著者
岡部 嘉幸
出版者
千葉大学文学部日本文化学会
雑誌
語文論叢 (ISSN:21878285)
巻号頁・発行日
no.28, pp.96-75, 2013-07
著者
岡部 嘉幸
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究課題では、現代語でも近世後期江戸語でも用いられる複数の文法形式(助動詞など、文法機能を果たす形式、たとえば、ハズダやカモシレナイなど)について、当該形式の近世江戸語での意味・機能的な特徴を、近世後期江戸語と文法体系の似通っている現代語との比較・対照という手法を用いることで明らかにした。また、本研究課題における文法形式の分析の中心は、モダリティ形式であったが、この分析の過程で、先行研究において議論の錯綜している「モダリティ」という文法概念の再検討も行った。さらに、江戸語資料の資料ジャンルの多様性や言語量の確保のため、他の研究課題と連携しつつ、人情本・洒落本のコーパス化も行った。
著者
岡部 嘉幸
出版者
千葉大学文学部
雑誌
千葉大学人文研究 (ISSN:03862097)
巻号頁・発行日
no.40, pp.1-16, 2011

千葉大学「人文研究」第40号
著者
田中 牧郎 岡島 昭浩 岡部 嘉幸 小木曽 智信 近藤 明日子
出版者
独立行政法人国立国語研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

明治後期から大正期にかけて進んだ「言文一致」という出来事について,コーパスを活用して,精密かつ見通しよく記述することを通して,コーパス言語学の方法を日本語史研究に適用することを目指した。言文一致にかかわる言語現象のうち,コーパスを活用して記述することで,新たな日本語史研究の視野が拓けると想定されるものとして,語彙体系の変化,待遇表現構造の変化,テンス表現の変化の三つを取り上げて,『太陽コーパス』(言文一致期にもっともよく読まれた総合雑誌を対象とするコーパス)を用いた分析を行い,その成果を発表した。語彙体系については,動詞を例に,言文一致期に定着する語と衰退する語とを対比的に分析した。また,待遇表現構造については,二人称代名詞を例に,会話の文体や,話し手と聞き手の階層や性別の観点から分析した。さらに,テンス表現については,口語助動詞「テイル」「テアル」が定着する用法と,文語助動詞「タリ」が残存する用法とが相補関係にあることなどを解明した。いずれの研究においても,コーパスを用いることによって,共起語,出現文脈,出現領域などを定量的に考察することができ,共時的な構造分析の方向にも,通時的な動態分析の方向にも,新しい展開を図ることができた。コーパスを使わない従来型の研究では実現不可能だった,精密で見通しのよい記述を達成することができ,コーパスを日本語史研究に導入する意義を具体的に確かめることができた。また,コーパス分析ツールとして,XML文書へのタグ埋め込みプログラム『たんぽぽタガー』を開発し,使用説明書とともにweb上で公開した。このツールの公開は,コーパス言語学による日本語史研究の利便性を高める効果が期待できる。