著者
山次 俊介
出版者
一般社団法人 日本アスレティックトレーニング学会
雑誌
日本アスレティックトレーニング学会誌 (ISSN:24326623)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.23-31, 2021-10-31 (Released:2021-11-26)
参考文献数
17

ネイマン-ピアソン流の帰無仮説検定はアスレティックトレーニング研究領域においても主流な統計的データ解析法である.有意水準によって有意差あり/なしの線引きする帰無仮説検定は非常に便利だが,有意差の意味を正しく理解している研究者は多くない.有意差を判定するp値はサンプルサイズに依存するため,効果(差)の大きさは評価しない.我々が真に関心あることは,“どのくらい効果があるのか?”,“先行研究より優れているのか”である.これを明らかにするために帰無仮説検定に加えて,効果量と信頼区間の提示と解釈が必要となる.
著者
島田 茂 出村 慎一 池本 幸雄 山次 俊介 南 雅樹 長澤 吉則
出版者
日本生理人類学会
雑誌
日本生理人類学会誌 (ISSN:13423215)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.109-117, 2003-08-25 (Released:2017-07-28)
参考文献数
37
被引用文献数
1

The purpose of this study was to investigate the relationships between physical fitness, life style, and health-status using cross sectional data in adolescent male students. A total of 581 males aged 15 to 20 years were selected as subjects for this study. The physique tests (6 items) and new physical fitness tests developed by the Ministry of Education, Culture, Sports Science, and Technology of Japan (9 items) were used. To assess life style and health-status, a questionnaire consisting of 75 items was constructed. Principal component analysis was applied to the partial correlation matrix, neglecting the age-effect, consisting of 9 physical fitness variables. Cramer's association coefficient and theory of quantification I were used to examine the relationship between life style, health-status and physical fitness. Cramer's association coefficients were significant for 12 variables of exercise habit, 8 variables of meal habit, 2 variables of other life style, and 4 variables of health-status. The multiple correlation coefficient between physical fitness, life style, and health-status was moderate (0.500, p < 0.01). Partial correlation coefficients were high for variables of present exercise-frequency, exercise-frequency and picky eating during junior high school days, and television-reception hour. Exercise frequency of more than three or four days a week, taking meals, and television-reception hour might be related to the maintaining or increasing the physical fitness level in adolescent male students.
著者
出村 慎一 山次 俊介 長澤 吉則 北林 保 山田 孝禎
出版者
金沢大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

本研究では大転子及び仙骨を保護するエアバッグ式ヒッププロテクターを開発することを目的とした。最終年度では、エアバッグトリガー閾値および、転倒方向と外傷の関係について検討した。まず、エアバッグ開放のトリガーとして腰部加速度の有効性を検証するために、不安定台からの前後および左右方向の転倒動作時の3次元腰部加速度(右大転子部)を計測した。いずれの転倒方向の最大加速度、最大振幅とも同程度の値を示した。また、各転倒方向のx,y,およびz軸の加速度間の相関はいずれも有意であった(最大加速度:r=0.56-0.78,最大振幅:r=0.57-0.84,p<0.05)。T字台牽引時に転倒したケースと代償的ステップにより転倒を回避したケースの加速度を比較した結果、転倒したケースの加速度が大きい傾向にあった。しかし、前方向の場合、加速度に顕著な差は認められなかった。現在、設計しているエアバッグ式ヒッププロテクターはエアバッグ開放までに約0.2秒要するため、開放トリガーはそれより前に転倒を感知しなければならない。各転倒方向において、x,y,z軸のいずれかの最大加速度もしくは最大振幅のなかで最も早く出現するものを採用していくと着床前0.430~0.775秒の間であることが確認され、最大加速度、最大振幅はエアバッグ開放のトリガーとなりうることが示唆された。しかしながら、転倒時の最大加速度や最大振幅は個人差が大きく、開放閾値の設定にはさらなる検証が必要と判断された。次に、在宅高齢者1955名を対象に転倒発生時の外傷の有無と転倒方向について調査した。過去1年間で転倒した高齢者は386名(20.9%)で、そのうち257名(66.6%)が何らかの外傷を負い、37名(9.6%)が骨折した。転倒による外傷の有無と転倒の原因および転倒した方向に関する度数に有意差は認められなかった。一方で、転倒の方向と転倒の原因および外傷部位間に有意な関係が認められ(ψ=0.49と0.32)、骨折は側方の転倒において多く発生する傾向にあった。したがって、エアバッグ式ヒッピプロテクターは側方の転倒に対する防御を重視する必要性が示唆された。