著者
寺田 喜朗
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.369-396, 2014-09-30

本論は、日本の新宗教における幸福観とその追求法を示し、その神義論的な特質を明らかにすることを目的とする。その際、新宗教の救済観・世界観は基本的に同一構造だとする生命主義的救済観を参照軸に据え、教導システムを注視しながら論述を進める。資料的には、主要な教団の言説を中心に、新新宗教に分類される教団にも論及を加える。検討の結果、新宗教には合理的に体系化された神義論が共有されていることが確認された。一、心を磨き、正しい生き方に努め、清浄・無垢な人間の本性に立ち返り、二、実際生活で教えを実行し、他者へ積極的に働きかけ、真理を宣布し、世の中の役に立つ行いを重ねる過程で、三、超越者から「おかげ」「功徳」を得、四、幸福な生活を享受することが可能になる、という世界観があり、超越者の力にすがるだけでなく、倫理的な実践と生活の規律化が幸福享受の要件となっていることが明らかとなった。
著者
寺田 喜朗
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.369-396, 2014-09-30 (Released:2017-07-14)

本論は、日本の新宗教における幸福観とその追求法を示し、その神義論的な特質を明らかにすることを目的とする。その際、新宗教の救済観・世界観は基本的に同一構造だとする生命主義的救済観を参照軸に据え、教導システムを注視しながら論述を進める。資料的には、主要な教団の言説を中心に、新新宗教に分類される教団にも論及を加える。検討の結果、新宗教には合理的に体系化された神義論が共有されていることが確認された。一、心を磨き、正しい生き方に努め、清浄・無垢な人間の本性に立ち返り、二、実際生活で教えを実行し、他者へ積極的に働きかけ、真理を宣布し、世の中の役に立つ行いを重ねる過程で、三、超越者から「おかげ」「功徳」を得、四、幸福な生活を享受することが可能になる、という世界観があり、超越者の力にすがるだけでなく、倫理的な実践と生活の規律化が幸福享受の要件となっていることが明らかとなった。