著者
山本 光璋 前田 敏博 小倉 久直 井上 昌次郎 佐藤 俊輔 武者 利光
出版者
東北大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1992

本総合研究では、まず班員全員により、生体1/fゆらぎ現象についてレビューを行い、続いて代表者を中心として、ネコの心拍リズムの長時間計測と解析、さらには、脳単一ニューロン活動の計測と解析を行い、その結果について討論してきた。1.これまでに知られているあらゆる生体信号における1/fゆらぎ現象のサーベイをまず行った。細胞レベルでは、下等動物の神経系における自発発射や軸索中のインパルス伝導、ネコの脳単一ニュロン活動のレム睡眠時における1/fゆらぎ、器官のレベルでは、最も典型的な心拍リズム、血圧、呼吸リズム、瞳孔径及び焦点調節、自律神経活動、α波の周波数ゆらぎ、さらに個体レベルでは、身体動揺やヒトの手による拍子とりリズム、これら広範囲にわたる生体現象に1/fゆらぎ現象がみられることを再確認した。周波数範囲は現象により異なるが、10^<-5>から10Hzの帯域に及ぶ。2.これらの生体1/fゆらぎ現象における最も重要な関心事は、その低周波限界である。ヒトの心拍リズムでは、10^<-1>Hz以下10^<-4>から10^<-5>Hzまで1/fゆらぎがみられるこいうことが経験的に知られてきた。10^<-5>Hzとは約一日のタイムスケールに相当する。本研究では、ネコを用いた長時間心拍記録実験が中心的に行われた。3.ネコの心臓に直接電極を取り付け、連続4日間にわたる計測を異なる条件下で3回成功させた。その結果、10^<-4>Hzまで大枠としては、1/fスペクトル特性を示すことが確認された。また、連続6日間(144時間)にわたって行った記録実験の結果では、10^<-5>〜10^<-4>Hzの帯域に於いて、スペクトルは平坦化する傾向を見せた。スペクトルの低域での平坦化傾向は、ネコが有限の大きさのケージ内で、外界と遮断されたことにより行動が抑制され、心拍リズムの超低周波成分が減弱したものと推測された。ネコの脳単一ニューロン活動については、レム睡眠時における1/fゆらぎがエピソードを越えて一貫したものであることが示され、これがホップフィールド型の相互結合型ニューラルネットワークモデルのダイナミクスとして説明することが示された。また、確率過程として見たときの1/fゆらぎ現象の新しい解釈が与えられ、今後の数理的な研究の基礎固めができた。
著者
中山 純一 宮下 豊勝 赤木 伸弘 小倉 久直 吉田 靖夫 相馬 敬司
出版者
電子通信学会
雑誌
電子通信学会論文誌 B (ISSN:03736105)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.p93-100, 1979-02

本論文では著者らが先に電波・超音波ホログラフィの新しい方法として提案したホログラムマトリクスによる2次元映像法について述べている。ホログラムマトリクスは従来のホログラフィとは異なり、より要素的な情報を含んでいるため、計算機で合成した送信・受信の両ビームの焦点を同一点に合わせる共焦点再生処理が可能で高い分解能が得られる。送信アレーと受信アレーを直交に配置すれば、送・受信の両ビームが標的領域内ではほぼ直交するため、2波長程度の高分解能が得られることを理論的に示す。 次に、超音波実験を行い、種々のモデル標的の再生象を示している。実験より得られた像は、標的の数が多くなければほぼ理論値に近い分解能をもつ良好なものであった。又、アレーの各チャンネルの位相・振幅の補正の効果についても検討を加えている。