著者
古宮 嘉那子 伊藤 裕佑 佐藤 直人 小谷 善行
出版者
一般社団法人 言語処理学会
雑誌
自然言語処理 (ISSN:13407619)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.161-182, 2013-06-14 (Released:2013-09-14)
参考文献数
17

本論文は,文書分類のための新手法として,Negation Naive Bayes (NNB) を提案する.NNB は,クラスの補集合を用いるという点では Complement Naive Bayes (CNB) と等しいが,Naive Bayes (NB) と同じ事後確率最大化の式から導出されるため, 事前確率を数学的に正しく考慮している点で異なっている.NNB の有効性を示すため,オークションの商品分類の実験とニュースグループの文書分類の実験を行った.ニュースグループの文書分類では,一文書あたりの単語数(トークン数)を減らした実験と,クラスごとの文書数を不均一にした実験を行い,NNB の性質を考察した.NB,CNB,サポートベクターマシン (SVM) と比較したところ,特に一文書当たりの単語数が減り,クラスごとの文書数が偏る場合において,NNB が他の Bayesian アプローチより勝る手法であること,また,時には SVM を有意に上回り,比較手法中で最も良い分類正解率を示す手法であることが分かった.
著者
髙橋 正弥 上野 瞳 佐藤 直人 鈴木 香澄 稲葉 洋美 澁谷 顕一
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.136-141, 2018 (Released:2018-03-09)
参考文献数
16

The purpose of the present study was to estimate the minimal food cost based on the dietary reference intake for Japanese people. For this purpose, we calculated the minimal food cost using mathematical optimization. To calculate a food plan for each age-gender group, 68 mathematical optimization models for each of the food plan groups were employed. For the calculation of mathematical optimization models, we used data based on the dietary reference intake for Japanese people and a retail price survey by the Statistics Bureau of the Japanese Government. We established four categories (25%, 50%, 75% and 85% for standard food intake). From these restrictions, we calculated the minimal food cost using mathematical optimization. The normal food cost per month for adult males (18-29 years) was 41,865 Yen, and for adult females (18-29 years) was 26,037 Yen. Based on these results, we were able to estimate the minimal food cost for families in order to prevent lifestyle related diseases. In this study we used computed ingredients instead of food to calculate optimal combinations, so it has not been verified whether these combinations can be realized in practice. In order to put the results of this study into practice, it is necessary to verify the results of the calculation and the connection between cooking and menu planning.
著者
鈴木 香澄 佐藤 直人 澁谷 顕一
出版者
日本生理人類学会
雑誌
日本生理人類学会誌 (ISSN:13423215)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.85-89, 2017 (Released:2017-10-31)

Glucose is the only fuel normally used by the brain. It is thought that blood glucose levels affect cognitive function. The present study investigated whether performance in the emotional Stroop task (EST), which can evaluate both the cognitive function and emotional state of subjects, was susceptible to blood glucose levels or not. Each subject participated in the EST under both fasting condition (FC) and blood glucose increased condition (BGC). Our results show that the reaction time of the EST in the BGC was significantly higher than that in the FC (p = 0.0011). However, we did not find a significant difference in emotional state between BGC and FC (p = 0.5134). From these results, we conclude that increased blood glucose levels improve cognitive function but does not change the emotional state of subjects.
著者
佐藤 直人 Naoto SATO
出版者
東北大学文学部日本語学科
雑誌
言語科学論集 (ISSN:13434586)
巻号頁・発行日
no.1, pp.63-74, 1997

はじめに、日本語のナガラ節が、付帯状況と逆接という二つの意味に対応して、それぞれVP内、NegPに付加するという観察が得られることを示す。この観察は、ナガラ節の性質を説明する理論が如何なるものであれ捉えなければならないものであるが、この妥当性を満たすという要件は可能な理論の幅を狭める。ナガラ節がもつ意味によって付加する位置が決定されるという理論より、付加する位置によって意味が決まるとする理論の方が自然な説明が与えられるため、そのような理論が望ましいことを論ずる。
著者
登尾 浩助 溝口 勝 佐藤 直人 丸尾 裕一 ホートン ロバート
出版者
明治大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

微小重力下での多孔質中の水分挙動は未だに明らかになっていない。放物線飛行による疑似μG場において毛管上昇実験と土壌中への水分浸潤実験を行い、微小重力下での水分移動を解明することを目的とした。航空機による放物線飛行と落下塔による自由落下によってμG環境を作り出し、毛管上昇と多孔質体中への水分浸潤が受ける微小重力の影響に関する実験を実施した。一連の実験から、毛管上昇理論の微小重力への適用性を確認した。しかし、細い内径の毛管の上に太い内径の毛管をつないだ場合には水分移動が阻害されることが明らかになった。多孔質体中への水分浸潤は、微小重力下では著しく阻害されることがわかった。
著者
來間 啓伸 佐藤 直人 中川 雄一郎 小川 秀人
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.407-416, 2020-02-15

計算機システムが実世界と密に連携して動作するためには,論理的に記述・分析できない不確実性に適合するソフトウェアが必要であり,未知の入力値に対して学習データからの推論により出力値を返す機械学習の適用が注目されている.一方,このようなソフトウェアは入力データ空間が定義できず出力値に予測不能性があるため,ソフトウェアの振舞いを確率的にしか把握できない.本稿では,機械学習適用ソフトウェアの高信頼化を目的に,段階的詳細化による演繹的な開発法と機械学習による帰納的な開発法の結合についてテスト・検証の観点から述べ,開発プロセスと制約充足性テスト方法を提案する.我々のアプローチは,演繹的モジュールと帰納的モジュールを分離し,それらをつなぐ部分仕様を設定するとともに,前者については部分仕様が満たされることを前提に論理的な検証を行う一方,後者についてはテストにより部分仕様の充足確率を評価し,論理的な検証結果に確率を付与する.これにより,帰納的に開発した機械学習適用モジュールと演繹的に開発した論理モジュールを,システムの信頼性評価のもとで整合的に結合する.形式手法Event-Bを用いたケーススタディにより,実現可能性を評価した.
著者
古関 聰 佐藤 直人
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 = [O]perations research as a management science [r]esearch (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.325-330, 2011-06-01

高速ネットワーク環境の普及にともない,現在,社会の様々な場面においてデータの大規模な収集・蓄積が進んでおり,これを解析することで有用な情報を抽出したいという機運が高まっている.このための計算基盤として,並列分散計算の仕組みであるHadoopが有望視されており,実際にHadoopを活用した事例もいくつか報告されている.しかし,Hadoopの提供するMapReduceフレームワークは比較的低レベルな仕組みであり,データ解析利用にはプログラムの特別な設計が必要であることから,Hadoopをデータ解析に活用するためのプログラミング・モデルやツールが求められている.本稿では,このようなHadoop上でのデータ解析をとりまく状況を概観し,Hadoopとデータ解析アプリケーションとの間のギャップがどのように埋められようとしているかについて解説を試みる.