著者
小原 久治
出版者
富山大学日本海経済研究所
雑誌
研究年報, 富山大学日本海経済研究所 (ISSN:03851958)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.39-99, 1993-03

この小論の目的は,地場産業・産地とその産地中小企業の活動が地域経済といかなる経済的連関を持ち,地場産業・産地の再生や振興,ひいては地域経済の発展にいかなる役割を果たしているかについて明らかにしようとすることである。その場合,産業組織論や中小企業論の分析方法を地場産業・産地の現状分析と政策分析に適用して方法論的叙述を試みるとともに,代表的な地場産業・産地への実地踏査に基づく具体的事例を示すことによって明らかにしようとした。
著者
小原 久治
出版者
富山大学日本海経済研究所
雑誌
研究年報, 富山大学日本海経済研究所 (ISSN:03851958)
巻号頁・発行日
vol.17, pp.55-74, 1992-03

小論の目的は,パシネッテイの所得分配理論(パシネッテイ・モデル)の帰結を端的に表象した「パシネッティ定理」を解釈し,その理論構造について吟味検討することによって,パシネッテイ・モデルの修正と拡充を図った所得分配モデルを構築する点にある。
著者
小原 久治
出版者
富山大学
雑誌
富山大学紀要. 富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.26-52, 1976-07

この小論は,巨視的分配理論がいかなる基本的な理論構造によって構成されているか,について考察することを目的としている。この考察は,まだ完全に発展した決定的な巨視的分配理論が存在していない現状では,巨視的分配理論の立論の基礎・接近方法・分析方法,さらには,その理論構造・合意および批判,そして,新しい分配理論に対して第1次的接近を行なうための新しい展開,などにあたって役に立つことであると考える。小論においては,その全体を通じて次のような仮定を設ける。まず最初に,国家(ここでは一般政府の意味である。)の経済活動と外国貿易の存在を捨象する。投資支出と国民所得はともに純概念であるものとする。減価償却費と補填投資は同じものとみなしている。貨幣的側面を無視し利子率は一定であり,貨幣の供給は十分に弾力的であるとする。さらに,所得の機能的分配の決定要因に関する分析は定常経済に限定するため,ケインズ派分配理論の動学的分析を説明することは除外しなければならない。
著者
小原 久治
出版者
富山大学経済学部
雑誌
富山大学紀要.富大経済論集 (ISSN:02863642)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.329-388, 1987-03

小論では,国内で製造された医薬品(国産の医薬品,外国の医薬品関連企業が開発した医薬品を国内で製造したもの)や輸入医薬品が,いかなる流通チャネルの中で,特に卸売段階においてどのように流通しているかを明らかにする。この場合,戦後における医薬品卸売業者の卸業権確立の歩みを簡略に辿った上で,戦後における医薬品の卸流通の特色を明らかにし,医薬品の流通チャネルの現状を踏まえながら,医薬品の流通体制における卸薬業界の現状と動向を把握し,そこに内在する今後の問題点ないし課題を摘出することによって,医薬品の卸流通を明らかにする。卸薬業界は薬務行政と医療行政の影響を直接受け,卸薬業界や個々の卸売業者ないし卸企業を取り巻く経営環境は,一段と厳しくなってきている。この点に関する説明も医薬品の生産,小売流通,薬価設定などと並んで重要なことである。現在の医療・薬務行政は行政主導型で行われているから,医薬品の卸に深く関連する行政措置・施策と卸薬業界を含めた薬業界全体の自主的な方策や施策に触れながら,卸企業の生き残りの危機と卸経営の環境の厳しさについてまずまとめておかなければならないと考える。