著者
岡本 英治 嶋中 瑞樹 三田村 好矩
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.46-51, 1998-02-15
参考文献数
14

簡易型携帯電話(PHS)を利用し, 体内埋込み型人工心臓装着患者の遠隔管理システムの開発を行った. 体内埋込み型人工心臓装着患者は, 体内の駆動制御装置と通信回線がつながった小型コンピュータを携帯する. 患者携帯コンピュータにはPHSを接続し, 病院内に設置するホストコンピュータと双方向データ伝送を行う. ホスト側から体内駆動制御装置へのコマンドコードは32bits, 駆動制御装置からホスト側へのデータ(モータ電流, モータ回転角度)を8bitsとした. PHSによるデータ伝送では, ホスト側でのデータの誤り判断のためデータのフレーム化処理後伝送し, ホスト側で誤り検出時には再送請求により誤り訂正処理を行う. 伝送されたデータは, ホスト側でリアルタイムの波形として表示される. 屋内にて伝送実験を行った結果, PHS電波状態が悪い状況でも, 通信速度9600bpsでデータ伝送を行えることを確認した
著者
長沼 毅 山崎 敬人 平賀 博之 丸本 浩 沓脱 侑記 岡本 英治 小茂田 聖士 山下 雅文 柏原 林造 田中 伸也 林 靖弘
出版者
広島大学学部・附属学校共同研究機構
雑誌
学部・附属学校共同研究紀要 (ISSN:13465104)
巻号頁・発行日
no.39, pp.291-296, 2010

本研究では, 地球外生命という未知の課題を解決するために, 理科で学習した内容や既知の学問を活用して, 「クリティカルシンキング」の手法を使いながら, もっとも確からしい答えに辿り着くための体験を生徒に講義し, それを通して, どのような思考の展開が必要となるかを伝える方法を研究した。ここでいう「クリティカルシンキング」とは, 「適切な基準や根拠に基づき, 論理的で偏りのない思考をする」, 「よりよい解決に向けて複眼的に思考し, より深く考えること」を意図している。具体的には, 「地球外生命探査」をテーマとして, 科学者が学問を探究していく上で, どのように思考し, その思考を発展させ, どのように証明していくか, そうした思考の過程を授業の対象として盛り込むことで, 科学者の思考を生徒に追体験させることを意図した高大連携の授業を構築することができた。この授業の内容そのものがこの研究の最大の成果だと考える。
著者
三田村 好矩 岡本 英治
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

完全埋込型人工心臓用の多くの種類のアクチュエータが研究されている.しかし,それらは複雑な運動変換機構や軸受を使用しているため,耐久性に問題がある.一方,磁性液体を用いるアクチュエータは磁性液体に外部より磁界を加えるだけで,軸受を必要としない利点がある.そこで本研究では,磁性液体を使用する人工心臓の可能性について明らかにした.ギャップ10mmの2つの環状ソレノイドのギャップ間に外経10mm,内径7.4mmのアクリル管を挿入した.アクリル管の両端には,容積2mLのゴム製サックを装着した.サックは流入,流出ポートを持つ固い容器内に入れた.アクリル管およびサック内部はフロロカーボンを満たし,アクリル管中央に磁性流体と鉄心を沈めた.実験は2種類行った.(1)磁性流体のみを使用するもの,(2)磁性流体と鉄心(外径70mm,長さ28mm)を併用するもの.2つのソレノイドを交互に駆動した.磁性流体のみを使用したとき,流量26mL/min(@140beats/min),圧力13mmHgが得られた.また,磁性流体と鉄心を併用したとき,流量318mL/min(@260beats/min),圧力300mmHgが得られた.磁性流体と鉄心の併用は,高い磁化特性を持つ磁性液体の代替品として使用した.これにより,理論値の90%の流量が得られた.また,計算により,現在の磁性液体の1.5倍の磁化特性を持つ磁性液体を開発すれば,人工心臓駆動が可能であることを明らかにした.