著者
佐々木 康人 小田 啓二 甲斐 倫明 酒井 一夫 桐生 康生 宮崎 振一郎 米原 英典
出版者
日本保健物理学会
雑誌
保健物理 : hoken buturi (ISSN:03676110)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.191-210, 2008-09

The International Commission on Radiological Protection (ICRP) published the 2007 Recommendation of ICRP as the publication 103 of Annals of ICRP at the end of the year 2007. Owing to the transparency of revision process for the 1990 recommendation (Publ. 60) the understanding of as well as the interest in the new recommendation prevailed widely in the past 9 years. The Japan Health Physics Society (JHPS) made contribution to the revision by providing valuable comments on the drafts. Now members of the society are expected to express their insights on the future regulatory aspects of radiological protection and safety based on deep understanding of the new recommendations. In this issue of the Japanese Journal of Health Physics authors who participated in the Symposium of JHPS describe various aspects of new recommendations and its applications to future regulations in Japan. The authors wish that this article will help members of JHPS for better perception of the new recommendation and deep insight on the new principles of radiological protection and their application to regulations.
著者
神野 智史 金崎 真聡 松井 隆太郎 岸本 泰明 小田 啓二 山内 知也 上坂 充 桐山 博光 福田 祐仁
出版者
プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 = Journal of plasma and fusion research (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.95, no.10, pp.483-489, 2019-10

レーザー駆動イオン加速技術において,ミクロンサイズの水素クラスターのクーロン爆発を利用して,高繰 り返しで,multi-MeV の純陽子線を発生させる方法を提案した.本研究において,クライオスタットで冷却した 高圧水素ガスをパルスバルブに接続した円錐ノズルを介して真空中に噴射することによりミクロンサイズの水素 クラスターターゲットを発生させる装置を開発した.水素クラスターのサイズ分布は,散乱光の角度分布から Mie 散乱理論に基づき,Tikhonov 正則化法を利用して数学的に見積もった.25 K,6 MPa の状態の水素を噴射し た場合,クラスターの最大サイズは 2.15±0.1 μm であると見積もられた.その上で,J-KAREN-P 施設において水 素クラスターをターゲットとした 0.1 Hz 高繰り返し陽子加速の実証実験を行った.トムソンパラボラスペクトロ メーターを用いたエネルギー測定では,最大 7 MeV の純陽子線を観測した.高出力レーザーパルスとミクロンサ イズ水素クラスターの相互作用過程に関する三次元 Particle-in-Cell(PIC)シミュレーションにおいては,レー ザー伝搬方向に加速される 300 MeV におよぶ高指向性の準単色陽子発生が予測され,本手法は,将来的に高繰り 返しの高エネルギー高純度陽子源の有力候補になる可能性を秘めている.
著者
小田 啓二 山内 知也
出版者
神戸商船大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

宇宙活動に伴うシャトル乗務員の被曝線量測定、環境中ラドン濃度測定、個人中性子線量計等に利用されているCR-39飛跡検出器は、その製造過程、エッチング条件及び評価手法が研究者によって異なっているため、データの直接比較が出来ない状況にある。そこで、本研究では、これまで独立に基礎データを収集してきたサンフランシスコ大学(USF,米)、フランシュ・コンテ大学(UFC,仏)、ドレスデン工科大学(DUT,独)及び神戸商船大学の4チームが、統一された諸条件の下で軽イオン較正実験を行い、世界共通のデータベースとして確立することを目的とした。まずはじめに、1999年度までに3チーム個別に収集した水素同位体(p,d,t)およびα粒子のデータを見直すとともに、一部データを補充した。次に、4.8,6,8,10.8MeVのLiイオンを照射したサンプルを各チームに配布し、個別にエッチング処理およびデータ解析を行った。その結果、DUTチームの10.8MeVサンプルに対する評価値のみおよそ20%ずれていたが、その他のデータは概ね一致した。また、詳細に調べると、本来一本のレスポンス関数となるべきデータが、入射エネルギーに少し依存していることを見出した。同時平行で進めている潜在飛跡形成に関する基礎研究の結果から、表面に低感度の薄い層が存在しているためではないかと推論した。最後に、炭素イオンに関する実験を行った。この結果、3チーム間の評価値のずれがリチウムイオンより大きくなる傾向にあった。炭素イオンはリチウムイオンと比べてトラックエッチ率の変化が一層激しいため、特に飛跡終端での誤差が大きくなったためだと考えられる。このため、我々のチームでは、エッチング間隔を密に取るとともに、我々が開発したトラック追跡法も適用した。これらとの比較から、評価したレスポンスの誤差はエッチング間隔の選定が重要なファクターとなっていることを明らかにした。