著者
喜多崎 親 山口 惠里子 尾関 幸 松原 知生 佐藤 直樹 堀川 麗子
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

19世紀の前半にドイツのナザレ派、フランスの宗教画刷新運動、イギリスのラファエル前派など、絵画に於いてラファエッロ以前を強く意識した運動が各国で起こった。これらは相互に関係を持ち、ラファエッロ以前、すなわち盛期ルネサンスよりも前の絵画様式への回帰を謳ってはいたが、一律に同じ様式を採用するという結果にはならなかった。それは各国の民族的文化への意識や、近代への意識が微妙に関係していたためである。
著者
鎌田 東二 梅原 賢一郎 河合 俊雄 島薗 進 黒住 真 船曳 建夫 原田 憲一 藤井 秀雪 中村 利則 小林 昌廣 尾関 幸
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日本語の「モノ」には物質的次元、人間的次元、精神的・霊的次元が含意されているという問題認識に基づき、日本文明の創造力の基底をなすその三層一体的な非二元論的思考の持つ創造性と可能性、またその諸技術と表現と世界観をさまざまな角度から学際的に探究し、その研究成果を4冊の研究誌「モノ学・感覚価値研究第1号~第4号」(毎年3月に研究成果報告書として刊行)と論文集『モノ学の冒険』(鎌田東二編、創元社、2009年11月)にまとめて社会発信した。また最終年度には、「物からモノへ~科学・宗教・芸術が切り結ぶモノの気配の生態学展」(京都大学総合博物館)と、モノ学と感覚価値に関する3つの国際ンポジウムを開催した。
著者
尾関 幸
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

ドイツ・ロマン主義美術に特有の図像とされる「友愛図」は、西洋美術に見られる「明・暗」「聖・俗」「静・動」「善・悪」等の図像伝統に依拠しつつも、二者間の弁証法的な統合を強調するものである。それは「分かれ道のヘラクレス」「アモルとプシュケ」といった過去の図像伝統から発し、そこに「和解」という新たな意味を付け加えた。対概念として表現される友愛図像は、分析的時代であった十八世紀を超克し、再び宗教改革以前に存在したと信じられた全体性を希求する時代精神を象徴しているのである。