著者
小見山 二郎 橋場 浩子 牛腸 ヒロミ 仲西 正
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.404-412, 2004 (Released:2013-02-19)
参考文献数
33
被引用文献数
5

ナイロン中の酸性染料の拡散挙動の解析のためにつくった二元収着拡散理論を, 加熱調理時の大根中の食塩の拡散挙動の解析に適用した.このために, 98℃ で簡便に一次元拡散のプロファイルを測定する実験方法を考えた.大根の軸方向の拡散プロファイルとして, 典型的な分配型とラングミュアー型の二元機構に対応するパターンを得た.このプロファイルから, フィックの拡散係数が極大を示すことが導かれ, さらにこの結果を解析して, 大根中の食塩の熱力学的拡散係数は, 2.1×10-5cm2s-1で沸騰水中のそれの約1/3であること, ラングミュアー型の結合定数は4.0×102kg/molであることを示した.この手法そのものと, 食材の調理に応用する場合の拡がりと問題点について議論した.
著者
小見山 二郎 宮崎 由伊 中野 麻子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.247, 2006

<目的>昨年、表題の現象について社会心理学的に考察した。ジーンズのボロ化現象は続いているが、今回、各社会的要因、個人化、アメリカ化、環境意識などの重要度とこれらと個人の意識の連関について、少し深く再考した。また前回はこれらを取り上げた理由を直感としか説明しなかったが、少し詳しい説明が必要と考えた。実践女子大学生活科学部紀要43号(2006)に投稿するに際し、これらのことを再考したのでお話したい。<方法>その後の文献調査により、この取り扱いは、デカン「流行の社会心理学」岩波書店(1981)の亜流といってもよいことがわかった。戦後の日本社会の変化はいろいろの視点で捕えられるが、本説の捕え方は50年間に書物と経験から得た知識の集大成としか言いようがない。当日要点を説明する。またボロ化が前近代への突き抜けであるとの考察では、柳田國男の視点を参考にした。現代の個人の意識については、聞き取った言葉から抽象した。<結果>衣服文化論を離れて、戦後の日本社会の変化が、人々の心にどういう変化をもたらしたかを概括した。ジーンズのボロ化に対する影響における重要度の順に、個人化、アメリカ化、環境意識とした。ボロ化における個別性、下から上への流行の波及、自然化と前近代化、がこれらの3つのそれぞれの影響であると考えた。個人の意識と社会的意識を納得できるように結ぶことも重要で、この点は当日説明する。さらにボロ化の3分類、すだれ状の破れ、脱色、つぎはぎ、の今後についても議論する。
著者
橋場 浩子 牛腸 ヒロミ 小見山 二郎
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.26-30, 2015 (Released:2015-03-06)
参考文献数
15

豚ロースブロック肉中の食塩の拡散挙動を調べた結果,大根,凝固卵白,豚肉,ジャガイモ中の食塩の拡散に比べ食塩が浸透しにくいという結果が得られた。そこで,浸透がしやすい豚ロースミンチ肉を調製し,SEM観察を行った。ミンチ肉の筋線維が破壊されており,拡散プロファイルは他の食材のそれに近づいた。二元収着拡散理論を適用して,NaClのラングミュアー型および分配型の熱力学的拡散係数,DT(L)とDT(p)を求めたところ,ミンチ肉はブロック肉の約2倍大きいことがわかった。これらの結果に基づいて,ミンチ肉とブロック肉の感覚に及ぼすミンチの影響を官能評価により比較した。これら2種の豚ロース肉の官能評価の結果,2点識別法ではミンチ肉はブロック肉に比べて,有意に色が明るく,塩味が強く,軟らかかった(p<0.01)。これらの結果は色度測定,塩分測定,テクスチャー測定の結果に対応していた。2点嗜好法では,軟らかさに対する好ましさでミンチ肉が有意に好まれた(p<0.01)。以上の結果から,組織構造が煮物の味やおいしさに関与することが示唆された。