著者
咸 光珉 孫 鏞勳 三谷 徹 章 俊華
出版者
一般社団法人環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 (ISSN:03896633)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.393-398, 2012

本研究は韓国の宮殿「昌徳宮」庭園を対象とし,建物にかけられている扁額の意味を分析し,庭園空間の特徴を明らかにすることを目的とした。その結果,扁額の意味は周辺景観(自然物,自然現象,動・植物,季節的要素,眺望)と当時の思想(徳・仁・孝,天人合一,神仙)に関連しており,また扁額の分布によって政治的,思想的,修養的,複合的イメージが強い空間の4 タイプのエリアが得られた。以上より,扁額と共に庭園空間を理解することは,韓国伝統庭園の奥深さを更に深め,空間の特徴をより明確にさせることがわかった。
著者
小田 僚子 橋北 太樹 菅原 広史 清野 直子 稲垣 厚至
出版者
一般社団法人環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 (ISSN:03896633)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.37-42, 2016

<p><tt>首都圏では局地的大雨が多発し都市水害が深刻化しており,その発生場所や時間,降雨の規模などを予測し災害を最小限にすることが望まれている。本研究では,東京湾周辺の沿岸部</tt>4 <tt>地点に屋外ネットワークカメラを設置し,都心および東京湾上の大気場を常時観測するシステムを構築した。ステレオ観測により,都心で発生した積乱雲の成長初期段階から発生場所と発達高度を定量的に評価できることを示した。また,夏季における雲の流れ場から,雲の存在高度が</tt>2 <tt>層となっている状況は約</tt>35<tt>%あった。下層の雲の動きは衛星画像から捉えることは困難である一方,降雨の発生には下層の大気の流れを把握することが重要であることを指摘した。</tt></p>
著者
金澤 朋子 鳥谷 明子 小島 仁志 小谷 幸司 安藤 正人 村田 浩一
出版者
一般社団法人環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 (ISSN:03896633)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.103-106, 2016

<p><tt>本研究では,動物園の役割のひとつである「環境教育」に着眼し,その効果を高める上で重要なツールである解説板の設置位置と来園者行動との関係性を検討した。横浜市立金沢動物園のインドゾウ展示場を対象に,解説板の設置位置を</tt>3 <tt>パターンに分け,展示場前の観覧通路を</tt>7 <tt>区分した上で来園者行動の観察および来園者に直接解説板への関心の有無を確認し,解説板に対する関心度合の把握を行った。その結果,来園者の解説板に対する関心は高いことに加え,解説板を展示場の両端に設置した場合と中央に設置した場合とでは来園者行動が異なることなど,動物園における「環境教育」の機会がより広がる有用な知見が得られた。</tt></p>
著者
黒木 翔吾 真鳥 晃一 松村 隆
出版者
一般社団法人環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 (ISSN:03896633)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.455-460, 2011

大学生を対象に携帯電話リサイクルに関する意識調査を行った。携帯電話端末にレアメタル等が使用されていることを知っている学生は約64%であった。機種変更時に使用済み携帯電話端末を返却・リサイクルしたものは約25%で,約67%の学生はそのまま所持していた。返却・リサイクルしなかった理由は,電話機能以外の目的で所持(約27%),思い出として手元に保管(約28%),処理が面倒(約19%),リサイクルできることを知らなかった(約11%),個人情報流出への懸念(約10%)であった。返却・リサイクルをしなかった学生約90 名を対象に携帯電話リサイクルに関する経済的なインセンティブに関する調査も行った。
著者
佐藤 秀樹
出版者
一般社団法人環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 (ISSN:03896633)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.151-156, 2016

<p>バングラデシュ・クルナ市では,「ウエイスト・ピッカー」と呼ばれるインフォーマルセクターの労働者が街のごみ集積場や最終処分場で有価廃棄物を収集し生計を立てている。手袋や長靴を身につけない人が多いため, 彼らの約70%は皮膚そう痒の疾患を患っている。彼らの労働衛生の環境改善に関する必要性は指摘されてきたが,能力向上を図るための衛生教育は十分でない。そこで,本研究では彼らの衛生教育の必要性と教材開発の内容に関する方向性を考察した。その結果,視覚教材開発や体験学習を通じて,「ごみ」,「安全管理」,「健康」の視点から,彼らの生活環境やメンタルケアを含めた教育の重要性が認識された。</p>
著者
藤野 友和
出版者
一般社団法人環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 (ISSN:03896633)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.303-308, 2015

本研究では,環境保護に対する意識と環境配慮型商品の購買行動との関連性を,アンケート調査と実際の購買履歴データを用いて分析することの可能性について,実際にこれらのデータの基本的な分析を行って考察を与えた。用いたデータは,株式会社マクロミルが提供している消費者購買履歴データと,そのモニタに対する意識調査データである。意識調査データについては,環境に関する質問項目の回答に対して因子分析を行い,5 因子を抽出した。一方,消費者購買履歴データからは,環境配慮型商品として,環境に関する単語を含むトイレットペーパーの購買履歴を抽出し,これらの購買傾向と因子得点との関連性について考察を行った。
著者
黒田 貴綱
出版者
一般社団法人環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 (ISSN:03896633)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.129-132, 2016

<p><tt>カヤネズミは,里地では水田内,畦畔,耕作放棄地などの草地に営巣することが知られているが,我が国に一般的に見られる,草地の農的管理が十分に実施されている水田地域において,その営巣状況は不明な点が多い。本研究では,営農者を中心とした住民へのアンケートと営巣確認調査により,本種の営巣状況の把握を目的とした調査研究を実施した。農的管理が十分に実施され、草本類が伸長した畦畔や耕作放棄地が存在しない地域において本種の営巣が確認され,稲が成長した水田が本種の営巣環境として機能していた。</tt></p>
著者
大森 将希 大木 宜章 大沢 吉範 木科 大介
出版者
一般社団法人環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 (ISSN:03896633)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.145-150, 2013

本研究は,廃棄物を利用した効率的なエタノール発酵の可能性を見出すため,糖化工程を省略したエタノール発酵におけるエタノール生成および有機酸の生成量と割合特性について検討を行った。試料には,模擬生ごみを用い,これにS.cerevisiae を接種した。その結果, S.cerevisiae と模擬生ごみに生息している嫌気性細菌による複合微生物系によって,優先的にエタノールが生成され,有機酸の種類と割合が同様な傾向になった。また,酵母接種比が高くなるにつれて,固形分減少率も高くなる傾向がみられた。 これらの検討結果より,糖化工程を省略したエタノール発酵における最適反応時間は18 時間であり,最適酵母接種比は3.45g-湿潤酵母/kg-模擬生ごみであることが分かった。