- 著者
-
細矢 直基
前田 真吾
- 出版者
- 芝浦工業大学
- 雑誌
- 挑戦的研究(萌芽)
- 巻号頁・発行日
- 2017-06-30
生体組織の病変を早期に発見するために,生体組織を外部から加振し,その際の応答を核磁気共鳴画像法 (Magnetic Resonance Imaging: MRI) により,生体組織に伝播する波動を可視化し,その弾性率を評価する方法として,Magnetic Resonance Elastgraphy (MRE) が検討されている.しかし,広範囲な弾性値を持つ様々な生体組織に対応するためには,十数Hz~数十kHzまでの広帯域な周波数成分を含む入力が必要であるが,加振器のような接触式デバイスでは非常に軟らかい生体組織に対して広帯域な周波数成分を含む入力を作用させることができない.本研究では,所望の音響放射パターン(指向性)に単一デバイスで制御できる,直径数mmの大きさの誘電エラストマーアクチュエータ (Dielectric Elastomer Actuator: DEA) を用いた音源デバイスを創成する.平成29年度は,風船型球面DEAを実現した.柔軟電極をカーボンブラック,誘電エラストマーをアクリル系とし,空気圧により膨らませることで球面DEAとした.この風船型球面DEAスピーカの形状を計測したところ,真上から見た形状は直径15 mmの円,真横から見た形状は長径15 mm,短径12 mmの楕円であった.膨張前の薄膜DEA(円板)の面積が78.5 mm^2,風船型球面DEA(楕円殻)の表面積が2459.2 mm^2であるので,3033 %拡大することに成功した.また,この風船型球面DEAの音響放射特性,振動特性を計測することで,音源デバイスとして有効であることを検証した.さらに,音響放射特性と風船型球面DEAスピーカの振動モード形との関係を調べた.