- 著者
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山中 蛍
後藤 秀昭
竹内 峻
中田 高
- 出版者
- 公益社団法人 日本地理学会
- 雑誌
- 日本地理学会発表要旨集 2020年度日本地理学会春季学術大会
- 巻号頁・発行日
- pp.244, 2020 (Released:2020-03-30)
地形学の研究では,地表面の様子を記録するために,現地での地形計測が実施されることが多い。等高線表現を用いた中〜大縮尺の地形図や空中写真の判読・分析のほか,近年では,航空レーザ測量などによる精緻な数値標高モデル(DEM)を用いた研究が主流となりつつあるとはいえ,より詳細な分析や,説得力ある情報収集のためには,現地での地形計測は欠かせない。 地形計測では,オートレベルやトータルステーションなどの多様な測量機器が用いられてきたが,近年では,GNSS(全球測位衛星システム)が重要な社会インフラとして整備されつつあり,地形研究でも広く利用されるようになってきた。その一方で,精度のよいGNSS受信機は,その価格や機材の大きさから,誰でも,どこでも,気軽に使えるほどではないのが実情である。しかし,近年,GNSSモジュールやアンテナの高性能化,小型化に伴い,センチメートルオーダーの測位が可能なパーツが廉価で販売されはじめ,農業や土木などの実業的な分野でこれらの応用が進みつつある(中本,2018)。 本研究では,それらのパーツを組み立てた小型で廉価なRTK-GNSS計測機器を作成し,地形学的な研究での利用について検討を行った。その結果,可搬性に富み,現地での作業が簡便なうえ,これまでのRTK-GNSS受信機と同等の精度で地形計測が可能であることが解った。発表では,機器の構成や使用方法および測位精度を報告するとともに,断層変位地形での現地計測を通して,地形研究への適用の可能性について報告する。