著者
岡邊 健 原田 豊
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
no.31, pp.118-133, 2006-10-18
被引用文献数
1 1

大都市を擁するQ県の非行記録を用いて,1986年生まれコホートの非行経歴の分析を行った結果,以下のような知見が得られた.(1)16歳時点の累積実検挙者率は,男子で10%,女子で4%であり,男子では78年コホートに比べて非行の裾野が広がっているとはいえないが,女子では非行の裾野が広がっていると思われる.罪種別にみると,自転車盗・占有離脱物横領の実検挙者数が多い.(2)年齢別の実検挙者数でみると,ピークは男女とも15歳である.(3)総検挙回数の平均は,男子が1.5回,女子が1.3回である.男女とも,繰り返しの回数がピークに達するのは15歳である.(4)初回の検挙から48週以内に再検拳されるのは,再犯時の罪種を考慮しない場合,20%弱,同一罪種での再検挙だと6%程度である.凶悪犯・租暴犯やオートバイ盗で再犯率が高い.(5)罪種の特化傾向は,凶悪犯・粗暴犯で男女ともに比較的高く,オートバイ盗は女子で高い.また,区悪犯・粗暴犯の全体に占める割合でみるかぎり,非行の回次が進むにつれて,個人内で非行の深化が起きていると推定される.
著者
岡邊 健 平井 秀幸 西本 佳代 竹中 祐二 相良 翔 藤間 公太 都島 梨紗 山口 毅 相澤 育郎 宇田川 淑恵
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、非行からの離脱の具体的態様(離脱を促したり困難にしたりする諸要因)を明らかにすることを主目的とする。第一に、批判的犯罪学と呼ばれる研究群の知見に基づいて、離脱をめぐる諸課題について、理論的・規範的な検討を行う。第二に、非行からの離脱プロセスの態様を探るために、少年院出院者、元非行少年に対する就労支援に関わる当事者へのインタビュー調査を行う。第三に、非行からの離脱における規範(望ましい離脱のあり方)の形成・発展過程を明らかにするために、新聞・雑誌記事の内容分析を行う。