著者
大原 貴都 八木 将計 深谷 直彦 小川 秀人
雑誌
研究報告組込みシステム(EMB)
巻号頁・発行日
vol.2013-EMB-28, no.10, pp.1-6, 2013-03-06

ソフトウェアの開発効率を向上すべく多様な開発手法が提案されているが,実際の製品開発への適用は難しい.本稿では,技術進歩の推移に着目して製品開発への開発手法の適用に対する課題を抽出する.技術進歩の過程を時系列に二分割し,前半部は新たな手法の提案とその効果を確認する適用試行期,後半部を手法の広い展開を行う技術展開期と位置づける.適用試行期では,開発手法が想定している状態と実際の製品開発にギャップがあり,手法を適用した際の開発プロセスが不明確であることが課題である.技術展開期では,開発手法は広く認知されているものの,手法適用ノウハウを理解し製品開発を実践できるソフトウェア開発者が不足することが課題である.これらの課題を解決するため,適用試行期に対してはPFD(Process Flow Diagram)の適用を提案する.技術展開期に対しては体験学習型の習得プログラムを提案する.ETロボコンを題材に提案手法を実践し,効果を検証する.
著者
小川 秀人
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.3_2-3_11, 2011-07-26 (Released:2011-09-26)
被引用文献数
1

ソフトウェア工学は,ソフトウェア開発を対象とする工学である.しかし,ソフトウェア工学とソフトウェア開発との間に,ギャップを感じることがあるのも事実である.筆者らは,企業内研究所にて,企業におけるソフトウェア開発を対象としたソフトウェア工学研究(本稿では「ソフトウェア開発技術研究」)と,そのソフトウェア開発への適用を進めている.本稿では,企業論文誌の分析を通して企業でのソフトウェア開発技術研究の傾向を示し,ビジネスとしてのソフトウェア開発と学術としてのソフトウェア工学との間にあるギャップの理解を試みる.
著者
加藤正恭 小川秀人
雑誌
第73回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2011, no.1, pp.249-251, 2011-03-02

大規模組込みソフトウェア開発では,機能追加や変更による影響範囲特定が課題である。従来の影響分析では,まず変更点ごとに影響が波及しそうな機能に目安をつけて絞込み,そのあとで実際にどんな影響があるかを人手で分析していた。しかし,大規模なソフトウェアの場合は人手による影響分析では工数がかかる。本研究では,ソースコードから変数と関数の依存関係に関する情報を自動的に抽出し表形式(CRUDマトリクス)で可視化する手法を開発した。CRUDマトリクスを用いてレビューを行なうことにより,影響分析工数を削減することができるようになった。
著者
小川 秀人
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.63, no.11, pp.e13-e18, 2022-10-15

AI技術を適用したプロダクトの品質保証の考え方を検討しているAIプロダクト品質保証(QA4AI)コンソーシアムについて概説する.同コンソーシアムは産学官の枠を超えた参加者による実務的検討を行っており,同コンソーシアムによるQA4AIガイドラインではAIプロダクトの品質保証の枠組みや品質を評価・改善する技術例を示すと共に,5つの代表的なドメインにおける品質保証に関する具体的な事例検討を示している.
著者
山口 鉄平 新田 泰広 稲葉 雅美 秋山 義幸 杉山 達也 川上 真澄 島袋 潤 小川 秀人
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.2012-SE-176, no.1, pp.1-6, 2012-05-14

制御機器のソフトウェア開発では,制御パラメータの調整工数削減による開発工数削減を目的に,モデルベース開発の適用がすすんでいる.制御式を設計する制御設計者とソフトウェアを開発するソフト開発者の違いや,制御式が書かれた制御仕様書と機器の動作実現方法が書かれたソースコードの違いにより,従来の開発方法からモデルベース開発への移行は困難となっている.本報告では,モデルベース開発時に,制御設計者によるモデルの修正とシミュレーションが可能な新たなモデルベース開発への移行方法を提案する.提案方法は,3パターンでのソースコードのリファクタリングと,モデルとソースコードのデータの受け渡しおよび処理の呼び出しを定義するという特徴を持つ.
著者
市井 誠 小川 秀人
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.3_70-3_76, 2015

リファクタリングにおける振舞い保持を検証するため,プログラム等価性検証手法を提案する.提案手法は,プログラム構造の差分を抽象構文木に基づくモデルを用いて検出する.差分検出にあたり,リファクタリングにより意図された構造の変更を差分から除外するため,リファクタリングパターンに従ったモデル変換を実施する.また,提案手法をC/C++言語を対象とした検証ツールPOM/EQとして実装した.さらに,実装したツールの適用実験を行い,ある組込み製品にて実施されたリファクタリングのうち,56%を正しく判定できた.
著者
馬場 貴成 長岡 晴子 小川 秀人
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.61, no.11, 2020-10-15

Society 5.0時代の社会課題解決には多様な主体の知見をデジタル技術で統合する価値協創型DXが求められる.価値協創には協創方法論,知識ベース,デジタルプラットフォームなどを要する.Lumadaは協創方法論NEXPERICE,ソリューションを蓄積するLumada Solution Hub,新たなソリューションを実現するNode-RED等からなり他社ソリューションとも連携し顧客協創DXを実現する.
著者
來間 啓伸 佐藤 直人 中川 雄一郎 小川 秀人
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.407-416, 2020-02-15

計算機システムが実世界と密に連携して動作するためには,論理的に記述・分析できない不確実性に適合するソフトウェアが必要であり,未知の入力値に対して学習データからの推論により出力値を返す機械学習の適用が注目されている.一方,このようなソフトウェアは入力データ空間が定義できず出力値に予測不能性があるため,ソフトウェアの振舞いを確率的にしか把握できない.本稿では,機械学習適用ソフトウェアの高信頼化を目的に,段階的詳細化による演繹的な開発法と機械学習による帰納的な開発法の結合についてテスト・検証の観点から述べ,開発プロセスと制約充足性テスト方法を提案する.我々のアプローチは,演繹的モジュールと帰納的モジュールを分離し,それらをつなぐ部分仕様を設定するとともに,前者については部分仕様が満たされることを前提に論理的な検証を行う一方,後者についてはテストにより部分仕様の充足確率を評価し,論理的な検証結果に確率を付与する.これにより,帰納的に開発した機械学習適用モジュールと演繹的に開発した論理モジュールを,システムの信頼性評価のもとで整合的に結合する.形式手法Event-Bを用いたケーススタディにより,実現可能性を評価した.
著者
新原 敦介 小川 秀人 鷲崎 弘宜
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.922-938, 2014-02-15

複数機器を組み合わせて機能を提供するシステムにおいて,各機器の仕様は定義されているが,機器の組合せによって表出するシステム仕様や,システム仕様と各機器の仕様との関係は暗黙知となっていることがある.またそれらのシステムテストでは,テスト項目ごとに適切な機器を組み合わせてシステム構成を導出しテストを実施する必要がある.ここで,機器の組合せ作業は,前記の暗黙知を必要とし,多くの時間がかかり,テスト項目に対して漏れのリスクが生じる.本報告では,各機器だけではなく,機器が組み合わさり生じる仕様に対してもフィーチャ分析を行い,その結果を用いてテスト項目を分析し,充足可能性判定を利用してテスト項目を網羅するシステム構成群を導出する方法を提案する.また,ケーススタディとして,提案手法を仮想の多店舗向けPOSレジシステムに適用した.ケーススタディにおいて,従来のシステム構成導出に比べ提案手法では,テスト項目を網羅する妥当なシステム構成の導出が少ない時間で可能であった.