著者
濱保 和治 山崎 敬人 岡田 大爾
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.467-475, 2019-03-25 (Released:2019-04-12)
参考文献数
11

近年,教科を学ぶ意義や有用性についての意識の欠如とキャリア教育の重要性が指摘されている。平成20年9月「中学校学習指導要領解説理科編」においても,「日常生活や社会との関連」について理科で学習することが示され,理科学習でも教科内容との関連において,キャリア教育との関連を意識した指導を行うようになった。しかし,生徒の「日常生活との関連」についての意識は向上しているものの,理科学習の有用性を生徒自身に理解させることはできていない。そこで,大学との連携によって研究者が単元の学習内容に直接関わる授業を行い,社会貢献や職業選択のきっかけや夢などの話題を提供するといった教科学習に組み込んだキャリア教育を行うことで,教科学習の有用性を生徒が実感し,学習内容の深化を図るとともに将来の職業選択の可能性を広げることができると考えて,授業を計画・実施し,その効果を検証した。その結果,理科学習の有用性のうち職業生活への有用性や日常生活への有用性,及び日常生活との関連,学習意欲の向上に効果があることがわかった。
著者
長沼 毅 山崎 敬人 平賀 博之 丸本 浩 沓脱 侑記 岡本 英治 小茂田 聖士 山下 雅文 柏原 林造 田中 伸也 林 靖弘
出版者
広島大学学部・附属学校共同研究機構
雑誌
学部・附属学校共同研究紀要 (ISSN:13465104)
巻号頁・発行日
no.39, pp.291-296, 2010

本研究では, 地球外生命という未知の課題を解決するために, 理科で学習した内容や既知の学問を活用して, 「クリティカルシンキング」の手法を使いながら, もっとも確からしい答えに辿り着くための体験を生徒に講義し, それを通して, どのような思考の展開が必要となるかを伝える方法を研究した。ここでいう「クリティカルシンキング」とは, 「適切な基準や根拠に基づき, 論理的で偏りのない思考をする」, 「よりよい解決に向けて複眼的に思考し, より深く考えること」を意図している。具体的には, 「地球外生命探査」をテーマとして, 科学者が学問を探究していく上で, どのように思考し, その思考を発展させ, どのように証明していくか, そうした思考の過程を授業の対象として盛り込むことで, 科学者の思考を生徒に追体験させることを意図した高大連携の授業を構築することができた。この授業の内容そのものがこの研究の最大の成果だと考える。