著者
小山 友介
出版者
日本デジタルゲーム学会
雑誌
デジタルゲーム学研究 (ISSN:18820913)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.76-84, 2008 (Released:2021-07-01)

本稿では日本のゲーム産業における開発力を測る客観指標の一つとして「タイトルが当初予定日に発売できたかどうか(発売延期率)」に着目し、雑誌『ファミ通』の発売日情報を元に、据置機のドミナントであるプレイステーションとプレイステーション2 (PS 2)のタイトル発売延期率を調査した。 得られた結果は、次の通りである。 1)PSとPS 2の発売延期率の変化パターンは類似している。すなわち、発売年より 2年目の方が発売延期率が高く、その後減少する。 2)PS時代の方がPS 2時代より発売延期率が高い。 また、PSとPS2の発売延期率の推移は、自然に接続される。3)PS2では年末年始商戦に発売延期率が有意に増加するが、PSでは逆に有意に低下している。年度末に発売延期率が有意に上昇するのは共通している。 これらの調査結果から得られる帰結は、次の 2点である。 1)家庭用ゲーム産業は全体では発売延期を起こさないように学習している、2)しかし、当初発売予定が年末年始だったことの発売延期率への影響がPS時代はマイナスだったのがPS 2時代にはプラスに転じたことから、家庭用ゲーム産薬全体にビジネスとしてのプレッシャ ーが強まっている可能性がある。
著者
小山 友介
出版者
芝浦工業大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

近年アニメ聖地巡礼が話題となっている.本研究では4地域での来訪者調査および複数個所での関係者ヒアリングを元に,アニメ聖地巡礼が地域に与える影響を考察した.アニメ聖地巡礼者は当初は作品の舞台を見るためにその地域を訪問するが,一部の巡礼者は現地の人との交流や同行の士である聖地巡礼者の交流のために熱心なリピーター化する.熱心なリピーターは地域に利するように見えるが,排他的な雰囲気を醸成し,他の一見的な来訪者を寄せ付けなくするリスクを伴っている.また,多くの人が現地を訪ねる期間はそれほど長くなく,聖地となった街は最終的な着地点をどうするかについて対処が必要となる.
著者
小山 友介
雑誌
情報処理学会研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP)
巻号頁・発行日
vol.2006, no.17(2006-EIP-030), pp.27-34, 2006-02-18

本研究では,家庭用ゲーム産業の活性化状況を調査することを目的として,『ファミ通ゲーム白書』にある1996年から2004年までの販売トップ100データを用いて,販売タイトルについてシリーズ作品・移植作品・版権もの作品などの各属性をもつタイトル数を数え上げた.その結果,1)シリーズ作品の占める割合が年々増加し,現在は9割近くを占めること,2)それに対応して,売上上位に食い込むオリジナルタイトルが減少したこと,3)移植ものが減少したこと,4)版権ものが増加したこと,が明らかとなった.これらの結果から,現在の日本の家庭用ゲーム産業の活性化度は決して高くないと言うことが出来る.
著者
小山 友 Tomo OYAMA
雑誌
東洋英和大学院紀要 = The Journal of the Graduate School of Toyo Eiwa University (ISSN:13497715)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.95-112, 2013-03-15 (Released:2013-07-09)

The rise of the new radical right in Western European political parties started in the late 1980s and is now expanding across Europe. While causes of the rise of the new radical right vary in each county, a common characteristic of many radical right parties is their exclusive stance toward the immigration issue. Has the expanding support for these radical right parties across Europe resulted from anincreasing sense of xenophobia among European citizens against immigrants? Or has it resulted from the radical right parties’ usual tactic of gaining public support by expressing negative opinions on the immigration issue in order to acquire political legitimacy? This paper aims to clarify the rise of the radical right in the Netherlands in and after 2000. Focusing on two parties, Lijst Pim Fortuyn and Partij voor de Vrijheid, the study identifies characteristics of the radical right in Netherlands. Especially, it reviews and examines changes in Dutch society, including globalization and the expansion of the EU since the 1990s, in order to trace structural changes in the Dutch political system and examine the ways in which such changes are linked to the rise of the radical right. The paper also examines causes of the expansion of public support for the new radical right: whyit has been able to gain public support by proclaiming itself to be anti-immigration and anti-Muslim, despite the fact that most radical right candidates have historically been avoided by most citizens and treated as fringe candidates since the Second World War. In addition, the paper clarifies how the immigration issue in Dutch society has affected the radical right and how the radical right has gainedthe support of voters, including the arguments used by the radical right to acquire political legitimacy for its anti-immigration and anti-Muslim stance.