著者
塚田 穂高
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.67-90, 2009-06-06 (Released:2017-07-18)

近・現代日本の救済宗教において、ナショナリズムとユニヴァーサリズムがどのような形で存在しているのか。本稿では、2つの「新新宗教」-「真光」と「幸福の科学」の世界観ないし教えにおけるナショナリズムの論理を解明するとともに、特に90年代初頭という国際社会・日本社会の転換期・変動期に、同時代の宗教運動がどのような反応を示したかを見ていく。すなわち「新新宗教」が「時代社会論」であるかの検証の意義を持つ。分析の結果、真光は、『竹内文書』と通底する霊的な日本中心主義・人類日本起源説・天皇統治説といった起源神話をそのナショナリズムの中核としており、それが先進国・国際貢献といった時代意識と結合することで「霊的貢献」という宗教ナショナリズムが形成されていた。他方、幸福の科学は、経済的優位性と高級諸霊の存在に裏打ちされた選民・使命意識が、90年代初頭の国際情勢に反応する形で醸成された、独自の宗教ナショナリズムを有していた。
著者
塚田 穂高
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.111-126, 2019-06-08 (Released:2021-06-05)
参考文献数
35

戦後日本社会において、「宗教」概念や「宗教と政治」についての認識がどのように構築され、浸透していったのかを捉える際、数々の政教分離訴訟の積み重なりは重要なフィールドと言える。本稿では、愛媛玉串料訴訟――愛媛県知事が靖国神社の祭礼などに「玉串料」などを公金から支出していたのが憲法違反ではないかと問われた――のケース(1982年提訴)を取り上げる。同訴訟は従来、憲法学の領域から最高裁における政教分離に関する戦後初の違憲判断がくだされた重要判例として着目されていた。本稿では、その背景と経緯、そして判決の余波に至る一連の経過を分析の俎上に乗せる。分析の結果、同訴訟が靖国神社問題と政教分離訴訟の一連の流れのなかで生起したこと、裁判のなかで「宗教」ないし「宗教と政治」をめぐる複数の概念と視角が錯綜したこと、判決が各陣営や領域に現実的影響をもたらしたことを明らかにする。
著者
塚田 穂高
出版者
「宗教と社会」学会
雑誌
宗教と社会 (ISSN:13424726)
巻号頁・発行日
no.15, pp.67-90, 2009-06-06

近・現代日本の救済宗教において、ナショナリズムとユニヴァーサリズムがどのような形で存在しているのか。本稿では、2つの「新新宗教」-「真光」と「幸福の科学」の世界観ないし教えにおけるナショナリズムの論理を解明するとともに、特に90年代初頭という国際社会・日本社会の転換期・変動期に、同時代の宗教運動がどのような反応を示したかを見ていく。すなわち「新新宗教」が「時代社会論」であるかの検証の意義を持つ。分析の結果、真光は、『竹内文書』と通底する霊的な日本中心主義・人類日本起源説・天皇統治説といった起源神話をそのナショナリズムの中核としており、それが先進国・国際貢献といった時代意識と結合することで「霊的貢献」という宗教ナショナリズムが形成されていた。他方、幸福の科学は、経済的優位性と高級諸霊の存在に裏打ちされた選民・使命意識が、90年代初頭の国際情勢に反応する形で醸成された、独自の宗教ナショナリズムを有していた。
著者
吉永 進一 平野 直子 塚田 穂高
出版者
舞鶴工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本科研では、明治末期より昭和初期にかけて全盛を迎えた民間の精神療法(あるいは霊術)について、同時代における身体技法の世界的な流行、国家主義的運動との関わりという両面から研究を行った。前者では桑原俊郎による催眠術の呪術化、ニューソートやラマチャラカのヨガ呼吸法の流入、後者では井上哲次郎による儒教の近代化、静坐法などの修養の流行という系譜を分析した。これらを元に田中守平の太霊道についての研究を進め、他方では臼井甕男の霊気療法、三井甲之のタナスエの道、そして現在のレイキヒーリングに至る歴史を明らかにした。また、その成果はIAHR(国際宗教史学会)を含む国内外の学会で発表された。
著者
塚田 穂高
出版者
東京大学
巻号頁・発行日
2013

審査委員会委員 : (主査)東京大学教授 島薗 進, 創価大学教授 中野 毅, 関西学院大学教授 對馬 路人, 東京学芸大学教授 藤井 健志, 仏教大学准教授 大谷 栄一