著者
松井 剛 加藤 宗規 山﨑 裕司
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.103-106, 2019 (Released:2019-02-26)
参考文献数
9

〔目的〕立位保持が困難な重症片麻痺者における立位保持時間を平行棒把持条件と垂直棒把持条件において比較した.〔対象と方法〕対象は,平行棒内立位保持が困難な脳卒中片麻痺患者9症例とした.平行棒片手把持での立位条件(条件A)と,垂直棒片手把持での立位条件(条件B)における立位保持時間を5日間にわたって計測し,比較した.〔結果〕5日間とも条件Aに比較して条件Bにおいて立位保持時間は有意に長かった(p<0.05).6例は,5日目の条件Bにおいて60秒の立位保持が可能となったが,条件Aでは不可能であった.〔結語〕平行棒での立位保持が困難な重症片麻痺者に対しては,垂直棒の利用を検討すべきである.
著者
山﨑 裕司 豊田 輝 宮城 新吾 吉葉 崇
出版者
高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.1-9, 2007
被引用文献数
1

障害を生じた後に行う動作練習は,新たな動作の学習過程として捉えられる.よって,理学療法士は動作障害の原因分析と動作指導のために学習という視点を持たなければならない.本稿では,学習行動理論を基本とした動作障害の原因分析とその指導方法について概説した.失敗は,動作練習に対する意欲を減退させるとともに,学習効率を低下させる.動作練習の原則は無誤学習である.そのプログラムの創出のためには,シェイピングや,課題分析,連鎖化,プロンプト・フェイディングなどの技法が有効である.理学療法士は,対象者の障害や日常生活動作に適した指導プログラムを創出する技術を身に付けると共に,その方法を再現可能な形で記述し,それらの効果について検証していかねばならない.
著者
山﨑 裕司
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.42, no.8, pp.738-739, 2015 (Released:2016-01-15)
参考文献数
1
著者
重島 晃史 山﨑 裕司
出版者
高知リハビリテーション学院
雑誌
高知リハビリテーション学院紀要 (ISSN:13455648)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.1-7, 2014

子どもの運動発達は一般的に運動や姿勢の変化が生じる時期について示されることが多く,子どもを取り巻く環境との相互作用から述べられることは少ない.本論文では環境が運動発達に及ぼす影響について種々の先行研究を取り上げ,行動分析学的な観点から運動発達を論じた. 生後数ヶ月の乳児は自分の足蹴り動作に伴って玩具が動くことを知ると,足蹴り動作の頻度を増加させる.この結果は,乳児が環境の変化を認識し,環境からの刺激によって行動を変化させ得ることを示している.また,一般的に自動歩行が消失する生後ヶ月以降からヶ月までの間は足踏みが認められないとされてきた.しかし,乳児の体幹と下肢を水中に沈めたところ,交互の足踏みが出現した.この結果は浮力によって足踏み運動の難易度が低くなった結果,足踏み行動が生じるようになったと解釈できる. 環境から与える刺激によって乳児の行動をコントロールできるという事実は,言語の無い乳児期における小児リハビリテーションの可能性を広げるであろう.