著者
小泉 逸郎
出版者
北海道大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では、顕著な表現型多型を示すサケ科魚類を用いて、回遊二型(降海型と河川残留型)の遺伝的基盤と進化的起源を明らかにした。サクラマス、アメマス合計384個体においてゲノム全域から約8,000万塩基サイトの配列を決定した。ゲノムワイド関連分析(GWAS)を行ったところ、降海型と残留型を区別できる遺伝子領域はわずか1-4遺伝子座のみであり、効果もそれほど強くなかった。候補遺伝子領域をニジマスのドラフトゲノムと比較したところ、ニジマスにおける候補領域とは異なっていた。これらのサケ科魚類は似たような回遊特性を持つが、各種で異なる遺伝的変異を用いて降海/残留の表現型多型を達成していると考えられた。
著者
小泉 逸郎
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.265-269, 2007

本稿は私がポスドク中に滞在した北欧フィンランドで感じた日本とフィンランドの研究スタイルの違いについて、文化的側面から考察します。海外の研究において役立つ実践的な話は、えころじすと@世界のバックナンバーでしっかりと紹介されているので、本稿では趣を変えてみました。これまでの寄稿では日本と海外の研究体制の違いが紹介されてきましたが、重要なのはこういった違いが生み出される文化的・歴史的背景を理解し、今後の日本の方向性を考えることだと思います。