著者
岡林 隆敏 関 暁麗 前川 裕之 後藤 恵之輔
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D (ISSN:18806058)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.134-147, 2008 (Released:2008-03-21)
参考文献数
35

長崎の「唐人屋敷」は,公有化しないままに現在に至り,宅地開発等により境界が変化させられたために,明確な範囲確定ができない現状にあった.本論文では,GPS,GIS等の測量技術を駆使して,唐人屋敷の範囲と敷地,面積を推定した.さらに,現地調査結果を踏まえ,絵図・古地図と現在の地図を使ったGISの処理,コンピュータグラフィックスより敷地構造の表現を併用した検討を行った.また,コンピュータ技術を導入して,当時の絵図を合成することにより,唐人屋敷の地形を立体的に表現でき,より現実感のある復元を可能にした.本研究は,絵図・古写真等歴史的資料のデジタル化と,地理情報技術の融合により,遺跡の範囲を推定するための新しい土木史研究の実施方法を提案するものである.
著者
岡林 隆敏 鯨津 佳久
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.493-499, 1993-06-01 (Released:2010-06-15)
参考文献数
3

写真資料を歴史資料として活用するためには、膨大な写真の保存・管理と共に、効果的な検索が必要である。近年のパーソナルコンピュータの性能の向上と低価格化が著く、中でも画像処理能力の進歩はめざましい。このような、状況の中でパーソナルコンピュータよる画像データベースが可能になってきた。本研究では、画像処理能力に優れた性能を有するMcintoshを用いて、市販のデータベースソフトウェアを適用して、歴史的写真の管理と検索のための画像データベースの開発を行なった。この論文では、画像データベースのシステム、ハードウェアおよびソフトウェアについて説明し、いくかの画像データベースの適用事例を示した。
著者
岡林 隆敏 林田 幸誠
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.183-190, 1994-06-09 (Released:2010-06-15)
参考文献数
10

近代都市の形成史を明らかにするためには、都市の骨格となる道路網の形成を明確にする必要がある。長崎市は江戸期においては、西洋との唯一の貿易港として繁栄し、明治から昭和初期にかけては、西日本の主要都市として発展してきた。しかし、軍事要塞都市と市役所の火災により、長崎市における近代道路網整備についての歴史は明確でない。本研究は、幕末から明治期、明治期から昭和初期に至る長崎市の道路網の整備の歴史を調査し、さらに、道路景観の変遷を古写真および絵葉書より示したものである。
著者
岡林 隆敏 阿部 大輔 糸永 洋次郎 足立 圭太郎
出版者
長崎大学
雑誌
長崎大学工学部研究報告 (ISSN:02860902)
巻号頁・発行日
vol.34, no.63, pp.65-69, 2004-07

The atomic bomb disaster can be classified to urban disaster from the viewpoint of civil engineering. "The US strategic-bombing investigating commission film", an existing aerial image data of post atomic bomb disaster in Nagasaki recorded by the commission, remains as the materials for representing the result of the attack. However, there is few material, which indicates the right places of the object structures in detail. The objective of this study is to structure the database linked with the map of Nagasaki city by Visual Basic in order to utilize the historical data. Furthermore, we utilized the data by archiving in DVD-ROM.
著者
奥松 俊博 岡林 隆敏 永田 正美
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、高精度振動特性推定法による橋梁構造物の健全度診断とリアルタイムモニタリングの確立を目指したものである。移動体通信による可搬型動態観測・データ転送システムを用いて、実現場対応型のシステムへと発展させた。橋梁動特性や温度などの各種データの統合、高機能携帯端末による遠隔モニタリングにより、橋梁維持管理のためのユビキタス環境の構築を行なった。一方で、本研究で開発したシステムを実橋梁長期モニタリングに適用し、橋梁健全度診断を行うための基礎データの蓄積、すなわち気温等の環境変動に伴う、橋梁振動特性の年間変化を明らかにした。以下に研究実績を示す。(1)構造同定理論を用いた高精度振動特性推定法およびプログラム開発:健全度診断のための構造同定理論を用いた高精度振動特性推定法を適用し、実構造物の挙動から固有振動数の推定を行った。(2)リアルタイム計測システムの開発:小型センサを導入し、多点計測の有効性を確認した。その一方で橋梁構造物の健全度診断を行なうためには、長期モニタリングが必要となるため、現状では電源供給等に問題があることを認識した。よって本研究期間内の実橋長期モニタリングを行なう上では、従来の加速度計を適用した。(3)データ抽出等に関する検討:多機能携帯端末を利用したデータブラウジング、および実時間モニタリングシステムについて、必要情報の効率的抽出について検討および処理ソフトの開発を行なった。さらに遠隔地の管理事務所において統合化した情報を効率的に閲覧するためのモニタリングシステムを構築した。(5)実橋梁長期モニタリングの実施:実橋梁の長期遠隔振動モニタリング実験を行なった。固有振動数は季節的な温度変化により変化することを確認した。
著者
岡林 隆敏 中 忠資 奥松 俊博 Hao JIEXIN
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A (ISSN:18806023)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.474-487, 2008 (Released:2008-06-20)
参考文献数
33
被引用文献数
3 2 2

本論文では,常時微動自動計測システムの核となる算法を確立するために,常時微動多点観測により得られたデータに基づき多次元ARモデルから構造物の振動特性(振動数,モード減衰定数,振動モード)を高精度に自動推定する算法を提案した.橋梁の状態方程式で表した運動方程式を多次元ARMAモデルへ変換する構成法を明確にし,ここから誘導される多次元ARモデルから振動特性を自動推定する手法を示した.さらに,多点観測による多次元ARモデルと1点観測の1次元ARモデルの関係を示した.ランガー桁橋常時微動シミュレーション,5自由度系模型の常時微動実験,ランガートラス橋の常時微動実測に本手法を適用し,振動特性の自動推定の有効性を確認し,推定精度の検討を行った.