著者
岩佐 佳哉 濱 侃 中田 高 熊原 康博 後藤 秀昭 山中 蛍
出版者
一般社団法人 日本活断層学会
雑誌
活断層研究 (ISSN:09181024)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.57, pp.1-13, 2022-12-26 (Released:2023-06-27)
参考文献数
19

In order to evaluate the applicability of 3D scanners for field survey on surface ruptures, we examined the scanning accuracy, point cloud density, usability, and time efficiency of the instruments of three different SLAM methods, Avia for LiDAR SLAM, ZED 2 for Visual SLAM, and iPad Pro for Depth SLAM We conducted experimental surveys on the surface ruptures associated with the 2016 Kumamoto Earthquake at two locations. One is the surface rupture preserved as the earthquake heritage in the Aso field of Tokai University, while another is a normal fault rupture in the forested area at Miyayama, Nishihara Village, Kumamoto Prefecture. All the scanners obtained detailed point clouds, from which we successfully made digital surface models, cross-profiles and contour maps in a few tens of minutes. We came to know that Avia is most effective among the three scanners for wide-area mapping and that iPad Pro is a useful handy instrument for mapping limited areas. From our experimental survey, it is highly recommended to use Avia and iPad Pro together (in the field) in order to collect detailed geometric data of surface ruptures immediately after earthquake.
著者
木澤 遼 濱 侃 吉田 圭一郎
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.12-22, 2022 (Released:2022-03-24)
参考文献数
41

本研究では,北海道北部の利尻岳における森林限界の変化を検討するため,過去の空中写真と小型無人航空機(UAV)の画像を用いて,森林限界付近の40年間の植生変化を明らかにした.空中写真による土地被覆分類の結果,利尻岳西向き斜面では森林の占める割合が増加すると同時に,高標高側へ拡大していた.ロジスティック回帰分析より森林限界は40年間で41.9 m高標高側へ移動しており,その上昇速度は1.0 m yr-1であった.空中写真およびUAV画像による植生判読から,森林限界付近ではダケカンバ林における林冠木の密度の増加に加え,新たなダケカンバ林分の成立がみられた.新規のダケカンバ林分は高標高側のササ草原やハイマツ群落を置換しており,このことにより,利尻岳西向き斜面において森林限界が上昇したことがわかった.
著者
小島 千鶴 小寺 浩二 濱 侃 齋藤 圭
出版者
日本水文科学会
雑誌
日本水文科学会誌 (ISSN:13429612)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.61-70, 2017-08-28 (Released:2017-09-20)
参考文献数
29
被引用文献数
1 3

本研究では群馬県大間々扇状地における地下水の硝酸態窒素(NO3--N)汚染に着目し,9ヶ月の定期調査から,NO3--N濃度の空間分布及び,季節変動について考察を行った。分析の結果,27の調査地点のうち7割以上が人的汚染の影響を受けていることが示唆され,その中でも農用地が多い地域の地下水からは高濃度のNO3--Nが確認された。さらに,NO3--NとCl-・SO42-が強い相関を示したことから地下水のNO3--N汚染は施肥に起因していることが示唆された。また,地下水のNO3--N濃度及び水位の季節変動は降水量とほぼ対応しており,雨期は土壌からの溶脱によってNO3--N濃度が上昇したと考えられる。加えて,井戸の中には調査期間を通して環境基準値を超過した地点も複数確認され,地下水への汚染は一過性のものでは無く,ある程度長期的に生じていることが明らかとなった。
著者
小寺 浩二 濱 侃 齋藤 圭 森本 洋一
出版者
公益社団法人 日本地下水学会
雑誌
地下水学会誌 (ISSN:09134182)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.237-249, 2014-08-30 (Released:2014-10-21)
参考文献数
12
被引用文献数
2
著者
濱 侃 田中 圭 望月 篤 鶴岡 康夫 近藤 昭彦
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

<b>Ⅰ</b><b> はじめに</b><br> 現在,農地を小労力,低コスト,低環境負荷で適切に管理するための作物の生育に関するデータの取得方法として,Unmanned Aerial Vehicle(UAV)を利用した近接リモートセンシングの活用が検討されている。そこで,衛星(特に光学衛星)を用いたバイオマス計測をはじめとした植生モニタリングの知見が応用され,施肥量の調整といった実利用を目的とした研究が進められている。これらのUAVを用いた観測データは,農家にとっては生育調整などに利用でき,同時に,搭載するセンサー次第で任意のデータを高頻度に取得可能なオンデマンド型リモートセンシングとして植生モニタリングに利用することができる。<br>本研究では,水稲を対象にUAVを用いた植生モニタリングを行い,高い時間および空間分解能の画像の取得に基づくフェノロジー観測,生育量の推定を試みた。<br><b><br> Ⅱ</b><b> 研究手法</b><br><b>☐</b><b> </b><b>フィールド観測</b><br> 千葉県農林総合研究センターの水稲試験場において,2014年,2015年の2年間,水稲の生育期間を中心におおむね週1回間隔で観測を行った。試験圃場は,2筆の水田を48区画に細分し,移植時期(全4期),品種(コシヒカリ,ふさおとめ,ふさこがね),施肥量(3~10gN/m&sup2;)を変えている。観測には,小型UAV(電動マルチコプター),可視光撮影用と近赤外撮影用のデジタルカメラ(可視画像:RICOH社 GR,近赤外画像:BIZWORKS社 Yubaflex)を用いて対地高度50mから空撮を行った。水稲の生育状況の実測データは,千葉県農林総合研究センターの観測値を使用した。<br><b>☐</b><b> </b><b>画像解析</b><br> オルソモザイク画像,3次元地表面モデルは,複数枚の重なり合う画像から自動でオルソモザイク画像,3次元地表面モデルを作成可能なSfM/MVSソフトウェアPhotoScan<br>Professional v1.2(Agisoft社)を用いて作成した。なお,近赤外撮影用カメラで撮影した画像は専用ソフト(Yubaflex2.0)で放射輝度に変換後,SfM/MVSソフトウェアを使用した。その後,植生指数(正規化差植生指数(NDVI)など)を計算し,植生活性度の計測および生育パラメーターの推定に使用した。なお,これらの情報をGIS(地理情報システム)上に集積し,時空間変化の解析を行った。<br><br><b>Ⅲ</b><b> 結果・考察</b><br> NDVIpvの時系列変化は,移植から出穂にかけて値が上昇し,その後登熟にかけて下降を示し,ピークの時期はほぼ出穂期と一致する。また,移植時期の差によるフェノロジーの差も,時系列変化に表れた。移植時期が遅いほど,出穂までの生育期間が高温になることで生育速度が早くなり,移植からNDVIpvのピークまでの期間が短くなった。移植時期が4月初旬と6月初旬で,その差は最大で24日となった。また,移植時期が遅いほどNDVIpvの最大値も高くなり,植生の活性度は高くなった。しかし,収量は増加せず,それらの区画では,重度の倒伏が確認され,過剰な生育の影響が示唆された。<br> 植生指標を用いて,出穂前(追肥の適期)の水稲の生育パラメーター(草丈,LAI)の推定を行った結果,草丈では特に推定精度が高く,平均二乗誤差は約5cmとなった。また,3次元地表面モデルから求めた草丈と実測した草丈を比較した結果,決定係数(R<sup>2</sup>)は0.82と高く,3次元地表面モデルを草丈の計測に使用できることがわかった。これらの草丈計測・推定手法の応用としてコシヒカリにおける倒伏予測を行った結果,予測エリアと実際の倒伏エリアは概ね一致した。