- 著者
-
牧島 一夫
高橋 忠幸
- 出版者
- 一般社団法人日本物理学会
- 雑誌
- 日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
- 巻号頁・発行日
- vol.67, no.12, pp.854-860, 2012-12-05
- 参考文献数
- 17
宇宙線の発見から百年を経た今年は,偶然,宇宙X線の発見から50年目にもあたる.初期にはおもに宇宙線研究者により開拓された宇宙X線の研究は,この半世紀で爆発的な発展を遂げ,宇宙を探る不可欠の手段としての地歩を固めた.ここでは多種多様なX線天体のうち,代表として中性子星に焦点を当て,この分野の黎明期の様子と,2014年に打ち上げ予定の日本のASTRO-H衛星とを結び,50年の歴史を往来しよう.以下,エネルギー0.1keV〜数百keV程度の高エネルギー光子を「X線」と呼び,より高いエネルギーを持つ「ガンマ線」と区別する.人名の敬称は,省略させていただく.