著者
今村 友典 小松 祐美 清川 隆 山形 梨里子 金井 尚之
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.275-277, 2023-06-30 (Released:2023-06-30)
参考文献数
12

【症例】生来健康な20歳男性が, 観賞目的にアマゾン産淡水エイ (Potamotrygon leopoldi, 年齢不詳, 雌) をインターネットオークションで購入した。水槽清掃時に右手背部を刺され受傷した。刺傷後から右手背部の疼痛と腫脹が出現したために当院を受診した。海水エイの治療に準じて創部の洗浄と40℃の湯に60分浸漬したところ, 疼痛が軽減した。腫脹は持続していたが, 経過観察後も全身状態は良好なため帰宅した。受傷翌日および1週間後ならびに約1カ月後も症状は増悪なく経過した。【考察】インターネットの普及で淡水エイの購入・飼育は誰でもどこでも可能となっている。そのため, 淡水エイに精通していない一般市民に同様の刺傷例が発生する危険性がある。本邦での淡水エイによる刺傷の報告は自験例を含め4例で少なく, 臨床像も不明な点が多いのが現状である。
著者
中村 由紀子 島崎 真希子 小松 祐美子 中野 瑛子 松岡 雄一郎 宮田 世羽 岡 明
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.259-264, 2016 (Released:2016-09-09)
参考文献数
12

【目的】反社会的行動の症状を持つ発達障害の症例の特徴について検討する. 【方法】当院小児神経外来に受診した発達障害のうち, 平成21年10月から平成24年10月までに就学年齢以上であった110例を対象とした. DSM-Ⅳ-TRの素行障害の診断基準の症状が1項目以上あるものを反社会的行動群とし, その症状を持たない群と背景, 行動の特徴, 治療による症状改善の有無について比較した. 【結果】反社会的行動は38例にみられ, そのうち素行障害に該当するものは7例で全体の5.5%であった. 反社会的行動の要因は, 注意欠陥/多動性障害, 虐待, 施設入所歴, 家族の精神・発達的問題, 不安定な家庭であり, 統計学的に有意であった. 投薬や環境改善の指導を行ったところ, 66%の症例で, 反社会的行動について何らかの改善を認めた. 素行障害7例のうち4例が虐待により児童養護施設等に入所しており, 3例が社会性に強い困難さを抱えた広汎性発達障害で, 全例が治療的介入を行っても反社会的行動の改善はみられなかった. 【結語】発達障害児の反社会的行動には主診断が注意欠陥/多動性障害であることや虐待, 施設入所歴, 家族の精神・発達的問題, 不安定な家庭の要因が関与していた. 最も効果的な治療は, 保護者に対する子どもへの関わりの指導であった. 素行障害まで進行している症例は改善が極めて困難であり, 反社会的行動がみられた場合は早期介入する必要がある.