著者
樋笠 正晃 宇野 理恵 宇野 雄博 山田 茂夫 安澤 数史
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.71, no.11, pp.649-653, 2018

<p>慢性鼻炎として長期治療していた猫が,進行性の瞬膜及び眼球突出を呈し,鼻腔や眼窩を中心として,壊死組織を伴う炎症性肉芽の浸潤性増殖を認めた.病理組織学的検査により真菌感染が原因と診断され,抗真菌剤などによる内科治療や,壊死組織及び肉芽組織のデブリードマン等の外科治療を実施した.しかし,真菌感染は浸潤性に進行し,死亡した.本症例の起因菌の培養形態と高温発育試験及びβチューブリンとカルモジュリン遺伝子の塩基配列は近年分類された<i>Aspergillus felis</i> と一致していた.また,分離株は多くの抗真菌薬に対して高い最少発育阻止濃度を示し,感受性が低いことが示唆された.</p>
著者
山田 茂夫
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 = Journal of the Japan Veterinary Medical Association (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.603-605, 1997-10-20
参考文献数
4
被引用文献数
1 1

嘔吐, 腹囲膨大を呈し, 子宮蓄膿症が疑われた未経産シャム猫 (3歳) を開腹したところ, 発生期における内部生殖器と外部生殖器の癒合不全によると考えられる腟端閉鎖症と診断された. 左右子宮角および盲嚢状に終る腟は拡張し, 子宮および腟には多量の血様内容物が貯留していた. 腟尾側の盲端部分と腟前庭との間には少量の疎鬆結合組織が介在していた.組織学的には出血性子宮内膜炎がみられたが, 腟盲端部の組織は萎縮しているもののほぼ正常構造を保っていた.
著者
樋笠 正晃 宇野 理恵 宇野 雄博 山田 茂夫 安澤 数史
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.71, no.11, pp.649-653, 2018-11-20 (Released:2018-12-20)
参考文献数
16

慢性鼻炎として長期治療していた猫が,進行性の瞬膜及び眼球突出を呈し,鼻腔や眼窩を中心として,壊死組織を伴う炎症性肉芽の浸潤性増殖を認めた.病理組織学的検査により真菌感染が原因と診断され,抗真菌剤などによる内科治療や,壊死組織及び肉芽組織のデブリードマン等の外科治療を実施した.しかし,真菌感染は浸潤性に進行し,死亡した.本症例の起因菌の培養形態と高温発育試験及びβチューブリンとカルモジュリン遺伝子の塩基配列は近年分類されたAspergillus felis と一致していた.また,分離株は多くの抗真菌薬に対して高い最少発育阻止濃度を示し,感受性が低いことが示唆された.
著者
山田 茂夫 加山 英 徳田 雅史 立野 祐子 相内 聖峰
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.99-102, 2012 (Released:2012-07-13)
参考文献数
6

両耳の外耳道に耳垢腺癌が同時発生した1歳,スコティッシュホールドを経験した。肉眼所見として,左外耳道には5 mm径の自壊した出血性暗色丘疹,右には隣接した各3 mm径の暗赤色および黒色丘疹がそれぞれ外耳道開口部内側皮膚のほぼ同位置に観察された。両耳に外耳炎は認められなかった。病理組織学検査では左右ともに耳垢腺が強い異型性と浸潤性を有し,大小の塊状に乳頭状―腺様増殖していた。この結果から,両耳共に丘疹を含むように外耳道皮膚および耳介軟骨を拡大切除した垂直耳道切除術を実施した。術後1年間において再発は認められなかった。