著者
水野 一枝 水野 康 山本 光璋 松浦 倫子 松尾 藍 岩田 有史 白川 修一郎
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.63, no.7, pp.391-397, 2012

Eleven healthy male subjects slept from 13:30 to 15:30 under ambient temperature and humidity maintained at 29℃ and RH70%, using polyurethane foam mattresses (U) and camel mattresses (C). A polysomnography,skin temperature (Tsk), microclimate, bed climate, and subjective sensations were obtained. The rapid eye movement sleep (REM) in the first hour for the U significantly increased compared to that for the C. The leg, arm, and mean Tsks for the C significantly increased compared to those for the U during the later segment of sleep. The microclimate humidity significantly increased, while the microclimate temperature and bed climate significantly increased during the later segment of sleep. The subjective humid sensation and the requirement for decreasing the mattress temperature significantly increased in U compared to the C. These results suggest that bed mattress material can increase the subjective humid sensation and the requirement for decreasing mattress temperature by 1) increasing the bed climate and microclimate temperature and humidity, and 2) changing the REM distribution.
著者
山本 光璋 前田 敏博 小倉 久直 井上 昌次郎 佐藤 俊輔 武者 利光
出版者
東北大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1992

本総合研究では、まず班員全員により、生体1/fゆらぎ現象についてレビューを行い、続いて代表者を中心として、ネコの心拍リズムの長時間計測と解析、さらには、脳単一ニューロン活動の計測と解析を行い、その結果について討論してきた。1.これまでに知られているあらゆる生体信号における1/fゆらぎ現象のサーベイをまず行った。細胞レベルでは、下等動物の神経系における自発発射や軸索中のインパルス伝導、ネコの脳単一ニュロン活動のレム睡眠時における1/fゆらぎ、器官のレベルでは、最も典型的な心拍リズム、血圧、呼吸リズム、瞳孔径及び焦点調節、自律神経活動、α波の周波数ゆらぎ、さらに個体レベルでは、身体動揺やヒトの手による拍子とりリズム、これら広範囲にわたる生体現象に1/fゆらぎ現象がみられることを再確認した。周波数範囲は現象により異なるが、10^<-5>から10Hzの帯域に及ぶ。2.これらの生体1/fゆらぎ現象における最も重要な関心事は、その低周波限界である。ヒトの心拍リズムでは、10^<-1>Hz以下10^<-4>から10^<-5>Hzまで1/fゆらぎがみられるこいうことが経験的に知られてきた。10^<-5>Hzとは約一日のタイムスケールに相当する。本研究では、ネコを用いた長時間心拍記録実験が中心的に行われた。3.ネコの心臓に直接電極を取り付け、連続4日間にわたる計測を異なる条件下で3回成功させた。その結果、10^<-4>Hzまで大枠としては、1/fスペクトル特性を示すことが確認された。また、連続6日間(144時間)にわたって行った記録実験の結果では、10^<-5>〜10^<-4>Hzの帯域に於いて、スペクトルは平坦化する傾向を見せた。スペクトルの低域での平坦化傾向は、ネコが有限の大きさのケージ内で、外界と遮断されたことにより行動が抑制され、心拍リズムの超低周波成分が減弱したものと推測された。ネコの脳単一ニューロン活動については、レム睡眠時における1/fゆらぎがエピソードを越えて一貫したものであることが示され、これがホップフィールド型の相互結合型ニューラルネットワークモデルのダイナミクスとして説明することが示された。また、確率過程として見たときの1/fゆらぎ現象の新しい解釈が与えられ、今後の数理的な研究の基礎固めができた。
著者
中浜 博 山本 光璋 相川 貞男 小暮 久也 熊澤 孝朗 森 健次郎
出版者
東北大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1987

本システムの実用化に向けて、皮膚温センサとして採用した皿型センサの安定性評価というハ-ド的な検討を行うとともに、時間法による痛覚閾値測定法および反復輻射熱刺激法の評価というソフト的な検討を行った。さらに、実際に健常者に対する痛覚閾値の基礎デ-タ収集、各種疼痛患者に対する測定をはじめとする各種応用の検討がなされた。以下に、主な研究成果を示す。(1)本システムを用いた輻射熱刺激では被刺激部位の皮膚表面温度分布は釣り鐘型であるが、採用した2mmφの皿型センサ-では0.5mmの設定立置ずれに対しても最大0.3℃程度の測定誤差であることが示された。(2)心療内科領域における各種疼痛患者、痛みの無い心因性疾患者などにおける測定から、背景病態心理別に異なった痛反応時間パタ-ンを有することが示され、器質性の痛みと心因性の痛みの差異が示唆された。(3)異なる刺激強度で時間法による痛覚閾値測定を行った結果、最高到達温度に対する感覚および情動的ビジュアルアナログ得点にベキ関数が適合することが示唆された。(4)身体各部で痛覚閾値を測定し、部位差の影響を調べた結果、測定部位の反膚温度が閾値パラメ-タに影響を与える場合があることが示された。従って、測定結果の評価には測定部位の温度を考慮する必要がある。(5)各種血管拡張薬の末梢への投与による痛覚閾値の変化が測定された。(6)反復輻射熱刺激法による二次痛の測定の可能性が示された。(7)SMON患者において熱痛覚閾値の測定を行った結果、健常者に比較し痛覚閾値が有意に高い部位があることが認められた。また脊髄髄節域でみた場合、遠位部での閾値の上昇が顕著である例が示された。(8)全身麻酔下での痛覚閾値測定の応用が検討された。
著者
坂井 秀樹 中尾 光之 本堂 毅 山本 光璋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.94, no.350, pp.73-80, 1994-11-18

外的同調時はもとより、時間的手がかりを取り去ったフリーラン環境下においても体温リズムと睡眠-覚醒リズムの間には規則的な関係が存在することが知られている。本稿では、これらの現象を統一的に理解するために、我々が新しく構築したサーカディアンシステムモデルのダイナミクスについて述べる。このモデルは2つの写像で構成されており、1つは体温リズムに対する就寝位相を決定する写像で、もう1つは起床位相を決定するものである。そのダイナミクスは1つの分岐パラメータで決定され、外的同調時から内的脱調時における睡眠-覚醒リズムの多様な振舞いが分岐現象として解釈できることが示された。
著者
米田 徹 水谷 好成 中尾 光之 山本 光璋
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.98, no.400, pp.7-12, 1998-11-17

痛み認知の脳内処理機構を知る手がかりを得るために, 電気的な痛み刺激と非痛み刺激に対する事象関連電位を測定した。第3の刺激として新奇刺激を加えたオドボール課題を行った。標準刺激(80%)と標的刺激(12%)は非痛み刺激で、それぞれ人差し指と掌外側に与えた。新奇刺激(8%)は小指に与え、痛みまたは非痛み感覚を誘発する。痛みを伴う新奇刺激に対するP300成分のピークの振幅は痛みを伴わない新奇刺激に比べ大きく、潜時も早くなる傾向が見られた。この結果は, 痛み刺激の方が非痛み刺激より新奇性が強く、意識レベルを大きく変調する可能性を示している。