著者
木村 佳人 山下 幸政 三上 栄 小野 洋嗣 板井 良輔 松本 善秀 山田 聡 高田 真理子 住友 靖彦
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.110, no.2, pp.271-281, 2013 (Released:2013-02-05)
参考文献数
9
被引用文献数
1

症例は48歳,男性.血液検査で肝胆道系酵素と好酸球数の上昇を認めた.画像検査上は当初明らかな胆管病変を認めず,肝生検でも特徴的な所見に乏しかったが,何らかの自己免疫疾患を疑いステロイドを投与した.一旦は軽快したがステロイド減量にともない再増悪を認め,画像上も胆管に原発性硬化性胆管炎類似の広狭不整像が広範に出現した.再度肝生検を施行したところ門脈域に密な好酸球浸潤を認め,好酸球性胆管炎と診断した.
著者
大川 清孝 青木 哲哉 上田 渉 佐野 弘治 小野 洋嗣 中内 脩介
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.470-481, 2018 (Released:2018-10-25)
参考文献数
32

サイトメガロウイルス(CMV)腸炎は免疫不全症や集中管理を要する重症患者が背景として多い.内視鏡像では打ち抜き様類円形潰瘍のみでなく,輪状傾向潰瘍,帯状潰瘍,縦走潰瘍,二段潰瘍などの存在,多彩な潰瘍の混在などがあれば,本症を疑う必要がある.診断には病理学的検査(HE染色による核封入体の検出とCMV免疫組織検査によるCMV抗原の検出)やCMV抗原検査が用いられるが,偽陰性が多いのが問題である.潰瘍性大腸炎(UC)においてステロイド抵抗性や難治性の場合にCMV腸炎合併を疑う必要がある.病理学的検査とCMV抗原検査は,特異度は高いが偽陰性が多い.粘膜CMV-DNA検査は感度,特異度とも高いが,抗ウイルス療法の適応を決めるには疑陽性が多くなるため,適正なcut off値を決める必要がある.両疾患ともCMV検査が陰性であっても,臨床的にCMV感染症を強く疑えば,診断的治療が必要なこともある.
著者
大川 清孝 上田 渉 青木 哲哉 大庭 宏子 宮野 正人 小野 洋嗣 中内 脩介 山口 誓子 倉井 修
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.981-990, 2018 (Released:2018-04-20)
参考文献数
16
被引用文献数
2

【背景・目的】他疾患との内視鏡的鑑別診断を行うために,カンピロバクター腸炎とサルモネラ腸炎の内視鏡像の特徴を明らかにすることは意義があると考えられる.【方法】7年間に当院で経験した両疾患について,臨床像,罹患部位,内視鏡像を後方視的に検討し比較した.内視鏡像を検討できたのはカンピロバクター腸炎43例とサルモネラ腸炎7例であった.【結果】両疾患の臨床像は類似しており差はなかった.罹患部位は下行結腸~直腸についてはカンピロバクター腸炎で有意に高率であった.大腸の内視鏡所見は,両疾患とも粘膜内出血と浮腫が特徴であった.大腸の潰瘍出現率はサルモネラ腸炎が29%で有意に高かった.回盲弁の潰瘍出現率はカンピロバクター腸炎が45%で有意に高かった.【結論】両疾患における大腸内視鏡像の特徴は粘膜内出血と浮腫であり,両疾患の鑑別には回盲弁の潰瘍の有無と大腸の潰瘍の有無が有用である.