著者
笛吹 亘 園田 茂 鈴木 亨 岡本 さやか 東口 高志 才藤 栄一
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.184-192, 2008-03-18
参考文献数
24
被引用文献数
3 3

回復期リハビリテーション病棟での栄養サポートチーム(NST)介入効果をFIMを用いて後方視的に検討した.脳卒中患者304名を対象にNST介入対象者を栄養強化群と減量群に分類し,各々をNST介入非対象者(非NST群)と比較した.FIM利得は栄養強化群17.3±15.9,非NST群16.7±12.5と両群に有意差はなかったが,FIM効率は栄養強化群0.20±0.19,非NST群0.27±0.19と有意差を認めた.入院時FIM得点が54点以下の患者ではFIM利得,FIM効率ともに両群に有意差を認めなかった.入退院時BMI変化とFIM変化の間で一定の傾向を認めなかった.栄養介入を要した栄養強化群は一般的には予後不良の群と判断されるにもかかわらず,非NST群と差がなかった今回の結果は,NSTという栄養介入が有用であった可能性を示唆している.
著者
前島 伸一郎 岡本 さやか 岡崎 英人 園田 茂 大沢 愛子
出版者
日本神経心理学会
雑誌
神経心理学 (ISSN:09111085)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.322-332, 2016-12-25 (Released:2017-01-18)
参考文献数
53
被引用文献数
2

視床病変では,運動障害や感覚障害などの神経症状だけでなく,失語症や半側空間無視,記憶障害など多彩な神経心理学的症状をしばしば伴う.一方,失語症を伴わない読み書きの障害が単独でみられることは少ない.読み書きの障害を生じる視床の局在病変として明らかにされているのは,背内側核(DM核)と外側腹側核(VL核),後外側腹側核(VPL核)であり,それぞれ大脳皮質の前頭葉,運動関連領野,感覚野へ投射する.既報告例の多くで,SPECT検査が実施され,同側の頭頂葉や前頭葉,側頭葉の皮質・皮質下に局所脳血流の低下による機能的病変が示されている.
著者
舟橋 怜佑 前島 伸一郎 岡本 さやか 布施 郁子 八木橋 恵 浅野 直樹 田中 慎一郎 堀 博和 平岡 繁典 岡崎 英人 園田 茂
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
pp.10516, (Released:2017-06-13)
参考文献数
35

【目的】リハビリテーション(リハ)目的で入院した右被殻出血患者を対象に,半側空間無視の有無やその検出法に関与する要因について検討した.【対象と方法】対象は回復期リハ病棟に入院した右被殻出血103 名で,発症から評価までの期間は40.5±27.4 日.発症時のCT より血腫型を評価し,血腫量を算出して,半側空間無視がみられたかどうかや,その検出法を診療録より後方視的に調査した.【結果】半側空間無視は103 名中58 名(56.1%)でみられた.血腫量が多く,血腫が内包前後脚または視床に及ぶ広範な場合に半側空間無視は高率にみられた.半側空間無視の検出率は消去現象と注意で最も高く,次いで模写試験,視空間認知の順であった.【結論】回復期リハの時期でも被殻出血の半数以上に半側空間無視を認め,その発現には血腫量や血腫型が関与した.半側空間無視の検出に複数の課題を用いることで,見落としを大きく減らすことができた.