著者
小田 僚子 神田 学
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集 第21回(2008年度)水文・水資源学会総会・研究発表会
巻号頁・発行日
pp.141, 2008 (Released:2008-11-28)

首都圏に隣接する東京湾は,海陸風循環という形でヒートアイランド現象や集中豪雨といった都市大気環境問題に影響を及ぼしていることが指摘されているが,海陸風循環の駆動力となる海表面温度の時間スケールの短い変動傾向については,詳細には理解されていない.そこで本研究では,約1年間に渡って,東京湾の海表面温度および海上気温の直接多点観測を実施した.日較差に着目した結果,東京湾は,湾奥ほど浅く熱容量が小さいことから,年間を通じて湾奥ほど日変化(日較差)が大きく,その傾向は夏季ほど強いことが示された.なお,降雨がある場合は,季節を問わず,湾内全域で日較差はほぼ一定となるが,降雨がない場合は日射強制力に依存した季節変動を示す.また,日較差は風速にも依存し,夏季の晴れた日は風速が弱いほど日較差が大きくなる(約2.2℃)ことが示された.
著者
小田 僚子 橋北 太樹 菅原 広史 清野 直子 稲垣 厚至
出版者
一般社団法人環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 (ISSN:03896633)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.37-42, 2016

<p><tt>首都圏では局地的大雨が多発し都市水害が深刻化しており,その発生場所や時間,降雨の規模などを予測し災害を最小限にすることが望まれている。本研究では,東京湾周辺の沿岸部</tt>4 <tt>地点に屋外ネットワークカメラを設置し,都心および東京湾上の大気場を常時観測するシステムを構築した。ステレオ観測により,都心で発生した積乱雲の成長初期段階から発生場所と発達高度を定量的に評価できることを示した。また,夏季における雲の流れ場から,雲の存在高度が</tt>2 <tt>層となっている状況は約</tt>35<tt>%あった。下層の雲の動きは衛星画像から捉えることは困難である一方,降雨の発生には下層の大気の流れを把握することが重要であることを指摘した。</tt></p>