著者
新谷 明一 三浦 賞子 小泉 寛恭 疋田 一洋 峯 篤史
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-15, 2017 (Released:2017-02-21)
参考文献数
60
被引用文献数
5 6

小臼歯の全部被覆冠として保険収載されたCAD/CAM冠の使用率は,年々増加し続けている.一方で,CAD/CAM冠の脱落などに代表されるトラブル報告も多くなってきている.CAD/CAM冠は,従来の歯冠補綴装置とは異なった製作方法や材料を使用しており,支台歯形態や接着方法に独自の配慮が必要である.また,多くの脱落が初期に生じているということは,従来の全部被覆冠からは考えられない原因の存在も推測される.本稿では,CAD/CAM冠に発生したトラブルのリスク因子を明らかにし,それに対応できるよう,支台歯形態,CAD/CAM冠用レジンブロックの特徴,適切な接着手順および術後管理について考察を行う.
著者
村井 雄司 青木 裕美 田中 睦 首藤 かい 近藤 有紀 倉重 圭史 疋田 一洋 安彦 善裕 齊藤 正人
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.509-517, 2014-11-25 (Released:2015-11-25)
参考文献数
63

生体を覆う上皮は,重層や角化および上皮間の緊密な結合により病原体が生体に侵入することを防ぐ物理的防御機構と,抗菌ペプチドを発現することにより病原体の付着を抑制する化学的防御機構を有している。活性型ビタミンD3 の生理活性は,カルシウム代謝調節による骨リモデリングのみならず,上皮細胞の分化誘導や,免疫調節に関わっていることが明らかになっている。本研究では活性型ビタミンD3 をヒト角化上皮細胞株(HaCaT 細胞)に添加することによる,抗菌ペプチドの発現変化を明らかにすることを目的とした。HaCaT 細胞は,活性型ビタミンD3 添加により抗菌ペプチドであるhBD-1, hBD-2 およびLL-37 mRNA と,それぞれのペプチドの有意な発現上昇を認めた。しかしhBD-3 は変化を認めなかった。本結果から活性型ビタミンD3 は角化上皮の化学的防御機構に寄与し,これを増強すると考えられた。また発現上昇を認めた抗菌ペプチドは,齲蝕原因菌や歯周病菌に対しても抗菌作用を有するため,良好な口腔環境維持するうえで活性型ビタミンD3 の存在が重要である可能性が示唆された。
著者
疋田 一洋 舞田 健夫 川上 智史 池田 和博 齊藤 正人 田村 誠 小西 ゆみ子 神成 克映 内山 洋一 平井 敏博
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 = Annals of Japan Prosthodontic Society (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.64-70, 2009-01-10
参考文献数
26
被引用文献数
2 3

<B>目的:</B>試作したCAD/CAM用ハイブリッドレジンブロックの臨床的な有効性を評価することを目的とした.<br><B>方法:</B>ハイブリッド型硬質レジンを加圧,加熱重合し,歯科用CAD/CAMシステムの加工用ブロックサイズに成型加工した.患者36名(女性29名,男性7名)の小臼歯43本,大臼歯8本,合計51本に対しハイブリッドレジンブロックから製作したジャケットクラウンを製作し,6ヶ月から12ヶ月後,平均9.6ヶ月における臨床的評価を行った.評価項目は,辺縁適合性,表面性状,咬耗,破折,クラック,着色,プラークの付着,周囲歯肉の炎症,対合歯の咬耗の9項目とした.<br><B>結果:</B>15.7%(8症例)において,咬合面の一部に光沢の消失が認められ,5.9%(3症例)において,クラウン表面の一部に着色が認められた.また,装着後1~3ヶ月で4症例について脱離が認められたが,クラウンのクラックや破折は認められず,再装着を行い,その後は問題なく経過している.他の評価項目については装着時と変化は認められなかった.<br><B>結論:</B>ハイブリッドレジンブロックを材料に歯科用CAD/CAMシステムを用いて製作したジャケットクラウン51本を装着し,平均9.6カ月の予後観察を行ったところ,一部に光沢の消失と着色が認められたが,他には問題はなく,クラウンの材料として有効であることが示唆された.