著者
新谷 明一 三浦 賞子 小泉 寛恭 疋田 一洋 峯 篤史
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-15, 2017 (Released:2017-02-21)
参考文献数
60
被引用文献数
5 6

小臼歯の全部被覆冠として保険収載されたCAD/CAM冠の使用率は,年々増加し続けている.一方で,CAD/CAM冠の脱落などに代表されるトラブル報告も多くなってきている.CAD/CAM冠は,従来の歯冠補綴装置とは異なった製作方法や材料を使用しており,支台歯形態や接着方法に独自の配慮が必要である.また,多くの脱落が初期に生じているということは,従来の全部被覆冠からは考えられない原因の存在も推測される.本稿では,CAD/CAM冠に発生したトラブルのリスク因子を明らかにし,それに対応できるよう,支台歯形態,CAD/CAM冠用レジンブロックの特徴,適切な接着手順および術後管理について考察を行う.
著者
竹内 義真 米山 隆之 小泉 寛恭 河合 達志
出版者
一般社団法人 日本歯科理工学会
雑誌
日本歯科理工学会誌 (ISSN:18844421)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.41-45, 2021-01-25 (Released:2021-04-06)
参考文献数
13

CAD/CAMによる間接修復用コンポジットレジン冠の適応が大臼歯まで拡大されているが,特に歯科用金属アレルギー患者における第二大臼歯への適応では歯冠高径が十分に得られない症例が多く,脱離,破損の懸念がある.このような症例における代替技術として,日本歯科理工学会では,高い機械的性質と耐食性を有し,生体安全性に優れたチタンおよびチタン合金の鋳造法による歯冠修復物について検討し,日本補綴歯科学会とともに医療技術評価提案書を申請した結果,大臼歯における純チタン第2種の全部鋳造冠が令和2年6月に保険収載された.また,チタンの歯科鋳造には特殊な鋳造機や専用の埋没材を用いる必要があることから,新技術として承認された.また,健康保険適用の金属材料として広く用いられてきた金銀パラジウム合金の価格は高騰を続けており,その代替材料としても期待される.
著者
齋藤 仁弘 金子 和幸 堀江 康夫 小泉 寛恭 大谷 一紀 五十嵐 孝義 塩田 陽二 吉橋 和江 廣瀬 英晴 西山 實
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.124-130, 2001-03-25
被引用文献数
12

フィラー含有量の多い歯冠用硬質レジン(高フィラー型硬質レジン)の4製品, エステニア(EE, ED), アートグラス(AE, AD), ベルグラスHP(BE, BD), グラディア(GE, GD)のそれぞれ2種類(エナメル用, デンチン用)について, それらの曲げ強さ, 曲げ弾性率, ヌープ硬さ, 吸水量および溶解量を測定した. 試験体の作製は, 製造者指示に従い, 測定結果はt-検定(危険率5%)で統計処理を行った. 曲げ強さは96.2〜210.6MPaを示し, エナメル用ではEE>BE>AE>GE, デンチン用では, BD,ED>AD>GDの順に大きな値であった. 曲げ弾性率は6,8〜24.6GPaを示し, エナメル用ではEE>AE, BE>GE, デンチン用ではBD>ED>AD>GDの順に大きな値であった. ヌープ硬さは42.7〜163.8を示し, エナメル用ではEE>BE>AE, GE, デンチン用ではBD>ED>AD, GDの順に大きな値であった. 吸水量は9.7〜28.1μg/mm3を示し, エナメル用ではGE>AE, BE>EE, デンチン用ではGD>AD>BD>EDの順に大きな値であった. 溶解量は0.2〜0.6μg/mm^3を示し, エナメル用およびデンチン用の両者で有意差は認められなかった. 以上の結果から, 高フィラー型硬質レジンは製品ごとの性質を理解した上で, 適切な症例や応用部位に用いるべきであることが示唆された.
著者
小泉 寛恭
出版者
日本大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本年度は摩耗モデルの構築と各光重合条件の設定をおこない、歯ブラシ摩耗を行った際の経時的変化を解明した。摩耗モデル:前装用硬質レジンに対し精密低速切断機を用いてφ10.0×10.0mmの寸法に調製する。メーカー指示によるものを比較対照として、光強度、照射時間を変化させた試料を作製した。光強度をさらに変化させるために、メーカー指示の光照射器のほかに、メタルハライドランプを使用している多目的光重合器を使用した。照射時間は、上下両面から30,60,90,120,180秒間照射を行った。重合後、レジン表層を耐水研磨紙、アルミナ懸濁液とバフの順で研磨し、実験試料とした。歯ブラシ試験:この摩耗モデルに対し歯ブラシ摩耗試験を行った。摩耗試験条件は、歯ブラシとしてナイロン毛のものを使用し、歯磨材として研磨剤の含有したものを選択し、ストローク式摩耗試験機を用いて、荷重条件2.9N、ストローク幅60mmの条件下で10万回まで行う。摩耗面の測定、観察は1万回ごとに走査型レーザー顕微鏡にて行った。さらに歯ブラシ摩耗後の表面粗さの測定として3次元測定器の使用を検討し、さらに臨床においての歯ブラシ摩耗の現状について報告した。