たな知見を得た.また,アンサンブル学習等に関して考察し,効率的アルゴリズムや推定法を提案した.さらに,これら基礎的知見に基づき,ネットワークセキュリティにおけるインシデント検知,ポートフォリオ(分散投資戦略),超解像などについて,新たな学習手法を提案し,その有効性を示した.