著者
岡本 佳男 八島 栄次
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.792-804, 1987-08-01 (Released:2010-01-22)
参考文献数
68

Three different types of asymmetric polymerizaitons of methacrylates have been achieved successfully. Racemic α-substituted benzyl methacrylates were polymerized with a high enantiomer-selectivity over 90% in the polymerization by (-) -sparteine-Grignard reagent complexes. Optically active polymethacrylates with nearly 100% one-handed helicity were obtained in the polymerization of such bulky esters as triphenylmethyl methacrylate with chiral anionic initiators. These chiral polymers were found to be very effective in separating the optical isomers under HPLC conditions. A very high enantiomer selection by the growing chain end with a stable helical structure was also attained in the polymerization of a bulky racemic monomer phenyl-2-pyridyl-ο-tolylmethyl methacrylate.
著者
岡本 佳男
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.105-107, 2014 (Released:2016-04-05)
参考文献数
15

生体が光学異性体に対して高い識別を示すために,キラルな医薬品については,より有効な片方の異性体からなる光学活性な医薬品の開発が非常に重要であることは,今日ではごく当たり前のこととして知られている.しかし,今から20年前はキラルな合成医薬品の多くは,光学異性体の等量混合物であるラセミ体として用いられていた.その理由の1つは,キラル化合物の純度(鏡像体過剰率,ee)を微量で正確に決める手段がなかったためである.本稿では,今日,光学異性体の分離,分析に最もよく利用されている高速液体クロマトグラフィー(high-performance liquid chromatography;HPLC)用のらせん高分子からなるキラル固定相(カラム)の開発について,筆者が行った研究を紹介したい.
著者
岡本 佳男 海田 由里子
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.41-53, 1993-01-01 (Released:2009-11-16)
参考文献数
131
被引用文献数
12 15

Polysaccharides such as cellulose and amylose are the most accessible optically active polymers. The polysaccharides themselves show rather low chiral recognition, but their derivatives show high chiral recognition and afford useful chiral stationary phases (CSPs) for HPLC. In this review, optical resolution by cellulose esters, especially benzoates, and by various phenylcarbamates of cellulose and amylose is discussed. Chiral recognition abilities of aralkylcarbamates of cellulose and amylose are also evaluated.
著者
岡本 佳男 毛利 晴彦 中村 雅昭 畑田 耕一
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌 (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.3, pp.435-440, 1987-03-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
14
被引用文献数
4 7

光学活性なポリ(メタクリル酸トリフェニルメチル)(PTrMA)を3種の異なる方法で大孔径シリカゲルに化学結合させ,高速液体クロマトグラフィー用のキラルな充填剤を調製した。その結果,メタクリル酸トリフェニルメチルとメタクリル酸3-(トリメトキシシリル)プロピルとのブロック共重合体を用いるともっとも多量のPTrMAをシリカゲルに化学結合できることが明らかになった。メタノールを溶離液に用いた場合の種々のラセミ体に対する光学分割能は,従来までのPTrMA担持型充填填剤と類似していた。また,この化学結合型充填剤ではPTrMAが溶解するテトラヒドロフランやクロロホルムといった溶離液も使用可能であった。クロロホルムを溶離液に用いて,(±)-PTrMAを(+)体と(-)体に部分的に光学分割することができた。また,ラジカル重合で得られたポリ(メタクリル酸ジフェニル-2-ピリジルメヂル)も光学分割でき,このポリマーがらせん構造を有していることがわかった。化学結合型充填剤はGPC用の充填剤としての性質も有していた。分子量数千から百万までの単分散ポリスチレンを分析すると,分子量の対数値と溶出時間との間によい直線関係が得られた。
著者
岡本 佳男 八島 栄次
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.43, no.11, pp.695-699, 1995
参考文献数
7

物理的・化学的性質の多くが全く同じである光学異性体を分離すること(光学分割)は, 最も高度の技術を必要とする物質分離法の一つである。Pasteurがルーペとピンセットを用いて世界最初の光学分割に成功して以来, ラセミ体を光学活性体に分離する技術は飛躍的に進歩し, ルーペとピンセットの代わりとなる様々の方法が開発されてきた。ここでは, 結晶化法とクロマトグラフィーを用いた光学分割について, 現状と今後の展望について紹介する。