著者
河野 浩善 三好 夏季 竹野 由美子 山本 真代 沖川 佳子 野田 昌昭 兼丸 恵子 飯伏 義弘
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.65, no.6, pp.612-619, 2016-05-25 (Released:2017-01-10)
参考文献数
23

近年,真性赤血球増加症(PV)の約98%でJAK2-V617FまたはJAK2 exon 12変異を認め,本態性血小板血症(ET)の約80%でJAK2-V617F,MPL,CALR変異のいずれかを認めることが報告されている。今や骨髄増殖性腫瘍において遺伝子変異の解析は診断上必須であるにもかかわらず,限られた施設でしか検査できないのが現状である。我々は,PV,ETおよび各反応性血球増加症における末梢血液検査データについて後方視的解析を行い,スクリーニングへの応用やJAK2-V617F変異の予測について検討した。その結果,IPF countはPVおよびET症例群で有意に高値を示し,NAP scoreはPVおよびETの中でもJAK2陽性症例群において有意に高値を示すことが分かった。さらに,JAK2-V617F変異予測におけるROC解析の結果,IPF countおよびNAP scoreはAUCが0.9以上と予測能が高かった。我々はIPF countのカットオフ値を10,000/μL(真陽性率100%,偽陽性率16.7%),NAP scoreを250(真陽性率85.7%,偽陽性率25.0%)に設定し,症例をIPF count 10,000/μL未満&NAP score 250未満のA群,IPF count 10,000/μL未満&NAP score 250以上のB群,IPF count 10,000/μL以上&NAP score 250未満のC群,IPF count 10,000/μL以上&NAP score 250以上のD群に分類した。A,B群には各反応性血球増加症が91.7%と高率に含まれ,D群はJAK2変異陽性率が94.7%と高かった。このように,PV,ETにおいてIPF countおよびNAP scoreは,反応性血球増加症例との鑑別に有用であり,迅速かつ簡便にJAK2-V617F変異を予測できる可能性が示唆された。
著者
高林 範子 山本 真代 小野 光貴 渡辺 富夫 石井 裕
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.112-123, 2016-06-20 (Released:2016-07-14)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

表情の中の微笑みや視線などの非言語メッセージは,看護コミュニケーションにおいて重要な役割を果たしている.これまで,アバタを介した看護コミュニケーション教育支援システムを開発したが,アバタの視線や表情に関する表現性の課題が残された.本論文では,アバタに微笑みと眼球動作モデルを付加した看護コミュニケーション教育支援システムを開発し,システムの活用可能性を検証する目的で,ロールプレイングによるコミュニケーション実験を行った.実験用のシステムモードとして【A:真顔のみ】,【B:微笑み+眼球動作無し】,【C:微笑み+眼球動作有り】の3つのモードを用意した.実験の結果,システムのモードとしては,微笑みと眼球動作のあるCモードが最も高く評価された.自由記述においてもコミュニケーション時の表情や視線が与える効果に気づく意見が多くみられ,本システムによる看護コミュニケーション教育支援の有効性が示された.
著者
星原 徳子 岡 真由美 山本 真代 金永 圭祐 森 壽子 長島 瞳 河原 正明 藤本 政明
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.59-65, 2013 (Released:2014-03-13)
参考文献数
29

【目的】発達障害の早期発見は、社会生活での自立の促進において重要である。視能訓練士(以下CO)は小児の視覚だけでなく他機能との関わりにも注目し、成長発達の支援に関わる必要がある。今回、COと他院耳鼻科言語聴覚士(以下ST)が連携し、発達障害の評価と支援が可能であった症例を報告する。【対象・方法】2004年6月~2012年6月にK眼科で弱視または斜視と診断された18歳未満の症例412例中、発達障害を疑いSTが所属する専門医療機関への受診を促した12例であった。症例は未就学児8例(2歳5か月~5歳8か月)、就学児4例(6歳6か月~14歳3か月)であった。発達評価には遠城寺式・乳幼児分析的発達検査表、同旧版(以下遠城寺式発達検査表)を使用した。【結果】生活年齢に相応した視機能検査ができなかったのは5例であった。発達障害を疑った視機能検査時の特徴は、発音不明瞭6例、多動4例、クレーン現象1例、コミュニケーション不良2例であった。12例全例の親が現状を否定する言動をし、ペアレントトレーニングを要した。STによる積極的訓練を開始できたのは7例、STによる6か月毎の経過観察を要しているものが2例だった。ST受診を拒否または一度受診したが訓練拒否したものが3例であった。【結論】遠城寺式発達検査表の項目を考慮して視機能検査を施行することは、小児の発達状態の評価に有用であった。COがSTと連携することで発達障害児の早期発見と就学前後での支援につながった。