著者
横山 淳 山口 浩雄 重藤 寛史 内海 健 村井 弘之 吉良 潤一
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-000834, (Released:2016-03-08)
参考文献数
10
被引用文献数
4 8

症例は24歳の男性.夜間飲酒した翌朝に痙攣を認め当院救急部に搬送された.到着後に痙攣重積を呈して人工呼吸器管理となった.脳幹反射の異常や病的反射,髄膜刺激徴候は認めなかった.頭部MRIの拡散強調画像で異常信号はなく,左後頭葉に陳旧性梗塞様の所見を認めた.入院直後より横紋筋融解症による高CK血症と急性腎不全を呈し持続血液透析濾過法を開始した.髄液中L/P比の著明な増加よりミトコンドリア病を疑い,末梢血にてミトコンドリアDNAのA3243G変異(ヘテロプラスミー20%)が判明しmitochondrial myopathy, encephalopathy, lactic acidosis, and stroke-like episodes(MELAS)と診断した.本症例はMELASとしては非典型的な経過を辿ったため貴重な症例と考えられた.
著者
高下 純平 林 信太郎 山口 浩雄 立石 貴久 村井 弘之 吉良 潤一
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.667-671, 2016
被引用文献数
1

<p>症例は37歳男性.23歳よりけいれん発作を繰り返した.35歳から難聴や歩行時のふらつきが出現し当科に入院した.近親婚の家族歴があった.低身長で,腱黄色腫はなかった.mini-mental state examinationは19点,感音性難聴,断綴性発語,嚥下障害,四肢の痙縮,小脳症状を認めた.血中と脳脊髄液中の乳酸とピルビン酸が増加していた.頭部MRIで小脳半球,脳幹,内包に対称性の病変を認めた.ミトコンドリア病を疑ったが,筋生検とミトコンドリアDNA遺伝子解析に異常なかった.血清コレスタノール高値,CYP27A1遺伝子の新規遺伝子変異(c. 43_44delGGのホモ接合体)を認め,脳腱黄色腫症と診断した.</p>