著者
礎 良輔 鷲崎 弘宜
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.59, no.7, pp.642-644, 2018-06-15

SIGCSEは,米国で開催される最大規模のACM主催会議The SIGCSE Technical Symposium on Computer Science Educationを指し,コンピュータサイエンス教育における最難関のトップカンファレンスである.世界の研究者や実務家は,トップカンファレンスを目標として計画的に研究・実践し,投稿し,採否によらず参加し,議論し,影響を与え,ネットワークを広げる,ということを50年間積み重ねてきている.日本もそれに倣うべきである.本稿では49回目の開催にあたるSIGCSE 2018の様子を報告するとともに,トップカンファレンスの重要性を述べる.
著者
高澤亮平 坂本一憲 鷲崎弘宜 深澤良彰
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.307-309, 2015-03-17

「プログラミングには性格が表れる」と言われるが、実証された例や科学的な根拠は見つかっていない。そこで我々は、競技プログラミングに興味のある人々を対象とした大規模なアンケートを行い、エゴグラム診断を用いて性格の分析を行った。この結果をもとに、プログラミングへの興味と性格の間の相関を分析した。その結果、一部の質問や性格に関して相関が現れることが明らかとなった。また、ソースコードと性格に関しても分析を行うことで、プログラミングと心理的な側面の関係についても考察した。
著者
坂本 一憲 大橋 昭 鷲崎 弘宜 深澤 良彰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.95, no.3, pp.412-424, 2012-03-01

近年,プロブラミングコンテスト,特にゲームソフトウェア上で自律的に動作するプレイヤーのプログラムを作成して競い合う形式のコンテストが,教育向けの枠組みとして注目を浴びている.一方,コンテストで利用されるゲームプラットホームは,一般的なゲームソフトウェアやエンタープライズシステムと異なり,開発手法や技術的な知見が体系化されていない.本論文では,過去の開発経験からゲームプラットホームの要求を分析した結果をもとに,開発における知見を設計原則としてまとめる.更に,ゲームプラットホームの品質を保証して,開発コストを低減させるため,設計原則を踏まえたアーキテクチャと汎用的な共通処理を提供するフレームワークを提案する.その上で,提案フレームワークを利用するゲームプラットホームとコンテストの事例報告をもとに,提案フレームワークを利用するゲームプラットホームが分析した要求を満たすかどうかという定性的評価と,ソフトウェアメトリックスや参加者のアンケートによる定量的評価の両方から提案フレームワークの有用性を示す.
著者
鷲崎 弘宜 萩本 順三 濱井 和夫 関 満徳 井上 健 谷口 真也 小林 浩 平鍋 健児 羽生田 栄一
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:21888825)
巻号頁・発行日
vol.2020-SE-204, no.17, pp.1-8, 2020-02-24

DX(Digital Transformation)時代に向けた新たなソフトウェア工学(Software Engineering for Business and Society: SE4BS)に向けた枠組みと価値駆動プロセスを提案する.具体的には,今日においてソフトウェア「工学」として受け入れられている手法やプラクティスにおいて,顧客価値やビジネス価値に基づいてソフトウェア開発・運用を進める視点の欠落や,産業界において広く受け入れられているアジャイル開発との分断が起きているという問題を提起する.その問題意識のもと,DX 時代に必要な新たなソフトウェア工学として,ビジネスアジリティを組み入れて新規ビジネスのアイデアから,それを具体化する製品やサービスおよびユーザー体験までを結び付けるソフトウェアシステムの開発・運用に有用なモデル,手法,プラクティスを分類整理し,それらを用いる進め方としてビジネス・社会視点の価値駆動プロセスの一例を提案する.さらに,心的要素である知・情・意による分類を通じて,これからのソフトウェア工学と周辺の捉え方の一つを示す.
著者
小島 嘉津江 森田 純恵 若本 雅晶 宗像 一樹 鷲崎 弘宜
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:21888825)
巻号頁・発行日
vol.2017-SE-195, no.30, pp.1-8, 2017-03-05

ソフトウェア品質の向上に関しては,古くから様々な技術が提案・実用化されてきており,ソフトウェア開発方法の進歩に伴う新たな技術の開発も進んでいる.一方,ソフトウェア品質を客観的に評価するための尺度についても研究が進んでおり,ソフトウェア品質モデルおよび品質特性が国際規格として規定されている (ISO / IEC 25000 シリーズ).これら個々の品質技術と,ISO / IEC 25000 シリーズで規定された各品質特性の間には,たとえば,この技術はこの特性の向上に特に効果があるといった関係性が当然存在し,これはソフトウェア開発において重要な情報となり得る.しかし,これまで,このような関係性を網羅的に明確化する試みは行われておらず,品質要求に基づく効率的な品質技術の選択の難しさ,品質技術の研究開発が必要な方向 ・ 領域の不透明さなどの課題があった.本稿では,個々の品質技術が品質特性に与える効果を網羅的に見える化することを目的として,品質技術と品質特性のマッピングを試みた.マッピングに当たっては,品質技術の網羅 ・ 体系化が必要となるが,世界で初めてこれを実現した日本発のガイドである 「ソフトウェア品質知識体系ガイド (SQuBOK ガイド)」 を参照することとした.SQuBOK ガイドと ISO / IEC 25000 シリーズをベースにしたマッピングの結果,品質向上に寄与する技術を品質特性ごとに効率的に選択できるようになり,ツールとしても有効であることがわかった.また,マッピング結果の分析を通して,品質特性による品質技術の偏りからわかる拡充すべき技術領域,データ品質に関する技術の体系化不足,OSS 活用の技法など最新技術の追加 ・ 体系化の必要性など,今後の課題も明確になった.
著者
鷲崎 弘宜
雑誌
ウィンターワークショップ2022論文集
巻号頁・発行日
vol.2022, pp.1-2, 2022-01-11

予備的な系統的文献レビューを通じて,デジタルトランスフォーメーション(DX)におけるソフトウェアの側面とダイバーシティに関する研究実践動向の一端を報告する.
著者
鷲崎 弘宜 萩本 順三 羽生田 栄一 関 満徳 小林 浩 丸山 久 井上 健 谷口 真也
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:21888825)
巻号頁・発行日
vol.2021-SE-207, no.42, pp.1-7, 2021-02-22

従来のソフトウェア工学は主として開発の効率化や品質の向上に重点を置いて様々な手法やプラクティスを積み重ねてきている.しかしビジネスや社会上の価値創造が求められる Digital Transformation (DX) 時代においては,様々な人々に寄り添う考え方や,新たな社会を構想する捉え方をソフトウェアの企画や開発,運用の中心へと組み入れることの重要性を増すと考えられる.筆者らはこの問題意識のもと,従来からの工学的な知識体系やプラクティスに加えて,人々の意識や価値観,感情をソフトウェアの開発運用において扱うことの重要性を認識し,DX 時代のビジネスや持続可能な社会へ貢献するソフトウェア工学体系を考察する活動 Software Engineering for Business and Society (SE4BS) を 2019 年から進めてきている.そこでは特に,人の根源的な心的要素として捉えられる知・情・意に基づいたソフトウェア開発運用および周辺の考え方やプラクティスの整理体系化と,価値を軸として開発を進める価値駆動プロセスの例示を進めている.本稿では,価値を軸として DX 時代に必要な考え方を概観したうえで,それに応えようとする SE4B の成果の概要を説明する.さらに成果に対する評価や反応として,アンケート回答やワークショップ実施時の意見および大学教育の成果を紹介する.そのうえで,評価や反応を踏まえ,関連研究との関係も含めて将来の展望を説明する.
著者
下條 清史 坂本 一憲 鷲崎 弘宜 深澤 良彰
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SS, ソフトウェアサイエンス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.481, pp.97-102, 2012-03-06
参考文献数
7

Fault-Localizationはテスト結果からテスト失敗の原因となるコードの箇所を推定する手法で,デバッグ作業の支援に有効である。しかし、テストケースが十分でない場合,バグを十分に局所化できないため、Fault-Localization結果が信頼できない.本稿では,実際の開発形態に沿ったインクリメンタルな運用のもとでプログラム構造を用いてFault-Localization結果を改善する手法を提案する.Fault-Localization結果のトップランキングの高精度化とバグの修正を繰り返していく手法により,効率的なデバッギングの実現可能性を示す.
著者
鷲崎 弘宜 夏 天 鎌田 夏実 大久保 隆夫 小形 真平 海谷 治彦 加藤 岳久 鹿糠 秀行 田中 昂文 櫨山 淳雄 山本 暖 吉岡 信和 吉野 雅之
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:21888825)
巻号頁・発行日
vol.2018-SE-198, no.25, pp.1-7, 2018-03-02

セキュリティパターンとは,セキュアなソフトウェアシステムの開発運用における特定の文脈上で繰り返されるセキュリティに関する問題と解決を一定の抽象度でまとめたものである.1990 年代後半からこれまでに 500 近くのセキュリティパターンの特定と蓄積,共有がなされている.それに伴い,それらの適用や抽出といった技術研究も進められているが,その傾向や全体像,技術的課題および展望は明らかではない.そこで我々は最初に,セキュリティパターン研究を分類整理する際の基本的な用語間の関係を整理した概念モデルを提案する.さらに我々は同モデルに基づいた研究の分類体系 (タクソノミ) を提案し,同分類体系に基づき 200 を超える文献の内容を分類した結果を報告する.
著者
岸 知二 石田 裕三 坂田 祐司 中西 恒夫 野田 夏子 野中 誠 林 好一 久住 憲嗣 山内 和幸 吉村 健太郎 鷲崎 弘宜
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.2013, no.32, pp.1-3, 2013-10-17

ソフトウェアプロダクトライン国際会議(SPLC2013)が東京で開催されたので,会議の状況について報告する.We report on the 17th Software Product Line Conference was held in Tokyo, Japan.
著者
高澤 亮平 坂本 一憲 鷲崎 弘宜 深澤 良彰
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.307-308, 2015-03-17

「プログラミングには性格が表れる」と言われるが、実証された例や科学的な根拠は見つかっていない。そこで我々は、競技プログラミングに興味のある人々を対象とした大規模なアンケートを行い、エゴグラム診断を用いて性格の分析を行った。この結果をもとに、プログラミングへの興味と性格の間の相関を分析した。その結果、一部の質問や性格に関して相関が現れることが明らかとなった。また、ソースコードと性格に関しても分析を行うことで、プログラミングと心理的な側面の関係についても考察した。
著者
鷲崎 弘宜 中川 知基 斉藤 勇樹 深澤 良彰
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
日本ソフトウェア科学会大会講演論文集 (ISSN:13493515)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.7-7, 2004

リモートコンポーネントを組み合わせて得られるコンポーネントベースシステムは、長期の運用を実現するために高い保守性を持つことが望ましい。保守性の判定法として、複雑度の測定がある。従来の測定法は、オブジェクト指向クラス集合、もしくは、一般的な抽象化によって得られる構造を測定対象とし、コンポーネントを単位とした保守作業の容易さを適切に反映しない。本稿では、リモートコンポーネントの特徴を考慮してコンポーネントベースシステムを段階的に抽象化し、得られる構造に対して要素間の関連に基づく複雑度を測定する手法を提案する。複数のEJBアプリケーションについて測定実験を行った結果、得られる複雑度が保守性を適切に反映することを確認した。