著者
伊集院 俊郎 石堂 康弘 八尋 雄平 廣津 匡隆 栫 博則 瀬戸口 啓夫 中條 正典 福倉 良彦 小宮 節郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.737-740, 2014-09-25 (Released:2014-11-11)
参考文献数
19

梨状筋症候群は,明らかな画像所見を伴わないことが多く,診断に苦慮することが多い.腰椎椎間板ヘルニアや神経症状を呈する骨盤内腫瘍など,他の疾患の除外も必要である.我々は,坐骨神経の解剖学的破格が原因であった2例を経験した.一例は,術前に解剖学的破格が推定できなかったが,もう一例は,術前にMRI検査でT2強調画像と拡散強調画像の融合画像により,術前に梨状筋・坐骨神経ともに2分しているBeaton分類B型の解剖学的破格を診断することが可能であった.梨状筋症候群は,坐骨神経の破格を伴うことも少なくなく,診断には他の疾患の除外診断とともに,特徴的な理学所見の有無,慎重な画像診断による解剖学的破格の有無を予測することが診断の一助となる.
著者
眞田 雅人 俵積田 裕紀 佐久間 大輔 本木下 亮 高橋 健吾 松山 金寛 前田 昌隆 東郷 泰久 小倉 雅 藤井 康成 永野 聡 小宮 節郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.661-663, 2017-09-25 (Released:2017-12-14)
参考文献数
3

今回我々は,巨大な痛風結節を生じ,手術加療を要した症例を経験したので報告する.症例は37歳男性.20歳の時に痛風と診断された.度々痛風発作があったが放置.今回全身の関節に腫脹疼痛があり,手指の把握困難,起立歩行困難のため入院となった.四肢関節,特に両肘,両膝,左母趾には巨大な皮下腫瘤を認めた.両膝の関節液より尿酸Na結晶が検出され痛風関節炎と診断した.約2週間保存的に加療し全身痛は改善したが,左肘・手指・膝・母趾の疼痛が持続するため,痛風結節の掻爬術を行った.術後症状の改善がみられた.痛風の治療は,薬物療法が確立されており,痛風結節を生じる症例は稀である.痛風結節に対しては薬物療法が基本であるが,抵抗性の場合は手術が必要となる.本症例は,薬物療法に抵抗し,疼痛・機能障害が改善しないため手術を行った.尿酸値は徐々に改善しており,手術が尿酸代謝の改善に好影響を与えたものと考える.
著者
徳本 寛人 泉 俊彦 高野 純 山下 芳隆 永野 聡 小宮 節郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.125-127, 2016-03-25 (Released:2016-05-16)
参考文献数
8

当院における大腿骨頚部骨折に対する人工骨頭置換術において,前外側アプローチ(ALS)と前方アプローチ(DAA)の短期成績を比較検討した.2014年5月から2015年2月までに人工骨頭置換術を行ったALS群13例とDAA群8例に対して手術時間,術中出血量,下肢伸展挙上(SLR)獲得時期,合併症について比較した.手術時間はALS群59.5分,DAA群54.5分,術中出血量はALS群99.2ml,DAA群81.9ml,入院中SLR獲得者はALS5例,DAA5例で獲得時期はALS6.0日,DAA8.2日,合併症はDAA群で1例に外側大腿皮神経障害を認めた.人工骨頭置換術において両群間の短期成績に有意差を認めなかった.
著者
前田 昌隆 東郷 泰久 松山 金寛 本木下 亮 俵積田 裕紀 眞田 雅人 小倉 雅 藤井 康成 瀬戸口 啓夫 小宮 節郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.565-567, 2017-09-25 (Released:2017-12-14)
参考文献数
4

大腿骨頸部疲労骨折を発症した女性長距離走選手2例の治療経過と発生機序の推察を報告する.【症例1】20歳女性,18歳から稀発月経で体脂肪率8%台,腰椎骨密度Young Adult Mean(以下,YAM値)110%.受傷前から左鼠径部に違和感あり,左股関節痛が増悪.MRIでtransverse typeの疲労骨折と診断.左腸腰筋と外旋筋部にもT2で高輝度変化を認めた.【症例2】19歳女性,15歳から続発性無月経で体脂肪率13%台,エストラジオール値(以下,E2)17%・骨代謝は高回転型・腰椎骨密度YAM値90%.受傷前から右鼠径部痛があり,痛みが続き,MRIでcompression typeの疲労骨折と診断.【考察】症例1は,左腸腰筋・外旋筋の筋損傷に伴う機能不全が荷重時の支持性低下を来し骨折に至り,症例2は,Female Athlete Triad(以下,FAT)が主要因と考えた.
著者
田邊 史 小宮 節郎 瀬戸口 啓夫
出版者
鹿児島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

細胞はヒトiPS細胞から樹立された神経幹細胞AF22を使用した。1%O2下では20% O2下と比較してオートファジーのマーカーであるLC3-IIの発現が亢進した。またオートファジー活性剤であるLiClの投与で1% O2,20% O2ともにAF22の細胞増殖能が亢進することがWST assayで示された。さらに他のオートファジー亢進剤であるラパマイシンの投与でも同様に1% O2,20% O2ともにAF22の細胞増殖能が亢進することがWST assayで示された。低酸素で培養した際のヒトiPS細胞由来AF22の分化能を検討したが20% O2と比較して1% O2では分化能に影響がないことが示された。
著者
高野 純 伊集院 俊郎 佐久間 大輔 前田 昌隆 東郷 泰久 小倉 雅 永野 聡 瀬戸口 啓夫 小宮 節郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.447-450, 2016-09-25 (Released:2016-12-06)
参考文献数
8

第4.5手根中手関節(以下CM関節)は,第4.5中手骨長軸方向への外力が加わった時に脱臼骨折を起こしやすい.2010年から2015年までの6年間に当院にて治療を行なった第4.5手根中手関節の脱臼骨折は6例であった.そのうち保存治療1例,フォローアップ出来なかった1例を除外し手術を行った4例を対象とした.脱臼骨折の原因として,右尺側Rolando骨折1例,左尺側Bennett骨折1例,有鈎骨体部骨折1例,有鈎骨体部骨折と有頭骨骨折,第3中手骨基部骨折を合併するもの1例であった.観察期間は平均2年8ヶ月(9ヶ月~5年1ヶ月)であった.結果は,整復位は良好で全例に骨癒合が得られた.尺側Bennett骨折や尺側Rolando骨折は優位に握力低下がおこりやすいと言われているが,当院の症例でも尺側Rolando骨折1例で握力低下を認めた.解剖学的正確な整復と手術による強固な固定が必要である.
著者
石堂 康弘 瀬戸口 啓夫 神囿 純一 栫 博則 田中 源幸 廣津 匡隆 藤元 裕介 前田 真吾 河村 一郎 今村 勝行 小宮 節郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.62, no.1, pp.1-4, 2013-03-25 (Released:2013-06-11)
参考文献数
8

セメントレスPCA人工股関節の長期成績について調査した.PCAは近位1/3がビーズによりポーラスコーティングされたアナトミカル型ステムであり,カップも同様にポーラスコーティングされている.1990年から1999年までに手術した最終調査時年齢80未満を対象とした.症例は19例26関節で調査率は83.9%であった.手術時平均年齢は50歳,平均経過観察期間は15年であった.5関節が再置換を受けており,その原因は3関節がカップの弛み,1関節はステムの弛み,1関節は大腿骨骨折であり,感染は無かった.X線学的なインプラント固定性の評価ではカップは8関節がunstable fibrous fixation,ステムは1関節のみunstable implantであった.この機種における15年でのインプラント生存率は75.8%であり,カップのbone ingrowthは不良で,その成績も良好とは言えなかった.
著者
川村 英樹 山元 拓哉 長友 淑美 鶴 亜里沙 石堂 康弘 横内 雅博 井尻 幸成 小宮 節郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.277-281, 2007 (Released:2007-06-01)
参考文献数
5
被引用文献数
1

25歳女性.妊娠34週突然左腰殿部痛出現.仙骨硬膜外ブロック施行されるも疼痛軽減せず当院産科に緊急搬送となる.入院時疼痛強く仰臥位不能,左仙腸関節部に圧痛を認めた.発熱,炎症所見(白血球数9400/μl,CRP 11.91)があり,骨盤部MRI上左仙腸関節周囲の信号変化,また血液培養,カテーテル尿培養よりメチシリン感受性黄色ブドウ球菌を認め,尿路感染に伴う菌血症により発生した化膿性仙腸関節炎と診断し,セファゾリンによる抗菌化学療法を開始.症状改善し妊娠39週にて帝王切開により出産.母子ともに経過良好であり産後3週自宅退院となる.仙腸関節は菌血症性関節炎の好発部位の一つであり,妊娠にともなう子宮の増大等が誘因と考えられた.胎児への影響を考慮する必要があるため診断,治療に難渋するが,妊婦の腰殿部痛の原因として化膿性仙腸関節炎も鑑別する必要がある.