著者
小関 忠樹 関口 航 押野 真央 竹村 直 齋藤 佑規 吉田 海斗 工藤 大輔 髙野 圭太 神 将文 仁藤 充洋 田辺 茂雄 山口 智史
出版者
Japanese Society for Electrophysical Agents in Physical Therapy
雑誌
物理療法科学 (ISSN:21889805)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.55-64, 2022 (Released:2022-08-20)
参考文献数
39

体表から脊髄を刺激する経皮的脊髄直流電気刺激(tsDCS)と神経筋電気刺激(NMES)の同時刺激は,中枢神経系を賦活することで,脳卒中後の歩行能力を改善する可能性があるが,その効果は不明である.本研究では,同時刺激が健常成人の皮質脊髄路興奮性に及ぼす影響(実験1)と脳卒中患者の歩行能力に与える影響(実験2)を検討した.実験1では,健常者12名に対して,同時刺激条件,tsDCS条件,NMES条件を,3日以上間隔を空けて20分間実施した.介入前後で前脛骨筋の皮質脊髄路興奮性変化を評価した.実験2では,脳卒中患者2名にNMES単独条件と同時刺激条件の2条件を3日ずつ交互に繰り返し,計18日間実施した.結果,実験1では,同時刺激条件で介入後15分,60分の時点で有意に皮質脊髄路興奮性が増大した(p<0.05).実験2では,同時刺激は歩行速度と歩数を改善しなかった.tsDCSとNMESの同時刺激は,健常者の皮質脊髄路興奮性を増大するが,脳卒中患者の歩行能力に対する効果はさらに検討が必要である.
著者
渡邊 慎吾 須賀 康平 小野 修 江川 廉 茂木 崇宏 櫻井 佳宏 小関 忠樹
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会 東北ブロック協議会
雑誌
東北理学療法学 (ISSN:09152180)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.66-73, 2018-09-01 (Released:2018-09-14)
参考文献数
27

脳卒中後の痙縮は,運動機能の回復を阻害する可能性を有することから,早期に痙縮発症の要因を同定することが重要であると考えられる。そこで,本レビューは脳卒中後早期の痙縮発症の予測因子を調査することを目的とし,論文レビューを実施した。データベースはPubMedを用いた。論文検索は,“spasticity”,“post stroke spasticity”の2つの用語に“stroke”,“cerebrovascular accident”,“CVA”,“predictors”,“risk factors”を組み合わせて実施した。すべての検索は2017年5月22日までに終了した。最終的に15編の論文が採用された。痙縮発症の予測因子は,運動機能に関する報告が最も多かった。その他に,感覚機能,疼痛,年齢等の患者属性,臨床経過および脳の損傷部位が挙げられた。痙縮発症の要因を早期に同定し,リハビリテーションおよび薬物治療を実施することは,さらなる運動機能の回復や介護負担の軽減および治療コスト削減をもたらす可能性がある。