著者
瀧川 由宇登 森 勇人 関 伸吾 小松 章博 谷口 順彦
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.477-483, 1994-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
11

マダイにおける第一卵割阻止型雌性発生二倍体 (mitotic-G2n) 誘導のための最適条件の検討を行った。染色体の倍数化は高水圧処理法を用いた。高水圧処理の媒精後処理開始時間, 処理水圧, 処理時間の組み合わせにより条件検討を行いそれぞれの試験区でビーカー試験により孵化率, 正常二倍体孵化率, および半数体孵化率を求めた。mitotic-G2nの誘導に最適と考えられる条件は高水圧処理の媒精後処理開始時間45分, 処理水圧700kg/cm2, 処理時間5分であり, この場合の孵化率は35.06%, 正常二倍体孵化率は53.41%, 半数体孵化率は46.59%であった。しかし, 異数体と思われる個体の出現が多く変態期は大量へい死もみられたことから, さらに最適条件の検討を重ねる必要性が示唆された。
著者
小松 章
出版者
日本経営学会
雑誌
經營學論集 第89集 日本的経営の現在─日本的経営の何を残し,何を変えるか─ (ISSN:24322237)
巻号頁・発行日
pp.80-86, 2019 (Released:2019-09-26)

日本の株式会社は,国際化に対応して英米流の株主利益優先の改革を進めてきたが,従業員の雇用に犠牲が生じるなど,行き過ぎが見られる。日本企業の現状を概観すると,会社法制が実効性を欠いていることもあって問題点も少なくないが,株主軽視というような海外からの批判は事実と異なる。日本企業が内部留保を重視する姿勢は,配当性向に相反するため,短期利益を志向するファンドの目には株主軽視と映ることになるが,事実は日本企業が長期的な成長視点から雇用の安定や株主の利益を重視しているということにほかならない。日本は,行き過ぎた株主利益優先の改革に終止符を打ち,生産共同体的な視点に回帰して株式会社を再設計する必要がある。営利的な企業観の強いアメリカにあって株主主権を批判し企業主体論を主張したアンソニーのモデルを参考に,日本の株式会社の再設計を提唱する。
著者
小松 章
出版者
経営哲学学会
雑誌
経営哲学 (ISSN:18843476)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.69-74, 2022-01-31 (Released:2022-04-08)

日本企業では今なおコーポレート・ガバナンス改革の必要性が叫ばれている。しかし、労使の生産共同体的な企業観に立脚する日本企業に、株主利益を第一義とする米英の営利的な企業観に立脚したガバナンス機構を導入した結果、従業員の地位は著しく毀損された。日本企業は、米欧のモデルに倣う建前だけの形式的な機構改革をやめ、本音の生産共同体的な企業観に回帰して、これからのグローバル競争に立ち向かうべきである。