著者
山本 高至 白戸 裕史 内田 大誠 北 直樹
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J104-B, no.12, pp.963-973, 2021-12-01

無線通信の大容量化に伴い,周波数資源の潤沢なミリ波帯以上の周波数活用の検討が進められている.このような高周波数帯では送受信点間が人体によって遮蔽された程度であっても,従来の移動通信等で用いられてきたUHF帯や低SHF帯に比べて大きなレベル低下を生じるために,基地局-端末間の見通しの確保が重要になる.複数の人が動き回るような環境では,複数の基地局やアンテナによって,いずれかの基地局(アンテナ)と端末間に見通しを確保するためのサイトダイバーシチやスペースダイバーシチ等を目的とした分散アンテナシステムが有効である.アンテナ間の離隔は遮蔽状態の相関に依存するが,これまで遮蔽状態の相関については経験的な検討に留まっていた.本論文では,高周波数帯を用いる通信の人体遮蔽に関して,人体を一様なポアソン点過程と仮定した確率幾何解析により,遮蔽率,ハンドオーバによる回避率,遮蔽の発生有無に関する自己相関関数を導出する.加えて,多数の分散アンテナに対する等価見通し率を示すとともに,解析結果に基づくアンテナの設置法について幾つかの例を示す.
著者
篠原 諒 村田 英一 吉田 進 山本 高至 梅原 大祐 田野 哲 守倉 正博
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.37, no.9, pp.25-28, 2013-02-13

周波数利用効率を向上させる技術として提案されているマルチユーザMIMO伝送を行うシステムをハードウェアで実装し実験的に検討を行っている.屋内環境におけるマルチユーザMIMO伝送実験の研究は報告されているが,屋外環境における伝送実験の報告は少ない.マルチユーザMIMO屋外伝送実験を行うためにUSRP (Universal Software Radio Peripheral)を用いて移動端末を試作した.USRPはソフトウェア無線端末の一種であり,安価に入手可能かつ小型であるため,持ち出しが容易な移動端末が複数台必要なマルチユーザMIMO屋外伝送実験に適している.USRPの制御には汎用OSを搭載したPCと専用のドライバであるUSRP Hardware Driverを用いた.本稿では,移動端末の試作,特に周波数安定性や送受信タイミング管理,EVMにより評価した伝送特性を含む諸特性について述べる.