著者
新宅 賀洋 宮谷 秀一 岡田 真理子 甲田 光雄 奥田 豊子
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 (0xF9C2)社会科学・生活科学 02 社会科学・生活科学 (ISSN:03893456)
巻号頁・発行日
vol.49, no.1, pp.49-59, 2000-08
被引用文献数
2

低エネルギー, 低タンパク質の完全菜食がヒトの健康にどのような影響をおよぼすのかを検討した。対象はある医師の指導のもとで玄米, 野菜, 豆腐を中心とした完全菜食を45日間摂取したボランティア (菜食者) であった。完全菜食摂取前と摂取6週問後に食事調査, 体格, 体組成の測定, 血液検査などを行い, 非菜食者の成績と比較した。完全菜食の栄養学的な特徴は低エネルギー, 低タンパク質ではあるが, ビタミン, ミネラルや食物繊維を多量に摂取していたことである。完全菜食では摂取エネルギーの不足を, 体脂肪を燃焼させて補い, 体脂肪・体重が減少した。完全菜食の摂取脂肪酸組成は非菜食者のものと大きく異なり, 飽和脂肪酸と一価不飽和脂肪酸の割合が少なく, リノール酸の割合が高かった。またn-6/n-3比も高くなっていた。しかし, 血漿脂質の脂肪酸組成は非菜食者と差が認あられなかった。血液性状からみて低栄養状態, 貧血症状は認あられなかった。以上の結果より完全菜食は低エネルギー, 低タンパク質の食事で, 摂取脂肪酸組成も大きく異なっているが, 脂肪酸代謝に大きな影響を与えず, 生理学的な面での問題点は認められなかった。
著者
岡田 真理紗
出版者
NHK放送文化研究所
雑誌
放送研究と調査 (ISSN:02880008)
巻号頁・発行日
vol.70, no.8, pp.78-87, 2020 (Released:2021-04-16)

本稿では、NHKが2020年3月に実施した全国電話世論調査の結果をもとに、日本の社会に外国人が増えることへの国民の意識や外国人と共生するための課題などについて述べる。外国人労働者の受け入れを拡大する改正出入国管理法が施行されて2020年4月で1年になるが、日本で働く外国人が増えることについては、賛成する人が70%と多数を占めている。しかし、自分の住む地域に外国人が増えることに賛成する人は57%にとどまる。日本に外国人が増えることに賛成する人でも5人に1人は、自分の住む地域に外国人が増えることに反対している。 自分の住む地域に外国人が増えることへの不安では、「言葉や文化の違いでトラブルになる」と「治安が悪化する」を挙げた人が多く、国や自治体に取り組んでほしいことでは、「生活上のルールを教えること」が最も多い。一方、外国人が増えることへの期待では、「新しい考えや文化がもたらされる」が最も多く、自分の住む地域に外国人が増えることに反対する人でも約6割が、外国人の増加に何らかの期待を抱いている。 外国人労働者が家族をともなって日本で暮らす「家族帯同」については、条件を緩和して今より広く認めるべきだという人は33%にとどまるが、日本で暮らす外国人の子どもに対しては、国や自治体の財政負担が増えたとしても日本語を十分に教えてほしいと思う人が79%にのぼっている。