著者
林 良博 小川 健司 九郎丸 正道
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

哺乳類の精巣は通常陰嚢内に存在し、体温よりも数度低い温度に保たれることにより正常な精子発生が行われている。一方鯨類、ゾウなどは陰嚢をもたず精巣は腹腔内に位置する。こうした腹腔内精巣動物の精子発生が、いかなる温度調節機構によって行われているかについては未だ不明である。本研究では腹腔内精巣と熱ショックタンパク質(HSP)およびレクチンの発現性との関連を検討した。材料としてはイルカ精巣に加えて、実験的腹腔内精巣マウス、非繁殖期ハムスターの精巣および胎生期、生後初期のマウス腹腔内精巣を用いた。実験的腹腔内精巣マウスでは、多数の変性精細胞が観察され、それらには核濃縮、細胞質の好酸性変化および濃縮が認められ、またTUNEL陽性細胞も観察された。HSP70.2の発現はバキテン期以降の精細胞に観察され、腹腔内精巣マウスでは反応は認められなかった。非繁殖期のハムスター精巣では、レクチンDBAが精祖細胞に特異的な結合を示した。DBAは繁殖期ではA型精祖細胞にのみ反応するのに対し、非繁殖期ではA型、中間型、B型の各精祖細胞に反応した。胎生期および生後初期のマウス腹腔内精巣では、レクチンsWGA,VVA,LEAが精細胞に特異的な結合を示し、これらのレクチンが精細胞の分化に関わっている可能性が考えられた。バンドウイルカ、ハナゴンドウ、ヤギのHSP84,86発現を検討した結果、HSP84と86では明らかな相違が認められた。84はB型精祖細胞に強い反応性を示したのに対し、86は精母細胞ないし精子細胞に強い反応性を現した。これらの反応性の違いから、84と86は精細胞分化の異なる過程でそれぞれ役割を担っている可能性が示唆された。また、特に86において種間差が認められた。ヤギではバキテン期以降の精母細胞および円形精子細胞に、バンドウイルカではザイゴテン期以前の精母細胞および円形精子細胞に、またハナゴンドウではすべての精母細胞が反応したが、精子細胞は反応性を示さなかった。
著者
小川 健司 稲葉 宏幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.21, pp.209-212, 2009-02-26

近年,パソコンや携帯電話が普及する中,通信手段として電子メールが多く利用されている.その中で,ユーザの意思に関わらず,有害かつ悪質なメールを受信することが多くある.なかには出会い系サイトへの勧誘等の犯罪性が高いメール等もあり,無視できなくなってきた.この対策手段の1つとして,フィルタリングがある.特に,ベイジアンスパムフィルタは統計的手法によりメールのスパム確率,つまり迷惑メールである確率を求め,継続的な学習によりフィルタの性能を向上させることができるため幅広く用いられている.しかし,ベイジアンスパムフィルタでも検知が難しいメールが存在する.このようなメールはメール本文中に含まれる単語の間に☆や★などの記号を挟んだり,記号を羅列している傾向がある.本報告では,まず最初に最近の迷惑メールと正規メール各1000通ずつについてメール本文中の記号と未知語の分布を調査した結果を示す.その結果,両者の間には明確な分布の違いがあることが明らかになった.そこでその違いをベイジアンスパムフィルタにおけるスパム確率の算出の際に利用する新たなフィルタを提案し,その性能を評価する.Recently, spam mail, that is an irrelevant and unsolicited mail, is one of the most serious problem in Internet. A Bayesian spam filter is a popular method to deal with the problem at a recipient computer. However, a mail which includes many symbols and unknown words is hardly classified accurately by a conventional Bayesian spam filter. In this report, we propose a new Bayesian type spam filter which utilize a distribution of symbols and unknown words included in the received mail. We confirm the performance of the proposed method by experiment.
著者
小川 健司 富塚 大輔 吉池 美紀 野澤 資亜利 中澤 龍斗 佐藤 陽子 森川 康英 岩本 晃明 大西 公平
出版者
一般社団法人 日本コンピュータ外科学会
雑誌
日本コンピュータ外科学会誌 (ISSN:13449486)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.33-41, 2018 (Released:2018-08-08)
参考文献数
14

Background and Aims : Non-obstructive azoospermia (NOA) is one of the most serious causes of male infertility. Microdissection testicular sperm extraction (MD-TESE) is a first-line therapy of NOA ; however, sperm retrieval rate from MD-TESE differs substantially between surgeons and is generally insufficient. To develop a new accessible method to identify seminiferous tubules with sperm in real time during MD-TESE, we have made a hypothesis that the hardness of seminiferous tubule wall is available as a quantitative index for the presence of sperm. In this study, as a first step, we determined the stiffness of the testis from an animal model of NOA using a measuring system that we designed.Methods : Male Syrian hamster with bilateral experimental cryptorchidism was used as a NOA model. Stiffness of the testis was evaluated with two different indices of stiffness value : Kj (the stiffness value in a small interval) and K (the mean of Kj values) by using an indentation instrument with a micro force sensor.Results : Hamster testis was confirmed to be valid as a dynamic model for physical measurements by checking the dependency of stiffness and viscosity on the reaction force generated in indentation procedure. Both stiffness values of the testis with cryptorchidism were significantly decreased compared with those of the control testis.Conclusion : The results suggest that our system is useful for quantitative evaluation of testis stiffness. Testis hardness has promise for a new index for spermatogenesis. As the next step, we need this approach to permit measurement for seminiferous tubules.
著者
林 良博 小川 健司 九郎丸 正道
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

まず、ハタネズミ精子がマウスとハムスターの卵子以外の異種動物の卵子透明帯を通過できるか否かを検討した結果、ラット、マストミス、スナネズミの卵子透明帯は通過できないことが明らかとなった。一方、同種であるハタネズミの卵子透明帯への通過率は、マウスやハムスターに比べ、明らかに低率であった。しかもそれらの卵子はハタネズミ精子が侵入しているにもかかわらず受精していなかった。以上の事実から、この実験系では精子が受精能を獲得していないことが明白となった。次なる実験としてハタネズミの体外受精(IVF;in vitro fertilization)を試みた。精子の前培養時間を30分〜2時間、精子の濃度を前培養時1×10^7cell/ml、媒精時1×10^6cell/mlの設定条件でIVFに成功した。また培養液に1mMのハイポタウリンを加えることによって受精率は高率となり、ハイポタウリンは精子の前培養よりも媒精時に効果があることが示された。それらのIVF卵は培養してもほとんど胚盤胞期まで発生しなかったが、偽妊娠状態になった雌の卵管に移植したところ、正常な産子が作出できた。以上の一連の実験によってハタネズミの最適なIVF条件が確立でき、またこの方法によって作出したIVF卵は正常であることが判明した。さらに、ハタネズミ精子が先体酵素を利用して異種卵子透明帯を通過しているのか否かを確認するため、精子の先体酵素を不活性化して、受精を阻害する酵素(proteinase/hyaluronidase inhibitor)を培地に加えたところ、ハタネズミ同士の体外受精はほぼ完全にブロックされたが、ハタネズミ精子のマウス卵子透明帯通過はブロックされなかった。またカルシウムイオノフォアで先体反応を誘起し、先体内の酵素を放出させたハタネズミ精子であっても、マウス卵子透明帯を高率に通過することができた。したがってハタネズミ精子は、先体酵素を利用しないでマウス透明帯を通過していることが推測された。
著者
小川 健司 稲葉 宏幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SITE, 技術と社会・倫理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.459, pp.209-212, 2009-02-26

近年,パソコンや携帯電話が普及する中,通信手段として電子メールが多く利用されている.その中で,ユーザの意思に関わらず,有害かつ悪質なメールを受信することが多くある.なかには出会い系サイトへの勧誘等の犯罪性が高いメール等もあり,無視できなくなってきた.この対策手段の1つとして,フィルタリングがある.特に,ベイジアンスパムフィルタは統計的手法によりメールのスパム確率,つまり迷惑メールである確率を求め,継続的な学習によりフィルタの性能を向上させることができるため幅広く用いられている.しかし,ベイジアンスパムフィルタでも検知が難しいメールが存在する.このようなメールはメール本文中に含まれる単語の間に☆や★などの記号を挟んだり,記号を羅列している傾向がある.本報告では,まず最初に最近の迷惑メールと正規メール各1000通ずつについてメール本文中の記号と未知語の分布を調査した結果を示す.その結果,両者の間には明確な分布の違いがあることが明らかになった.そこでその違いをベイジアンスパムフィルタにおけるスパム確率の算出の際に利用する新たなフィルタを提案し,その性能を評価する.
著者
小川 健司 稲葉 宏幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IA, インターネットアーキテクチャ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.460, pp.209-212, 2009-02-26

近年,パソコンや携帯電話が普及する中,通信手段として電子メールが多く利用されている.その中で,ユーザの意思に関わらず,有害かつ悪質なメールを受信することが多くある.なかには出会い系サイトへの勧誘等の犯罪性が高いメール等もあり,無視できなくなってきた.この対策手段の1つとして,フィルタリングがある.特に,ベイジアンスパムフィルタは統計的手法によりメールのスパム確率,つまり迷惑メールである確率を求め,継続的な学習によりフィルタの性能を向上させることができるため幅広く用いられている.しかし,ベイジアンスパムフィルタでも検知が難しいメールが存在する.このようなメールはメール本文中に含まれる単語の間に☆や★などの記号を挟んだり,記号を羅列している傾向がある.本報告では,まず最初に最近の迷惑メールと正規メール各1000通ずつについてメール本文中の記号と未知語の分布を調査した結果を示す.その結果,両者の間には明確な分布の違いがあることが明らかになった.そこでその違いをベイジアンスパムフィルタにおけるスパム確率の算出の際に利用する新たなフィルタを提案し,その性能を評価する.