著者
坂尻 正次 岡田 伸一 竹内 恭彦 富田 英雄 和田 親宗
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 23.31 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.11-18, 1999-04-16 (Released:2017-06-23)

本研究の目的は、盲ろう者の指点字によるコミュニケーションを補助するための支援機器を開発することである。まず、振動を用いた指点字提示方式についての基礎的検討をおこない、最適な呈示条件を定めた。この呈示条件でコミュニケーション評価実験をおこない、健常者と盲ろう者が通訳者を介さずに直接コミュニケーションがおこなえることを確認した。
著者
青木 成美 吉野 嘉那子 渡辺 哲也 渡辺 文治 岡田 伸一 山口 俊光
出版者
日本ロービジョン学会
雑誌
日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
巻号頁・発行日
vol.8, pp.74, 2007

視覚障害者に広く使われている既存スクリーンリーダの漢字詳細読みの説明表現は、これらを使用する成人や中・高校生にとって理解しにくいものが少なからずあるといわれてきた。そこで、われわれはこれらに関して検討を行ってきたのでその結果のひとつを報告する。<br> 今回の報告で検討を行った漢字は、常用漢字1945文字から教育漢字1006文字を引いた939文字である。また、単語親密度を主たる指標とし、これら漢字の詳細読みをも新たに作成した。そして、この詳細読みの評価のため大学生を対象に漢字書き取り調査を行った。<br> 結果は、親密度の高い単語を含む詳細読み群は、親密度の低い単語を含む詳細読み群より有意に高い平均正答率が得られた。これは、調査対象者が大学生であったが、理解しやすい詳細読みを作成するにあたっては単語親密度をひとつの指標とすることが有効であることが示された。<br> 今回の調査では、サ変動詞化する名詞を名詞のまま呈示する場合と、動詞として「する」を付けて呈示する場合の正答率も比較した。しかし、両者の間には有意差がみられなかった。
著者
山口 雄仁 渡辺 哲也 岡田 伸一 鈴木 昌和 川根 深
出版者
日本大学短期大学部
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1998

本課題研究は大きく分けて,1.数式を含む文書の光学的文字認識(OCR)システムの開発と2.OCRされた文書の日本語による自動読み上げシステムの開発から構成される。それぞれについて,研究成果の概要は以下の通りである。1.については,(1)日本語・英語両方の文章から数式領域を正確に切り出す技術の確立,(2)数学記号認識の精度を大きく向上させる新たな特徴抽出法の研究や数学記号用認識辞書の整備,(3)認識結果をLa TeXを含む様々なファイル形式で出力する技術の開発などを行い,高度な理数系専門書でも精度よくOCR出来るようになった。また視覚障害学生でも,音声操作でOCRが出来るような環境を用意した。2.については,(1)La TeXで書かれた文章を汎用エディターに読み込み,それを文章解析して数式部分を日本語できちんと理解出来るように音声出力する,Windows汎用画面読み上げソフトウェアに対応した音声マクロを開発し,(2)評価実験を通してその音声マクロの読み上げ法や操作環境の改良を行った。その結果,ある程度理数系の専門知識がある学生であれば,容易に音声で理数系文書の内容が理解出来るようになった。以上の2つを組み合わせれば,墨字で印刷された理数系専門書に音声で十分アクセスすることが出来,理数系視覚障害学生が自立的に墨字文書を読む道が開けたと言える。これは,今後1と2が一体化したより汎用な「数式自動読み上げシステム」を開発する上で,重要な指針を与えるものである。