著者
田浦 俊春 妻屋 彰 山田 香織
出版者
日本マーケティング学会
雑誌
マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.38-55, 2018-06-30 (Released:2018-12-14)
参考文献数
36
被引用文献数
1 1

本稿では,イノベーションの進む方向性とイノベーションのためのデザインに寄与する創造的思考について論じる。まず,イノベーションは利便性や効率を重視する「量的イノベーション」とライフスタイルや文化の変化をもたらす「質的イノベーション」に区分されるとし,現代社会では質的イノベーションへの転換が必要であることを述べる。次に,イノベーションのためのデザインを,プロダクトを介して科学技術と社会との間を橋渡しすることと捉えた上で,デザインの起因に注目し,それを社会のニーズにおく「ニーズ先導型」,科学技術の探求におく「シーズ先導型」,両者の橋渡しをするプロダクトの構想からはじめる「プロダクト先導型」に区分できることを示す。これらの区分を2軸として戦後日本のイノベーションを対象に事例調査を行った結果,質的イノベーションではプロダクト先導型のデザインが多くみられた。さらに,質的イノベーションに寄与する創造的思考について議論し,ブレンディング型のシンセシスやプロダクトと場の組合せ型のシンセシス,シンセシス型の創造的思考に則ったタイプのメタファ型のシンセシスを用いた創造的思考が効果的であることを述べる。
著者
石黒 智恵子 竹内 由則 山田 香織 駒嶺 真希 宇山 佳明
出版者
一般社団法人 日本薬剤疫学会
雑誌
薬剤疫学 (ISSN:13420445)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.3-13, 2015-07-31 (Released:2015-09-18)
参考文献数
29
被引用文献数
5 3

独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)では,第2期中期計画(平成21~25年度)の柱の一つとして「医薬品の市販後安全対策の強化・充実」を掲げ,従来の副作用報告を中心とした評価に加え,電子化された診療情報データの二次利用による医薬品の安全性評価体制を構築するため,MIHARI Project -Medical Information for Risk Assessment Initiative を立ち上げた.第2期中期計画の目標は,各種電子診療情報へのアクセス基盤を整備し,薬剤疫学的手法を用いて医薬品による副作用のリスクを定量的に評価する体制を構築することであった.まず,データソースとして,レセプトデータ,病院情報システムデータ,DPC(Diagnosis Procedure Combination)導入の影響評価に係る調査用データ等の利用可能(アクセス可能)なデータベースを対象とし,それぞれの特性について評価した.そして,その特性に基づいて調査テーマを選択し,各種薬剤疫学的手法を用いた試行調査を実施するとともに,各種データベースの安全対策への活用可能性について検討し,平成25年度までに医薬品による有害事象のリスクを定量的に評価する体制を構築した.平成26年度からの第3期中期計画(~平成30年度)においては,厚生労働省およびPMDA内の各部署と連携し,電子診療情報を用いた調査および評価手法を実際の医薬品の市販後安全性評価へ積極的に活用していく「電子診療情報を用いた市販後医薬品安全対策の実運用の開始」および,厚生労働省とPMDAの共同事業として構築している医療情報データベース,厚生労働省が管理するレセプト情報・特定健診等情報(ナショナルレセプトデータベース)等を含む新規の電子診療情報データベースや新規薬剤疫学的手法を検討していく「副作用リスク分析手法の高度化」を目標に検討を進めることとしており,平成27年4月には,医療情報の安全対策への活用を推進するため,新たに医療情報活用推進室を設置し業務を開始した.本稿では,第2期中期計画における MIHARI Project 開始の経緯と目的,各種電子診療情報の特性,また,これまでに実施した試行調査の成果について述べたい.さらに,第3期中期計画での電子診療情報の安全対策への適用に向けた今後の取り組みについても紹介する.
著者
山田 香織 工口 陽平 田浦 俊春
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.2_49-2_54, 2016-07-31 (Released:2016-11-15)
参考文献数
21

動くロゴマークなどに見られるように,身の回りの様々な場面で動きを伴ったデザインがなされるようになってきている.本研究では,作りたい動きのイメージが曖昧である際に,計算機と対話しながら動きをデザインする方法を提案することを目的としている.これまでに,自然物の動きを誇張しそれを合成することで新しい動きを生成する方法を提案し,システムを構築した.本論文では,曖昧で漠然としている動きのイメージを表現するための方法として擬態語に注目する.また,これまでに存在していない新しいイメージを表現するために,既存の擬態語を超えて,全く新しい擬態語が造られることもある.本論文では,動きのアイデアを表現するために新しく造られた擬態語を創作擬態語と呼び,これに基づいて創造的な動きを生成する方法を提案する.そのために,まず,創作擬態語を計算機が理解する(処理する)手法を構築した.そして,これまでに構築した動作生成システムおよび動きのデータベースに,本論文で構築した手法を組み込み,本方法の有効性を検証した.