著者
山田 鋭生 小野 奈生子
出版者
共栄大学
雑誌
共栄大学研究論集 = The Journal of Kyoei University (ISSN:13480596)
巻号頁・発行日
no.17, pp.115-124, 2019-03-31

本稿の目的は,幼稚園における実践を「学校的社会化」という観点からとらえることにある。「就学前教育」ということばに表れるように,幼児教育は家庭における初期社会化と学校教育との間に位置するものである。事例を読み解くにあたって,本稿ではまず「第一次的社会化」と「第二次的社会化」という概念を援用し,「学校的社会化」を第二次的社会化の原初形態としてとらえる。その上で,幼稚園年少クラスにおいて撮影されたビデオデータをもとに,それが相互行為上どのような形式で生起しているのかを明らかにしている。その結果示されたのは「質問→同時多発的応答→評価」という,幼稚園児を一斉教授へ導くと考えられる相互行為形式である。