著者
小菅 充子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
no.38, pp.43-55, 1998-03

紅茶の浸出液を冷却した際に見られるクリームダウンが,どの様な条件により出現し易いか実験を行った。また緑茶や烏龍茶においても同様の現象が見られるのか否かについても調べてみた。紅茶においては溶出タンニン量の多い茶葉のものはクリームダウンが起こり易く,また冷却前に砂糖を添加しておくと,クリームダウンは抑制されることが確認出来た。同じ茶葉を用いても硬度の高い浸出水で浸出した時は,浸出液の色調は暗赤化し,クリームダウンも激しかったが,溶出タンニン量はむしろ少なかった。冷却方法については,流水及び冷蔵庫による緩慢冷却も良い方法と思われる。緑茶,烏龍茶においては,紅茶と比較してクリームダウンの生成はかなり低かった。しかし浸出水の硬度が高くなると,紅茶と同様かなりのクリームダウンが出現し,タンニンは溶出しにくくなる傾向が見られた。各浸出水を加熱してみると,硬度の高かった浸出水において白濁が見られ,緑茶,烏龍茶,そして紅茶においてクリームダウンという形で我々の目に写っていたものは,タンニンとカフェインの結合物が冷却されて析出したものだけではなく,この浸出水による白濁も大きな部分を占めていたと推測された。
著者
小菅 充子 森 洋子 山西 貞 渕之上 弘子
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.52, no.6, pp.259-262, 1978 (Released:2008-11-21)
参考文献数
2
被引用文献数
3 5

The aroma concentrates were prepared from the fresh tea flush of both var. Sayamakaori (a newly registered variety) and var. Yabukita (a popularized variety for green tea), and also from their made tea “Sencha.” Combined gas chromatographic-mass spectrometric analysis was performed on the four aroma concentrates, using a polar and a non-polar columns. By comparison of the chromatograms of “Sencha” from var. Sayamakaori and var. Yabukita, it was clearly recognized that the amount of nerolidol, cis-jasmone and indole were much larger in var. Sayamakaori than in var. Yabukita. On the other hand, linalool was much smaller amount in var. Sayamakaori of both fresh tea flush and “Sencha.” These facts seemed us to explain the aroma characteristics of var. Sayamakaori which is more heavier and lasting floral aroma.
著者
小菅 充子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.85-94, 1989-03-31

近年健康に対する関心度は高く,特に成人病と食塩摂取量との関係が注目され,日常の食生活においても減塩志向が盛んである。一方加工食品の利用率も年々増加の傾向にあり,1日の食塩摂取量に対する加工食品の占める割合も高いと考えられる。本実験では,最も一般的な加工食品である即席麺と即席汁物を取り上げ,その利用上の注意点を求めることを目的に,全食塩量および食する際の食塩濃度を測定し,次の様な結果を得た。表示通りの方法で調理を行った即席麺の汁の食塩濃度は1.00∿1.52%と,一般の汁物の好ましいとされる食塩濃度に比べてかなり高い値であった。また汁物の即席麺の全食塩量は4.29∿6.54gで,この差は各麺の汁の容量の差と食塩濃度の差によるものであった。焼きそば類は調味料を麺の回りにまぶす方法をとるので,2.49∿3.30gと汁物の麺よりかなり低い値であった。即席汁物のうち,味噌汁の全食塩量は1.49∿2.53gであるのに対し,すまし汁のそれは1.14∿2.10gとやや低い値であった。カップ入りのものを除いた他のものは1椀分となっているが,盛りつけ量を考慮して食塩濃度を算出すると,本学学生の家庭の味噌汁およびすまし汁の食塩濃度の測定値よりかなり高い値となってしまう。1日1人当りの食塩摂取量は10g以下,特に本態的高血圧の予防の面からは3∿5gに保つことが望ましいとされている現在,測定された様な高い値の食塩量を含む即席麺や即席汁物の利用には,充分の注意が必要であろう。一方塩味の好みは学習により習慣形成されて行くとされるので,今回測定された様な高い食塩濃度の摂取がくり返されぬ様,表示以上の稀釈を行う等の配慮がなされるべきと結論できる。なお食塩の定量については,調理上の塩味として考える時には,従来行われているようなナトリウムまたは塩素のいずれか一方の測定値のみからの食塩量の算出では,問題が多い様に思われる。
著者
小菅 充子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.45-53, 1994-03-31

和洋女子大学および和洋女子短期大学に在校する,関東地方に住いのある学生の家庭の味噌汁とすまし汁の食塩濃度を10年に渡り3回測定し,以下の様な結果を得た。1.昭和56年(178家庭),昭和63年(126家庭),平成3年(96家庭)の味噌汁の食塩濃度の平均値は1.27%,1.02%,0.95%であり,すまし汁のそれは0.91%,0.86%,0.79%であった。2.いずれの年も,味噌汁はすまし汁よりも高い食塩濃度を示し,有意の差が認められた。3.味噌汁に於ては,食塩濃度は経年的に有意に減少した。4.すまし汁に於ては,昭和56年と昭和63年では食塩濃度に有意の差は認められなかったが,昭和63年から平成3年では有意に減少した。5.昭和63年と平成3年に於ては,高い食塩濃度の味噌汁を好む家庭は,すまし汁についても高い食塩濃度のものを好むことが認められた。6.平成3年に於ては,味噌汁とすまし汁の顕著な摂取離れが観察された。