著者
岩佐 佳哉 濱 侃 中田 高 熊原 康博 後藤 秀昭 山中 蛍
出版者
一般社団法人 日本活断層学会
雑誌
活断層研究 (ISSN:09181024)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.57, pp.1-13, 2022-12-26 (Released:2023-06-27)
参考文献数
19

In order to evaluate the applicability of 3D scanners for field survey on surface ruptures, we examined the scanning accuracy, point cloud density, usability, and time efficiency of the instruments of three different SLAM methods, Avia for LiDAR SLAM, ZED 2 for Visual SLAM, and iPad Pro for Depth SLAM We conducted experimental surveys on the surface ruptures associated with the 2016 Kumamoto Earthquake at two locations. One is the surface rupture preserved as the earthquake heritage in the Aso field of Tokai University, while another is a normal fault rupture in the forested area at Miyayama, Nishihara Village, Kumamoto Prefecture. All the scanners obtained detailed point clouds, from which we successfully made digital surface models, cross-profiles and contour maps in a few tens of minutes. We came to know that Avia is most effective among the three scanners for wide-area mapping and that iPad Pro is a useful handy instrument for mapping limited areas. From our experimental survey, it is highly recommended to use Avia and iPad Pro together (in the field) in order to collect detailed geometric data of surface ruptures immediately after earthquake.
著者
岩佐 佳哉 熊原 康博 後藤 秀昭 石村 大輔 細矢 卓志
出版者
一般社団法人 日本活断層学会
雑誌
活断層研究 (ISSN:09181024)
巻号頁・発行日
vol.2022, no.56, pp.47-58, 2022-06-28 (Released:2022-12-28)
参考文献数
32

The Futagawa fault, extending southwest from Aso caldera, is one of the major dextral strike-slip active faults in Kyushu, southwest Japan. On 16 April 2016, the Kumamoto earthquake (Mj 7.3) occurred, and ~31-km-long right-lateral surface ruptures appeared along the Futagawa fault. After the 2016 earthquake, several trenching surveys were conducted across surface ruptures to reveal the faulting history. However, no trenching survey has been carried out in the 15-km-long middle section from Dozon to Aso caldera. We conducted a trenching survey and an additional hand auger survey to reveal faulting history in Komori, Nishihara Village, in the middle of the section. Furthermore, we carried out a geomorphological survey for the detailed description of the surface ruptures around the trench site. At the trench site, a ~40-cm-deep graben was formed by the 2016 earthquake. A similar graben structure appeared on the trench wall units, which shows larger vertical deformation than that of the 2016 earthquake, indicating that similar types of deformation to the 2016 earthquake have repeatedly occurred at this site. Based on such deformational features of units, we identified at least four faulting events, including the 2016 earthquake, since about 11,500 cal BP. Also, the timing of the penultimate event was 2,240-1,910 cal BP and the calculated recurrence interval was 2,400-3,800 years. The penultimate event may have been simultaneous in the section from the northeastern part of the Aso caldera to the southwestern part of the fault zone, similar to the 2016 Kumamoto earthquake. If this idea is correct, based on the overlap among event dates from previous studies as well as our result, the timing of the preceding earthquake is about 2,000 cal BP.
著者
松多 信尚 杉戸 信彦 後藤 秀昭 石黒 聡士 中田 高 渡辺 満久 宇根 寛 田村 賢哉 熊原 康博 堀 和明 廣内 大助 海津 正倫 碓井 照子 鈴木 康弘
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.214-224, 2012-12-31 (Released:2013-01-31)
参考文献数
26
被引用文献数
2 4

広域災害のマッピングは災害直後の日本地理学会の貢献のあり方のひとつとして重要である.日本地理学会災害対応本部は2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震直後に空中写真の詳細な実体視判読を行い,救援活動や復興計画の策定に資する津波被災マップを迅速に作成・公開した.このマップは実体視判読による津波の空間的挙動を考慮した精査,浸水範囲だけでなく激甚被災地域を特記,シームレスなweb公開を早期に実現した点に特徴があり,産学官民のさまざまな分野で利用された.作成を通じ得られた教訓は,(1)津波被災確認においては,地面が乾く前の被災直後の空中写真撮影の重要性と (2)クロスチェック可能な写真判読体制のほか,データ管理者・GIS数値情報化担当者・web掲載作業者間の役割分担の体制構築,地図情報の法的利用等,保証できる精度の範囲を超えた誤った情報利用が行われないようにするための対応体制の重要性である.
著者
中田 高 渡辺 満久 水本 匡起 後藤 秀昭 松田 時彦 松浦 律子 田力 正好
出版者
日本地球惑星科学連合
雑誌
日本地球惑星科学連合2016年大会
巻号頁・発行日
2016-03-10

富士川河口断層帯は,平均変位速度が7m/1,000年を上回る活断層によって構成され,駿河トラフのプレート境界断層の陸域延長にあたると考えられてきた(山崎,1979:地震調査委員会,1998など).一方,活動度が高く1回の変位量が大きい逆断層であるとされながら,多くの地点で実施されたトレンチ掘削や群列ボーリング調査によっても,断層運動を示す明確かつ決定的な証拠は発見されず(下川ほか,1996:静岡県,1996: 丸山・斎藤,2007,Lin et al. 2013など),大きな疑問となっていた. 富士川河口断層帯を構成する活断層のうち,東側の断層列は津屋(1940)が最初に指摘したもので,羽鮒丘陵の東縁を限る安居山断層とその南の星山丘陵の北東縁と南東縁をそれぞれ限る大宮断層と入山瀬断層からなり,富士山を中心として円弧を描く急斜面の崖下に北西側を低下させる断層が存在すると推定されている.西側の断層列は羽鮒丘陵の西の芝川に沿った芝川断層と蒲原丘陵の西縁を限る入山断層から構成される.羽鮒丘陵と星山丘陵は北西−南東方向に延びる背斜状の細長い高まり地形をなす.丘陵を開析する谷には小規模な河岸段丘や新規の富士溶岩流(大宮溶岩流(津屋,1940))が分布し,丘陵の長軸に直交する胴切り的な正断層によって上下変位を受けている.古富士泥流堆積面からなる丘陵の北縁に沿って丸みを帯びた急斜面が発達し,その下位の段丘面も富士山側に向かって撓んでいるが,古い面ほど急傾斜となり累積的な変形が継続していることが読み取れる.最近,筆者らはフィリピン・ルソン島中部のタール火山のカルデラ湖を囲む外輪山に,重力性の変形により形成されたと考えられる高まり地形を発見した(中田他,2016).この地形は羽鮒丘陵・星山丘陵と酷似しており,両者の成因が共通する可能性が高い. 駿河トラフの海底には,ほぼ南北に延びる急峻で直線的な東向きの海溝斜面が南海トラフの東端部のから連なり,その基部に活断層が発達する.活断層は,海溝斜面を開析するガリーが形成する小扇状地や谷底を変位させ比高数10mの低断層崖を発達させており,活発な断層変位が繰り返していることを示唆している.この急斜面は湾奥では北北西に走向を変え,由比川河口に達する(中田他,2009).大陸棚斜面上には,海底活断層が富士川河口に向かって分岐することを示す変動崖も存在しない。また,星山丘陵の南東縁を限る入山瀬断層は逆断層とされており,1854年安政東海地震の際に蒲原地震山・松岡地震山がこの断層に沿って出現したとされてきたが,その根拠は必ずしも明確ではない. 近年,詳細な空中写真判読から,富士川沿いの地域で南北性の活断層が次々と発見・確認されている.水本他(2013a,2013b)は,松田(1961)が西傾斜の逆断層と認定した身延断層に沿って,富士川の河岸段丘面の西上がりの変位や支谷の左屈曲を発見した.このうち,山梨県南部町原戸付近の支谷の系統的な左屈曲や,同町井出における河岸段丘面を西上がりに変位させる直線的な低断層崖は,身延断層が左横ずれ変位が卓越する活断層であることを示す確実な証拠である.また,渡辺他(2016)は富士川の東岸,身延駅南の角打〜樋之下に系統的な谷屈曲をもとに新たに南北性の左横ずれ断層を認定し,段丘礫層を変位させる断層露頭を確認した. さらに, 糸魚川−静岡構造線と富士川河口断層帯との間に発達する西傾斜の逆断層(松田,1961)のうち,根熊断層と田代峠断層に沿って河谷の左屈曲が複数発達することを新たに見出した.これらの断層は,「日本の活断層」(活断層研究会,1980)では確実度III(活断層の疑いのあるリニアメント)として記載されているものにほぼ一致する.このうち田代峠断層では,興津川上流の大平付近で認められる支谷の左屈曲が極めて明瞭である.伊藤他(2013)は地下構造探査の結果から,田代峠断層は逆断層成分を有する西傾斜の高角左横ずれ断層とした.また,野崎他(2013)は,田代峠断層の北方延長に当たる音下断層(松田,1960)の断層岩を解析し,この断層が高角西傾斜の横ずれ断層である可能性を指摘した.以上の結果から,南部フォッサマグナでは、糸魚川−静岡構造線と富士川との間の横ずれ変形帯が,駿河トラフにおけるフィリピン海プレート境界沿いの変動帯の陸域延長部にあたると考えることができる. 上述の新知見を考慮すれば,富士川河口断層帯、特にその東列をフィリピン海プレート北縁における陸域プレートの境界をとする考えには再検討が必要である.由比川沿いでは富士川河口断層帯の西列に当たる入山断層が活断層として認められてきた(活断層研究会,2001).しかし,由比川の支谷に左屈曲が複数認められるものの,活断層を連続的に認定するにたる明確な地形的な証拠は得られていない.また,入山断層の北方延長とされる芝川断層についても活断層であることを示す確実な証拠は得られておらず,さらに入念なフィールドワークと詳細な分析が不可欠である.
著者
池田 倫治 後藤 秀昭 堤 浩之
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.123, no.7, pp.445-470, 2017-07-15 (Released:2017-08-03)
参考文献数
118
被引用文献数
4 3

西南日本の地体構造を考える上で中央構造線は欠くことのできない地質要素のひとつである(以下では,便宜的に地質境界の中央構造線を表現する場合には「中央構造線」を,活断層としての中央構造線を表現する場合には「中央構造線活断層系」を,また両方の断層を包括して表現する場合には「中央構造線断層帯」を用いる).中央構造線断層帯は長い活動史を持ち,白亜紀に西南日本内帯/外帯の地質境界として形成されてから,現在もその一部が活断層として活動している.しかし中央構造線と中央構造線活断層系の地下深部構造については現在も議論の分かれているところである.一方で,全長400km以上にわたる横ずれ活断層の破壊過程には不明な点が多いため,地震防災上も注目され地質学的のみならず地震学的にも研究が進められている.特に1995年兵庫県南部地震以降,正確な断層分布の把握,最新活動時期,活動間隔あるいは変位量といった断層活動性評価に資する情報が急速に蓄積されてきた.さらには,その様な活動性情報の収集は,長大横ずれ断層である中央構造線活断層系の断層セグメンテーションの検討を促進し,その結果,断層破壊過程あるいは発生する地震の規模予測の議論へと展開されている.本巡検では,四国西部の中央構造線と中央構造線活断層系を時空間的に意識しながら断層露頭を訪れ,地質境界の産状および活断層地形を観察する.また,中央構造線の活動で形成された第二瀬戸内層群である郡中層の産状についても観察し,様々なフェーズにおける中央構造線断層帯の運動像に迫る.
著者
渡辺 満久 鈴木 康弘 熊原 康博 後藤 秀昭 中田 高
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

2016.04.14に熊本地震の前震(M6.5)が、04.16には本震(M7.3)が発生した。これらの地震を引き起こした活断層への評価(地震本部、2013)には、指摘すべき大きな問題がある。また、地震断層近傍では、「震災の帯」と呼ぶべき被害の集中域が認められる。このような現象は1995年兵庫県南部地震後にも指摘されていたが、その教訓が生かされたとは思えない。 本震発生時、既知の布田川・日奈久断層に沿って総延長31kmの地表地震断層が現れた。ところが、前震は日奈久断層帯が、本震は(主に)布田川断層帯が起こしたものである(前震と本震は別々の活断層によって引き起こされた)との見解がある。それは、地震本部が布田川・日奈久断層という1つの活断層を、布田川断層帯と日奈久断層帯という別々の活断層として評価しているためである。 明瞭な地震断層が全域で現れたのは本震の時であり、前震の震源域は本震のそれに包括されている。また、都市圏活断層図に示されているように、布田川・日奈久断層は完全に連続した活断層である。これらのことから、別々の断層が連動したという理解は誤っている。かつて地震本部は、連続した布田川・日奈久断層として正しく評価されており、今回の震源域ではM7.2の地震が発生すると予測されていた。ところがその後、変動地形学的な証拠が軽視され、1つの活断層が2つの活断層(帯)に分割されてしまった。それによって想定地震が過小評価され、M7クラスの本震発生への警鐘に結びつかなかった可能性がある。 益城町の市街地では震度7を2度記録したが、本震時の建物被害が著しかった。被害激甚な地域は、南北幅が数100km以内、東西に数km連続する「震災の帯」をなしている。ここでは、新耐震基準に適合している建物までもが壊滅的な被害を被っている。「震災の帯」の中には、益城町堂園付近から連続する(布田川断層から分岐する)地震断層が見出されるため、その活動が地震被害集中に寄与している可能性が高い。ただし、地震断層直上でなくても、近傍における建物物の被害も著しい。 南阿蘇村においては、複数の地震断層が併走して現われた。地震断層直上およびその近傍では、ほとんどの建物が倒壊した。この地域においては、少なくとも5台の自動車が北~北西方向へ横倒しとなっていることも確認した。強いS波が自動車を転倒させ、南阿蘇村における大規模な斜面災害の引き金にもなったと考えられる。 このように、地震断層近傍では、土地のずれに加えて、強震動による被害が集中したと考えられる。堂園付近では、布田川断層の存在は知っていたという声が少なくなかった。しかし、そこに被害が集中する可能性があるとは理解されていなかった可能性が高い。活断層情報の活用の仕方について、再検討すべきであろう。 熊本地震によって、活断層の位置情報が地震防災上極めて重要な情報であることが再確認された。変動地形学的な物的証拠を重視していない地震本部による活断層評価には、非常に大きな問題がある。また、兵庫県南部地震時の教訓を十分に生かすことができなかったのは、活断層情報の活かし方に問題があったと考えられる。防災・減災に向けて、地形学からさらに積極的な提言を続けることが必要であろう。なお、熊本地震の地震断層は既知の活断層の範囲以外にも出現している。「見逃された」理由を検証し、今後の活断層調査に関して解決すべき問題を見極めなければならない。全国の都市圏活断層図の改訂など、熊本地震を貴重な事例として、明確となった問題を解決してゆく必要がある。
著者
岩佐 佳哉 熊原 康博 後藤 秀昭 中田 高
出版者
一般社団法人 日本活断層学会
雑誌
活断層研究 (ISSN:09181024)
巻号頁・発行日
vol.2020, no.52, pp.1-8, 2020-06-25 (Released:2020-12-25)
参考文献数
11

On the 16 April Kumamoto earthquake (Mj7.3), ~31km-long right-lateral surface ruptures appeared along the previously mapped Futagawa and Hinagu faults. The surface ruptures appeared in Dozon, Mashiki Town, recording 2.2m of right-lateral displacement which is the maximum strike-slip displacement of these surface ruptures. Small surface deformations such as flexure of cultivated land and deformation of the waterway and left-lateral conjugated fault also appeared in this area. In order to reveal distribution and amount of small surface deformations, we created a digital surface model (DSM) based on photographs taken by unmanned aerial vehicle (UAV) and RTK-GPS survey and conducted a field survey. As a result, small and conjugated surface ruptures were observed about 100m northwest of the main trace of the strike-slip fault, and amount of these deformations are each about 5―30cm of north-down displacement. The amount of vertical offset of just above the main trace is 25―30cm of south-down offset but the total vertical offset in Dozon is a north-down vertical offset rather than a south-down when summing the vertical offset of the secondary trace and the main trace. We also conducted a trenching survey across the conjugated fault to reveal surface faulting history. While the vertical offset caused by the 2016 earthquake was 20cm down on the south, older strata exposed on the trench walls were offset more than 40cm. Based on the deformational features of exposed strata, we identified at least four faulting events including the 2016 earthquake. The timing of the event before the 2016 earthquake is 500―10,600yrsBP. It indicates that the conjugated fault is also cumulative. It is likely that the conjugated fault and small surface ruptures have repeatedly ruptured simultaneously with the main trace, because the conjugated fault follows the small surface ruptures and is consistent with the timing of events in the main trace.
著者
後藤 秀昭 杉戸 信彦
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.197-213, 2012-12-31 (Released:2013-01-31)
参考文献数
32
被引用文献数
1 8

国土地理院の基盤地図情報として公開されている数値標高モデル(5 mメッシュおよび10 mメッシュ)すべてを用いて実体視可能な地形ステレオ画像を作成した.地理情報システムにステレオ画像と既存の活断層分布図を読み込み,変動地形学的な地形判読を行ったところ,これまで認められていない新期変動地形を新たに多数見いだした.これらの地形の一部を速報し,数値標高モデルのステレオ画像を系統的に判読する重要性を例証すると同時に,空中写真とは異なる特性をもつ数値標高モデルのステレオ画像の長所についてまとめて紹介する.
著者
鈴木 康弘 堤 浩之 渡辺 満久 植木 岳雪 奥村 晃史 後藤 秀昭 STREL'TSOV Mihail I. KOZHURIN Andrei I. BULGAKOV Rustam TERENTIEF Nikolai IVASHCHENKO Alexei I.
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地學雜誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.109, no.2, pp.311-317, 2000-04-25
被引用文献数
1 4

We have prepared a preliminary active fault map of Sakhalin, Russia, based on an interpretation of aerial photographs and satellite images. Major active structures include 110-km-long active faults along the western margin of the Yuzhno-Sakhalinsk Lowland in southern Sakhalin and 120-km-long active faults along the western margin of the Poronaysk Lowland in central Sakhalin. These active faults are parallel to but are located as far as 10 km east of the Tym-Poronaysk fault. Geomorphic surfaces on the upthrown side of the fault are tilting westward, therefore, the faults are considered to be west-dipping low-angle reverse faults. The vertical component of slip rates of these faults are >0.3 mm/yr in southern Sakhalin and 1.0-1.5 mm/yr in central Sakhalin. The net-slip rates could be much greater because the faults are low-angle reverse faults. If these faults rupture along their entire length during individual earthquakes, the earthquakes could be as great as M7.6-7.7. In northern Sakhalin, we have identified a series of right-lateral strike-slip faults, including the 1995 Neftegorsk earthquake fault. The slip rates for these faults are estimated at 4 mm/yr. The right-lateral shear in northern Sakhalin and east-west compression in central and southern Sakhalin may reflect relative plate motion in far-east Asian region.
著者
中田 高 渡辺 満久 鈴木 康弘 後藤 秀昭 徳山 英一 佐竹 健治 隈元 崇
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

近い将来M8クラスの巨大地震が発生すると予測される南海トラフ沿いの海域を対象に、高い分解能の立体視画像を用いて地形解析を行ない、地震発生源となる活断層の位置・形状、連続性を詳細に解明した。これをもとに活断層と歴史地震との対応関係を検討し、これまで連動型・非連動型として概念的に把握されていたプレート境界型巨大地震像に対して、発生場所や地震規模の予測精度向上に資する基本的な資料を整備した。
著者
後藤 秀昭
出版者
一般社団法人 日本活断層学会
雑誌
活断層研究 (ISSN:09181024)
巻号頁・発行日
vol.2015, no.42, pp.73-83, 2015-03-31 (Released:2015-12-23)
参考文献数
19
被引用文献数
1

Digital elevation model (DEM) have been indispensable data for identifying fault traces and measuring the amount of recent faulting. However, some of DEM produced by Air-borne / Terrestrial Light Detection and Ranging (LiDAR) are difficult to observe the tectonic geomorphology because of artificial modification, or because its density is too sparse. In this paper, we attempt to construct DSM by using SfM (Structure from Motion) - MVS (Multi-Video Stereo) with aerial photographs. We used old aerial photographs before artificially modified in Awa city, as well as aerial photographs by the 7-m-high pole camera (Hi-view) in Shikokuchuo city along the Median Tectonic Line active fault system in Shikoku, Southeast Japan. As a result, the 0.5m-mesh DSM and 0.05m-mesh DSM were generated from old aerial photographs scaled 1 to 8,000 and Hi-view photographs by compact digital camera, respectively. The relative height of the fault scarp based on the 0.5m-mesh DSM is almost same as that based on the 5m-mesh DEM of Geospatial Information Authority of Japan and 1m-mesh DEM of aerial photograph survey company. On the other hand, the shape of dense points based on the 0.05m-mesh DSM along the line is quite similar to the topographic profile based on the measurement by conventional total station method. These cases illustrate that SfM- MVS photogrammetry with Old / Hi-view aerial photography is quite useful new method for studying active tectonic geomorphology.
著者
清水 洋 松本 聡 酒井 慎一 岡田 知己 渡辺 俊樹 飯尾 能久 相澤 広記 松島 健 高橋 浩晃 中尾 茂 鈴木 康弘 後藤 秀昭 大倉 敬宏 山本 希 中道 治久 山中 浩明 神野 達夫 三宅 弘恵 纐纈 一起 浅野 公之 松島 信一 福岡 浩 若井 明彦 大井 昌弘 田村 圭子 木村 玲欧 井ノ口 宗成 前原 喜彦 赤星 朋比古 宇津木 充 上嶋 誠 王 功輝 ハザリカ ヘマンタ 矢田 俊文 高橋 和雄
出版者
九州大学
雑誌
特別研究促進費
巻号頁・発行日
2016-04-22

2016年熊本地震について、地震活動や地殻変動、活断層、火山活動への影響、地震災害の特徴などを調査した。その結果、熊本地震は布田川・日奈久断層帯の右横ずれ運動によって発生したが、複数の断層面と複雑な断層形状を持つことを明らかにした。また、建物被害や土砂災害の地盤との関係、特に、地盤の過剰間隙水圧が地すべりの発生要因であることを明らかにした。さらに、災害情報や災害過程、被災救援、エコノミークラス症候群などについての調査から、広域複合災害の問題点と対応策を提示した。
著者
岩佐 佳哉 熊原 康博 後藤 秀昭 中田 高
出版者
一般社団法人 日本活断層学会
雑誌
活断層研究 (ISSN:09181024)
巻号頁・発行日
vol.2020, no.52, pp.1-8, 2020

<p> On the 16 April Kumamoto earthquake (Mj7.3), ~31km-long right-lateral surface ruptures appeared along the previously mapped Futagawa and Hinagu faults. The surface ruptures appeared in Dozon, Mashiki Town, recording 2.2m of right-lateral displacement which is the maximum strike-slip displacement of these surface ruptures. Small surface deformations such as flexure of cultivated land and deformation of the waterway and left-lateral conjugated fault also appeared in this area. In order to reveal distribution and amount of small surface deformations, we created a digital surface model (DSM) based on photographs taken by unmanned aerial vehicle (UAV) and RTK-GPS survey and conducted a field survey. As a result, small and conjugated surface ruptures were observed about 100m northwest of the main trace of the strike-slip fault, and amount of these deformations are each about 5―30cm of north-down displacement. The amount of vertical offset of just above the main trace is 25―30cm of south-down offset but the total vertical offset in Dozon is a north-down vertical offset rather than a south-down when summing the vertical offset of the secondary trace and the main trace. We also conducted a trenching survey across the conjugated fault to reveal surface faulting history. While the vertical offset caused by the 2016 earthquake was 20cm down on the south, older strata exposed on the trench walls were offset more than 40cm. Based on the deformational features of exposed strata, we identified at least four faulting events including the 2016 earthquake. The timing of the event before the 2016 earthquake is 500―10,600yrsBP. It indicates that the conjugated fault is also cumulative. It is likely that the conjugated fault and small surface ruptures have repeatedly ruptured simultaneously with the main trace, because the conjugated fault follows the small surface ruptures and is consistent with the timing of events in the main trace.</p>
著者
山中 蛍 後藤 秀昭 竹内 峻 中田 高
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2020年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.244, 2020 (Released:2020-03-30)

地形学の研究では,地表面の様子を記録するために,現地での地形計測が実施されることが多い。等高線表現を用いた中〜大縮尺の地形図や空中写真の判読・分析のほか,近年では,航空レーザ測量などによる精緻な数値標高モデル(DEM)を用いた研究が主流となりつつあるとはいえ,より詳細な分析や,説得力ある情報収集のためには,現地での地形計測は欠かせない。 地形計測では,オートレベルやトータルステーションなどの多様な測量機器が用いられてきたが,近年では,GNSS(全球測位衛星システム)が重要な社会インフラとして整備されつつあり,地形研究でも広く利用されるようになってきた。その一方で,精度のよいGNSS受信機は,その価格や機材の大きさから,誰でも,どこでも,気軽に使えるほどではないのが実情である。しかし,近年,GNSSモジュールやアンテナの高性能化,小型化に伴い,センチメートルオーダーの測位が可能なパーツが廉価で販売されはじめ,農業や土木などの実業的な分野でこれらの応用が進みつつある(中本,2018)。 本研究では,それらのパーツを組み立てた小型で廉価なRTK-GNSS計測機器を作成し,地形学的な研究での利用について検討を行った。その結果,可搬性に富み,現地での作業が簡便なうえ,これまでのRTK-GNSS受信機と同等の精度で地形計測が可能であることが解った。発表では,機器の構成や使用方法および測位精度を報告するとともに,断層変位地形での現地計測を通して,地形研究への適用の可能性について報告する。
著者
渡辺 満久 中田 高 後藤 秀昭 鈴木 康弘 西澤 あずさ 堀内 大嗣 木戸 ゆかり
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

海底活断層の位置・形状は、巨大地震の発生域や地震規模を推定する上で欠くことのできない基礎的資料である。本報告では、地震と津波が繰り返し発生している日本海東縁部において、海底地形の解析を行った。海底DEMデータと陸上地形(いずれも250 mグリッド)とを重ね合わせ、立体視可能なアナグリフ画像を作成し、陸上における地形解析と同世の作業を行った。 日本海東縁は新生のプレート境界として注目され、これまでにも海底地形や地質構造の特徴をもとに活断層が多数認定されてきた。また、歴史地震の震源モデルなどについても、いくつかの詳しい検討が報告されている。本研究によって、これまでの活断層トレースと比較して、その位置・形状や連続性に対する精度・信頼性が高い結果が得られたと考えられる。 松前海台の南西部(松前半島の西約100 km)~男鹿半島北部付近を境に、活断層の密度が異なる。北部では、活断層の数はやや少なく、南北あるいは北北西-南南東走向の活断層が多い。奥尻島の東西にある活断層をはじめとして、長大な活断層が目立つ。1993年北海道南西沖地震(M7.8)の震源断層モデルとして、奥尻島の西方で西傾斜の逆断層が想定されているが、海底にはこれに対応する活断層は認定できない。この地震の震源断層に関しては、詳細な海底活断層の分布との関係で再検討が必要であろう。後志トラフの西縁は、奥尻島東縁から連続する活断層に限られている。その東方には北北西-南南東走向の複数の活断層があり、積丹半島の西方沖には半島を隆起させる活断層が確認できる。 松前海台の南端から南方へ、約120 km連続する活断層トレースが認められる。これは、余震分布などと調和的であることから、1983年日本海中部地震(M7.7)の震源断層に相当すると考えられる。久六島西方では活断層のトレースが一旦途切れるようにも見えるが、これは、データの精度の問題かもしれない。これより南部では、北北東-南南西走向の活断層が密に分布している。粟島の北方の深海平坦面を、南から北へ延びる最上海底谷は、深海平坦面を変位させる(北北西側が隆起)の活断層を横切って、先行性の流路を形成している。このような変動地形は、極めて活動的な活断層が存在することを示している。なお、1964年新潟地震の起震断層に関しては、浅部の解像度が悪いため、十分には検討できない。 アナグリフ画像を用いて海底地形の立体視解析を行うことにより、日本海東縁部の海底活断層の位置・形状を精度よく示すことができた。その結果、歴史地震の震源域との比較が可能となった。また、海底活断層の位置・形状に加えて、周辺の変動地形の特徴を明らかにすることによって、地震発生域や津波の発生源の特定や減災になどに関して、より具体的な検証や提案が可能になると考えられる。今後は、歴史地震と海底活断層との関係をさらに詳細に検討してゆく予定である。
著者
後藤 秀昭
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2017年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.100167, 2017 (Released:2017-05-03)

1. はじめに 中央構造線活断層帯は,四国だけでも190kmに及ぶ日本で最も長大な活断層であり,平均変位速度は10mm/yrにも達する可能性があるとされてきた(Okada,1980)。しかし,説得力のある変位基準で,高精度に変位速度を求めたものは極めて少ない。GPS による測量では,中央構造線の横ずれ変位速度は約5mm/yr(Tabei et al., 2002)や0~5.5mm/yr(Aoki and Scholz, 2003)とのされており,これらとの対比を行うためにも,地形学的な時間スケールでの高精度な変位速度の検討が求められている。 中央構造線の古地震学的な研究では,最新活動時期について,中世を中心に歴史時代の活動が多数の地点で報告されている(後藤ほか,2001など)。しかし,それより前の活動時期や活動間隔についてはほとんど分かっていない。地震危険度の評価において大きな問題となっており,高精度な変位速度の提示が求められているといえる。 一方,地形学の研究では,多視点の写真データから作成された高密度な点群データなど,デジタル化された地形情報が用いられるようになっている。人工改変の激しい地域では,撮影年代の古い空中写真を用いて地形を復元して分析することが可能となり,変動地形でも積極的な利用が進みつつある(後藤,2015など)。 本研究では,中央構造線の池田断層,父尾断層に沿って認められていた後期更新世の変位地形を,1970年代の空中写真を用いて数値標高モデルとして復元し,変位ベクトルを検討するとともに,堆積物から得た試料の放射性炭素年代測定値に基づき,高精度な変位速度の算定を試みた。 2.地形モデルの作成と地形面区分 1974年撮影の約8000分の1カラー空中写真(CSI-74-8および9)を20μm(1,270dpi)の解像度でスキャンした画像を用い,国土基本図を評点として1m間隔のDEMとしたものを用いた。空中写真を実体視したのと同じ程度の判読が可能な画像となるよう測量間隔やブレークラインが設定されている。 対象とした地域周辺では,後期更新世以降の段丘面は中位面,低位1面,低位2面の3面に区分できる。 3.池田断層の東部の変位速度 池田断層東部の馬来谷川付近では中位面,低位1面が変位を受け,中位面で43m,低位面で7mと累積的な上下変位量が認められる。中位面の段丘崖の横ずれが複数地点で確認でき,断層崖の両側で明瞭な段丘崖が認められる場所では数値標高モデルから145~155mの横ずれ量が計測された。断層に平行な地形断面図からは上下変位量は横ずれ量の8%であり,横ずれが卓越していることが解った。低位1面の構成層上部から得られた木片から17,212~16,792 cal BPの放射性炭素年代値が得られた。これらに基づけば,横ずれ変位速度は8.5mm/yrよりも大きいことになる。 4.父尾断層の変位速度 父尾断層中央部の日開谷川西岸では,後期更新世以降の河成段丘面が発達し,典型的な横ずれ変位地形をなす(岡田・堤,1997など)。徳島自動車道の建設によって変位地形は改変されたが,1974年の空中写真によって復元された数値標高モデルによる地形をもとに多段化した地形を詳細に検討した。その結果,低位1面および沖積面はそれぞれ2面に細分されることがわかった(ぞれぞれ,上位面,下位面とする)。これらの段丘崖の基部を基準にすると,上下変位量は横ずれ変位量の6~8%でほぼ同方向に変位してきたと考えられる。低位1上位面の段丘崖の横ずれ量は140~150mと計測された。 地形面の年代を示す新たな試料は得られなかったが,低位1下位面は急傾斜であり,日開谷川下流西岸で沖積面に埋没することから,最終氷期極相期の地形面と考えられる。池田断層の馬来谷川付近の低位1面に対比されるが,約35km下流に位置し,より早くに離水したと考えられることから,低位1面下位面は18ka以降,17,122~16,639 cal BPまでに形成されたと推定される。これらに基づくと,父尾断層の変位速度は7.8~9.1 mm/yrと算定される。 5.おわりに 池田断層,父尾断層の変位速度とも,測地学的な検討により求められた変位速度より優位に大きく,地形学的検討によってこれまでに提示されてきた値よりも大きい。最新活動時の変位量(岡田・堤,1997など)に基づけば,活動間隔はこれまでの想定よりも短い可能性がある。日本で最も長大な活断層の評価にはさらなる古地震学的な調査が必要性と考える。
著者
熊原 康博 谷口 薫 内山 庄一郎 中田 高 井上 公 杉田 暁 井筒 潤 後藤 秀昭 福井 弘道 鈴木 比奈子
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理要旨集
巻号頁・発行日
vol.2014, 2014

はじめに 近年のラジコン技術の進歩によって,非軍事用のUAV(Unmanned Aerial Vehicle)の小型化と低価格化が進み,機材を自ら操作して低空空撮を行うことが可能となりつつある.日本でも,これらの機材を災害発生後の被害把握に活用する動きはあった(井上ほか,2012など)が,従来,専門業者にデータ取得を依頼することが多く,誰でも,どこでも,いつでも容易に利用できる状況ではなかった.最近,安価なホビー用ヘリコプターの高性能化が進み,これを利用して斜めあるいは垂直画像の低空空撮を容易に行うことが可能となった.本発表では根尾谷断層水鳥地震断層崖周辺で,ホビー用GPSマルチロータ-ヘリ(DJI社製Phantom)を用いた低空空撮の結果を紹介する. さらに,得られた空撮写真からSfm(Structure from Motion)ソフトを用いることで, DSM(Digital Surface Model)を作成する事も容易になった.SfMとは,コンピュータビジョンの分野ではメジャーな要素技術であり,リアルな立体CG作成などの映像産業やロボットや自動車制御における三次元的な自己位置認識などで用いられている.自然科学の分野では大量の写真画像から地形などの三次元モデルやオルソ画像を生成する用途で使われ始めている.今回は,断層変位地形の三次元モデルの再現を企図してSfMソフトウェアの一つであるAgiSoft社のPhotoScanを使用した. &nbsp; 調査対象範囲 濃尾地震(1891)は歴史時代に発生した我が国最大の内陸地震(M 8.0)で,本巣市根尾水鳥では縦ずれ最大6m,横ずれ2mの断層変位によって明瞭な地震断層崖が出現し,国指定の天然記念物に指定されている.このため,地震発生後120年以上経過するが,断層変位地形の保存状態がよい.空撮実験はこの断層崖を中心に南北約400m,東西約150mの範囲で行った. &nbsp; &nbsp;UAVによる写真画像の取得 Phantomは電動4ローターを持つラジコン機で,長さと幅約50㎝,重量約700g,ペイロードは最大約400gであり,最長7分程度の飛行が可能である.GPSとジャイロによって,初心者でも安定した飛行が可能である.使用した機材は.機体とインターバル撮影が可能なデジタルカメラを含め10万円以下である. 地表画像は,Phantomにデジタルカメラ(Ricoh GRⅢ:重量約200g)を機体下部に下向きに取り付け,高度約50-100mから5秒間隔で撮影した.低空でからの空撮であるために地上の物体を鮮明にとらえており,地震断層崖の地形も詳細に把握することができる.機体が傾いても,カメラの向きを常に一定に保つジンバルを用いれば,立体視可能なステレオ画像を容易に得ることが可能となる. &nbsp; Sfmソフトを用いたDSMの作成 撮影した約80枚の画像を,PhotoScanに取り込み,ワークフローにしたがって処理を行った.今回は,特に飛行ルートを設定して撮影をしたものではなく,カメラポジションはバラバラである.それでも,高解像度の3D画像が生成され,任意の角度や縮尺で断層変位地形を観察することができる.ソフトへの画像の取り込みから3D画像の完成までに要する時間は1時間弱である.正確な画像を作成するためには,カメラのレンズ特性や,地理院地図などから緯度・経度・標高を読み取り,地表のコントロールポイントを設定する必要がある. &nbsp;PhotoScanを活用すれば,GeoTIFF形式の書き出しもでき,他のソフトでも読み込むことが可能となる.本研究では, GeoTIFF形式で出力したDSMをGlobal Mapperで処理し作成した水鳥断層崖周辺の1 mコンターの3 D等高線図や断面測量を行った. &nbsp; おわりに 今回紹介した小型UAVとSfmソフトを利用した手法は,今後,活断層研究をはじめとする各種の地形研究や災害後の調査など多くの研究に活用が期待される.特に数100 m x 数100 m程度の比較的狭い範囲の地形を詳細に把握するには,多いに利用できると考えられる.この手法を用いれば,活断層や地震断層沿いの変位量を効率的に行うことが可能となり,地震の予測精度の向上に重要な震源断層面上のアスペリティー位置の推定などに貢献できる.
著者
中田 高 徳山 英一 隈元 崇 室井 翔太 渡辺 満久 鈴木 康弘 後藤 秀昭 西澤 あずさ 松浦 律子
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.240, 2013 (Released:2013-09-04)

2011年東北地方太平洋沖地震以降,中央防災会議によって,南海トラフ沿いの巨大地震と津波の想定がなされているが,トラフ外れた海底活断層については詳しい検討は行われていない.縁者らは,詳細な数値標高モデルから作成した立体視可能な画像を判読し,南海トラフ東部の南方に位置する銭洲断層系活断層の位置・形状を明らかしたうえで.その特徴および歴史地震との関連を検討する.
著者
堤 浩之 後藤 秀昭 谷 美由起
出版者
活断層研究会
雑誌
活断層研究 (ISSN:09181024)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.24, pp.157-165, 2004
被引用文献数
1

The Arima-Takatsuki fault zone consists of a series of ENE-trending right-lateral strike-slip faults along the northern margin of the Osaka plain. This fault zone is considered to have ruptured during the 1596 Keicho-Fushimi earthquake based on paleoseismic trench excavations across the fault zone conducted by the Geological Survey of Japan and numerous liquefaction features on archaeological sites in Kobe-Osaka-Kyoto areas. The surface offset during the earthquake was estimated to have been about 3 m based on offsets of rice-paddy dikes at two localities. In order to search for more data on the surficial slip during the 1596 earthquake as well as evidence for prehistoric earthquakes, we have interpreted large-scale aerial photographs and conducted geomorphic field investigations. We have identified several localities along the fault zone where geomorphic and/or artificial features are systematically offset about 3 m, confirming previous estimates of the surficial slip during the 1596 earthquake. Larger displacements of older geomorphic features also suggest repeated right-lateral slip on the fault zone in late Holocene time.