13 0 0 0 OA 神経根症

著者
谷 俊一 木田 和伸 武政 龍一 池内 昌彦 田所 伸朗
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.151-156, 2013-06-01 (Released:2015-02-25)
参考文献数
17

神経根症の原因の多くは椎間板ヘルニアまたは椎間孔狭窄であり, 診断にはまず頸椎や腰椎の動きが上肢症状や下肢症状を誘発するかどうかを確かめることが重要である。次に, 神経診察によりデルマトーム (感覚検査) やミオトーム (MMT, 腱反射, EMG検査) に基づいて障害神経根を特定し, それに対応する椎間レベルに一致して画像診断で異常所見が存在することを確認する。一般に, 上肢はミオトーム, 下肢ではデルマトームの信頼性が高い。運動麻痺が著しい場合, 支配神経を末梢部で最大上刺激して麻痺筋から記録されるM波の大きさは支配神経の軸索変性の割合に応じて減少するため運動麻痺の予後の指標となる。神経根症では麻痺筋からM波が誘発できないほど運動神経の軸索変性が重度であっても椎間孔 (後根神経節) より末梢側の感覚神経は軸索変性を免れるためSNAPは正常に記録されることが多い。重症例においてこの現象は末梢神経障害との鑑別に有用である。
著者
室伏 祐介 岡上 裕介 中平 真矢 前田 貴之 永野 靖典 池内 昌彦 川上 照彦
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.597-600, 2016 (Released:2016-08-31)
参考文献数
15

〔目的〕等張性外転運動における筋活動より,中殿筋に対し小殿筋を優位に鍛える方法を検討することとした.〔対象と方法〕対象は,健常成人14名とした.小殿筋と中殿筋にワイヤ電極を留置し,最大筋力20%,40%,60%の負荷量での等張性外転運動による,積分値,平均周波数を算出した.〔結果〕全ての段階の負荷量において小殿筋の方が中殿筋よりも筋活動が高かった.さらに,筋活動量の割合(小殿筋/中殿筋)は最大筋力20%の負荷量において高かった.また,平均周波数は負荷量ごとに違いは認められなかった.〔考察〕等張性外転運動で中殿筋に対し小殿筋を優位に鍛えるためには低負荷が良い.
著者
広瀬 侑 佐藤 桃子 池内 昌彦
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.9-15, 2009-03-31

シアノバクテリアは真正細菌の中で独自の分類群を構成するが,非常に多様で生態学的にも重要である.またモデル生物として研究が非常に進んでいる.研究材料として代表的な種を選んでその特徴を概説する.
著者
室伏 祐介 川上 照彦 岡上 裕介 永野 靖典 池内 昌彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0390, 2017 (Released:2017-04-24)

【緒言】股関節安定化機構である股関節深層筋に着目した報告が散見され,深層筋である小殿筋は股関節に安定をもたらす働きがあるとされている。PETやMRIを用いた研究では,歩行や片脚立位時には中殿筋よりも小殿筋の活動が高いと報告されており,変形性股関節症でみられる股関節外転筋機能不全に対しては,深層筋の働きを考慮しなくてはならない。また,我々は小殿筋にワイヤ電極を留置し,小殿筋の筋活動を分析してきた。その結果,歩行立脚期において小殿筋は中殿筋と同等の筋活動量を示していることを報告し,筋電図学的にも小殿筋が股関節の安定に関与していることが示唆された。さらに,小殿筋の筋線維の走行は,中殿筋よりも求心位方向を向いており,解剖学的にも安定性に関与していると考えられる。今回,小殿筋が股関節の安定性に関与しているかさらに検討をすすめるために,不安定な状況下における小殿筋の筋活動を比較することである。【方法】対象は,健常成人13名(男性7名,女性6名)である。被検筋を小殿筋と中殿筋とし,電極の留置場所は,小殿筋が腸骨稜の中点と大転子を結んだ中点に,中殿筋が腸骨稜の中点より2.5cm遠位に留置した。ワイヤ電極は,ウレタンコーティングされた直径0.1 mmのステンレス線で,先端の0.5 mmだけコーティングを剥がし通電できるようにし,電極間距離は2 mmになるように貼り合わせ,双極誘導ができるようにしている。1本のワイヤ電極は22 Gのカテラン針に通した後,ガス滅菌処理をして使用した。なお,電極の留置は整形外科医が行っている。測定課題は,平地での片脚立位,バランスクッション上での片脚立位,半球上での片脚立位を各5秒間行った。解析は,片脚立位の開始と終了の1秒を除く3秒間の積分値を算出した。積分値の算出には,BIMUTASを使用し,20-1000 Hzのバンドパスフィルターを通した後に解析を行った。また,算出した積分値は,最大随意収縮時の値に対する相対値にて比較を行った。【結果】平地での片脚立位,バランスクッション上での片脚立位,半球上での片脚立位とより不安定な状況になると,有意差は認めなかったが筋活動量が増加した。また,性別ごとに比べると,女性では不安定な状況が増すと小殿筋の筋活動量が有意に高くなった(p<0.05)。さらに男女の差を比較すると,半球上での片脚立位においは,小殿筋の筋活動量が男性より女性の方が有意に高くなった(p<0.05)。【考察】片脚立位を保持するためには,支持面が不安定になると股関節を安定させる必要がある。よって,小殿筋の筋活動量が上がったものと考えられる。また,この傾向は女性においてより顕著にみられた。本邦の変形性股関節症例は多くが二次性であり,また,発育性股関節形成不全の多くは女性である。よって形態学的にも女性の方が股関節の安定は保たれにくく,その代償としてより小殿筋の筋活動が必要となったのではないかと考えられる。
著者
池内 昌彦
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.381-385, 2013 (Released:2013-07-13)
参考文献数
11
被引用文献数
3 3

人工関節手術の術後急性期疼痛は強く,機能回復の阻害因子であるだけでなく,患者の満足度とも密接に関係する.術後鎮痛として,オピオイドを使用したIV-PCAや持続硬膜外麻酔,末梢神経ブロック,さらに最近注目されている関節周囲カクテル注射などが主に行われている.それぞれの鎮痛法の特徴を把握し,副作用を低減しながら最大の鎮痛効果が得られるように,いくつかの鎮痛法を組み合わせた多角的鎮痛法を採用することが望ましい.関節周囲カクテル注射は手技的な容易性と確実性で優れており,多角的鎮痛法のなかでも中心的な役割を担うと考えられる.
著者
岩井 雅子 広瀬 侑 池内 昌彦
出版者
北海道大学低温科学研究所 = Institute of Low Temperature Science, Hokkaido University
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.575-582, 2009-03-31

シアノバクテリアは真正細菌の一種として,相同組換による遺伝子操作がよく整備されているものが多いが,重要な種でも形質転換できないものもある.代表的な形質転換のプロトコルとともに今後の展望を述べる.
著者
広瀬 侑 池内 昌彦
出版者
公益社団法人 日本農芸化学会
雑誌
化学と生物 (ISSN:0453073X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.403-407, 2016

酸素発生型の光合成を行う原核生物であるシアノバクテリアは,周囲の緑色と赤色の光のバランスを感知して光合成アンテナの組成を調節する.補色順化と呼ばれるこの現象は光合成機能の光質による調節の代表例として知られていたが,光色感知機構の実態は長らく不明であった.われわれは補色順化を制御するフィトクロム様光受容体の同定と解析に成功し,色素のプロトン脱着を介した新奇の緑・赤色光感知機構の存在を明らかにした.
著者
広瀬 侑 池内 昌彦 浴 俊彦
出版者
日本植物形態学会
雑誌
PLANT MORPHOLOGY (ISSN:09189726)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.41-45, 2017

<p>シアノバクテリアは,1990年代に光合成生物として初めてゲノムがシークエンスされ,光合成のモデル生物として利用されてきた.一方で,シアノバクテリアは多様性の大きな微生物群であり,我々は,シアノバクテリアの光合成アンテナが補色的に調節される光応答(補色順化)の分子機構の多様性について解析を進めている.これまでの解析により,シアノバクテリア門において,補色順化が緑・赤色光感知機構を持つフィトクロム様受容体に制御されていること,補色順化のシグナル伝達経路が2種類存在すること,光色調節を受ける光合成アンテナ遺伝子セットは4種類以上存在することを明らかにしている.さらに,これらの光色感知機構の分布は16Sリボソーム配列に基づく系統樹との相関関係が低いことから,水平伝播による進化が示唆される.今後,より大量の塩基配列情報に基づいた解析を行うことにより,シアノバクテリアの多様な光合成機構の実態が明らかになっていくことが期待される.</p>
著者
広瀬 侑 佐藤 桃子 池内 昌彦
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.9-15, 2008

1章 植物・藻類・細菌の材料の入手と栽培・培養 2
著者
近藤 久益子 佐藤 桃子 広瀬 侑 渡邊 麻衣 池内 昌彦
出版者
北海道大学低温科学研究所
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.295-301, 2009-03-31

フィコビリソームはシアノバクテリア,灰色藻,紅藻に広く存在するフィコビリタンパク質の集光超分子複合体で,光エネルギーの捕集と光環境への順化,分配や貯蔵タンパク質として重要な役割を果たしているが,まだ不明な点が多い.
著者
川田 倫子 牛田 享宏 池内 昌彦 川上 照彦 山中 紀夫 池本 竜則 谷 俊一 小松 誠
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.127-132, 2006-08-20 (Released:2013-10-24)
参考文献数
10
被引用文献数
3 6

Hip joint associated pain is known to distribute widely in affected thigh or lower leg and generally not restricted in hip joint area.However detail feature of hip joint associated referred pain is not sufficiently clarified. Therefore the aim of this study is to characterize the types of distribution of hip joint related pain and to give our opinion about underlying neurophysiological mechanisms of hip joint referred pain. Of 36 severe osteo-arthritis joints, 83% of the joints showed remote pain area and 18% of the joints showed pain restricted only in inguinal area. Fourteen percent of the joints had far remote pain in lower leg area. L5 root block study was conducted in 7 cases. In all cases remote referred pains were attenuated at least 2 or 3 days and long lasting pain improvement was achieved in one case. These results suggest that referred pain observed in severe hip osteoarthritis cases may initially triggered by hip joint itself but prolonged referred muscle pain may become a possible generator for triggering and maintaining of mal-pain circuit.
著者
阿漕 孝治 泉 仁 岡上 裕介 池内 昌彦
出版者
日本疼痛学会
雑誌
PAIN RESEARCH (ISSN:09158588)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.197-202, 2016-12-26 (Released:2017-01-27)
参考文献数
11

Knee pain is a major source of disability in patients with knee osteoarthritis (OA). Although the mechanism of OA progression has been well documented, pain pathophysiology is largely unknown. Recent accumulating clinical evidence indicates that subchondral bone marrow lesions (BMLs) detected on MRI in knee OA are strongly associated with intense pain. In this review we describes bone pain in knee osteoarthritis clarified by our basic and clinical studies.In basic studies, we clarified nociceptive phenotype alterations of subchondral bone afferents of the distal femur in mono–iodoacetate (MIA)–induced OA rats. Two different retrograde tracers were separately injected into the knee joint cavity and the subchondral bone to identify synovium and subchondral bone afferents. OA caused an up–regulation of calcitonin gene–related peptide (CGRP) and tyrosine receptor kinase A (TrkA) in both synovium and subchondral bone afferents. CGRP and TrkA expression in subchondral bone afferents gradually increased over 6 weeks. Furthermore, up–regulation of CGRP and TrkA in subchondral bone afferents displayed a strong correlation with the subchondral bone damage score. Up–regulation of CGRP and TrkA in subchondral bone afferents correlated with subchondral bone damage, suggesting that subchondral bone is a therapeutic target, especially in the case of advanced stage knee OA.In clinical studies, we clarified the association of subchondral BMLs with pain in medial compartment knee osteoarthritis. Total BMLs size were significantly correlated with walking pain (Spearman’s r=0.59, p<0.01). As a result of the multi regression analysis, subchondral BMLs became a factor of walking knee pain in the case of advanced stage knee OA (Regression coefficient = 0.75, p<0.01). Subchondral BMLs are potentially therapeutic targets to treat pain associated with subchondral bone in knee osteoarthritis.In conclusion, subchondral bone, in itself, is a therapeutic target, especially in the case of advanced stage knee OA. In particular, BMLs are potentially therapeutic targets to treat joint pain associated with the subchondral bone in OA.
著者
石塚 量見 池内 昌彦
出版者
北海道大学低温科学研究所 = Institute of Low Temperature Science, Hokkaido University
雑誌
低温科学 (ISSN:18807593)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.355-358, 2009-03-31

フィコビリンはシアノバクテリアや灰色藻,紅藻,クリプト藻などの真核藻類における主要な光合成の集光色素であり,タンパク質と共有結合している.本項では光合成色素としてのフィコビリンの性質,分析・単離法およびフィコビリタンパク質について述べる.
著者
沈 建仁 神谷 信夫 梅名 泰史 川上 恵典 高坂 賢之 岩井 雅子 池内 昌彦
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

光化学系II複合体(PSII)の構造制御機構を解明するため、各種低分子量サブユニット欠損株由来PSIIの構造・機能解析を行った。Ycf12(Psb30)欠損株由来PSIIの結晶構造解析によりその存在位置を確認し、PsbZ欠損株を用いた研究では、PsbZがPsbKとYcf12のPSIIへの結合に必要であることを示した。また、PsbMはPSII二量体の安定性を維持するのに必要であるが、PsbIは二量体の形成に必要であることを示した。