著者
室伏 祐介 岡上 裕介 中平 真矢 前田 貴之 永野 靖典 池内 昌彦 川上 照彦
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.597-600, 2016 (Released:2016-08-31)
参考文献数
15

〔目的〕等張性外転運動における筋活動より,中殿筋に対し小殿筋を優位に鍛える方法を検討することとした.〔対象と方法〕対象は,健常成人14名とした.小殿筋と中殿筋にワイヤ電極を留置し,最大筋力20%,40%,60%の負荷量での等張性外転運動による,積分値,平均周波数を算出した.〔結果〕全ての段階の負荷量において小殿筋の方が中殿筋よりも筋活動が高かった.さらに,筋活動量の割合(小殿筋/中殿筋)は最大筋力20%の負荷量において高かった.また,平均周波数は負荷量ごとに違いは認められなかった.〔考察〕等張性外転運動で中殿筋に対し小殿筋を優位に鍛えるためには低負荷が良い.
著者
室伏 祐介 川上 照彦 岡上 裕介 永野 靖典 池内 昌彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0390, 2017 (Released:2017-04-24)

【緒言】股関節安定化機構である股関節深層筋に着目した報告が散見され,深層筋である小殿筋は股関節に安定をもたらす働きがあるとされている。PETやMRIを用いた研究では,歩行や片脚立位時には中殿筋よりも小殿筋の活動が高いと報告されており,変形性股関節症でみられる股関節外転筋機能不全に対しては,深層筋の働きを考慮しなくてはならない。また,我々は小殿筋にワイヤ電極を留置し,小殿筋の筋活動を分析してきた。その結果,歩行立脚期において小殿筋は中殿筋と同等の筋活動量を示していることを報告し,筋電図学的にも小殿筋が股関節の安定に関与していることが示唆された。さらに,小殿筋の筋線維の走行は,中殿筋よりも求心位方向を向いており,解剖学的にも安定性に関与していると考えられる。今回,小殿筋が股関節の安定性に関与しているかさらに検討をすすめるために,不安定な状況下における小殿筋の筋活動を比較することである。【方法】対象は,健常成人13名(男性7名,女性6名)である。被検筋を小殿筋と中殿筋とし,電極の留置場所は,小殿筋が腸骨稜の中点と大転子を結んだ中点に,中殿筋が腸骨稜の中点より2.5cm遠位に留置した。ワイヤ電極は,ウレタンコーティングされた直径0.1 mmのステンレス線で,先端の0.5 mmだけコーティングを剥がし通電できるようにし,電極間距離は2 mmになるように貼り合わせ,双極誘導ができるようにしている。1本のワイヤ電極は22 Gのカテラン針に通した後,ガス滅菌処理をして使用した。なお,電極の留置は整形外科医が行っている。測定課題は,平地での片脚立位,バランスクッション上での片脚立位,半球上での片脚立位を各5秒間行った。解析は,片脚立位の開始と終了の1秒を除く3秒間の積分値を算出した。積分値の算出には,BIMUTASを使用し,20-1000 Hzのバンドパスフィルターを通した後に解析を行った。また,算出した積分値は,最大随意収縮時の値に対する相対値にて比較を行った。【結果】平地での片脚立位,バランスクッション上での片脚立位,半球上での片脚立位とより不安定な状況になると,有意差は認めなかったが筋活動量が増加した。また,性別ごとに比べると,女性では不安定な状況が増すと小殿筋の筋活動量が有意に高くなった(p<0.05)。さらに男女の差を比較すると,半球上での片脚立位においは,小殿筋の筋活動量が男性より女性の方が有意に高くなった(p<0.05)。【考察】片脚立位を保持するためには,支持面が不安定になると股関節を安定させる必要がある。よって,小殿筋の筋活動量が上がったものと考えられる。また,この傾向は女性においてより顕著にみられた。本邦の変形性股関節症例は多くが二次性であり,また,発育性股関節形成不全の多くは女性である。よって形態学的にも女性の方が股関節の安定は保たれにくく,その代償としてより小殿筋の筋活動が必要となったのではないかと考えられる。
著者
阿漕 孝治 泉 仁 岡上 裕介 池内 昌彦
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.197-202, 2016-12-26 (Released:2017-01-27)
参考文献数
11

Knee pain is a major source of disability in patients with knee osteoarthritis (OA). Although the mechanism of OA progression has been well documented, pain pathophysiology is largely unknown. Recent accumulating clinical evidence indicates that subchondral bone marrow lesions (BMLs) detected on MRI in knee OA are strongly associated with intense pain. In this review we describes bone pain in knee osteoarthritis clarified by our basic and clinical studies.In basic studies, we clarified nociceptive phenotype alterations of subchondral bone afferents of the distal femur in mono–iodoacetate (MIA)–induced OA rats. Two different retrograde tracers were separately injected into the knee joint cavity and the subchondral bone to identify synovium and subchondral bone afferents. OA caused an up–regulation of calcitonin gene–related peptide (CGRP) and tyrosine receptor kinase A (TrkA) in both synovium and subchondral bone afferents. CGRP and TrkA expression in subchondral bone afferents gradually increased over 6 weeks. Furthermore, up–regulation of CGRP and TrkA in subchondral bone afferents displayed a strong correlation with the subchondral bone damage score. Up–regulation of CGRP and TrkA in subchondral bone afferents correlated with subchondral bone damage, suggesting that subchondral bone is a therapeutic target, especially in the case of advanced stage knee OA.In clinical studies, we clarified the association of subchondral BMLs with pain in medial compartment knee osteoarthritis. Total BMLs size were significantly correlated with walking pain (Spearman’s r=0.59, p<0.01). As a result of the multi regression analysis, subchondral BMLs became a factor of walking knee pain in the case of advanced stage knee OA (Regression coefficient = 0.75, p<0.01). Subchondral BMLs are potentially therapeutic targets to treat pain associated with subchondral bone in knee osteoarthritis.In conclusion, subchondral bone, in itself, is a therapeutic target, especially in the case of advanced stage knee OA. In particular, BMLs are potentially therapeutic targets to treat joint pain associated with the subchondral bone in OA.