著者
岡野 高之 大森 孝一
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.124, no.5, pp.715-723, 2021-05-20 (Released:2021-06-02)
参考文献数
59

超高齢社会を迎えた日本では介護予防プログラムとして認知症予防が挙げられており, 介入方法の探索や有効性の検証が社会的急務となっている. 難聴と認知症の関連は以前から調査が行われており, Livingston らによるメタアナリシスでは, 中年期の難聴をほかの8つの因子とともに認知症のリスク因子として挙げている. 今後難聴に対する早期介入による認知症の予防効果の評価が待望されている. 本稿では補聴器装用による認知機能への影響を検討した従来の報告の概要をまとめるとともに, 臨床研究を行う上で特に臨床試験デザイン, 難聴や介入する対象の定義,用いる認知機能評価尺度の問題点について示した. また難聴の存在が認知機能評価の結果に与える影響を現在頻用される評価尺度の特徴とともに解説し, 今後行われるべき補聴器装用等の介入による認知症予防効果の検証の際に想定される留意点を述べた. さらに認知症に伴う聴覚や音声の変化についても記載した. 最後に聴覚や音声に依存しない認知機能評価について従来の報告と著者らの開発した ReaCT Kyoto について紹介した. 今後 ReaCT Kyoto を検者の技量や習熟度に依存しない認知機能の評価方法として活用し, 難聴者を含めた簡便な認知症患者のスクリーニング方法の一つになることが期待される.
著者
森田 武志 藤木 暢也 倉田 響介 岡野 高之
出版者
The Society of Practical Otolaryngology
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.92, no.12, pp.1355-1357, 1999-12-01

A 49-year-old male was treated for chronic tonsillitis with brachytherapy 40 years ago. The inflammation of the tonsils was improved by the treatment. On August 18th, 1998, he consulted our hospital complaining of sudden throat pain. The pain deviated to the left, intensified with eating and continued for several hours every day for one month. An X-ray revealed a metallic foreign body in his left tonsil. A left tonsillectomy was done on January 14th, 1999, and the foreign body was removed completely. It was a small gold tablet, 3×1×1mm in size. A scintillation counter proved that the metallic foreign body was a radon (<sup>220</sup>Rn) seed. This is a rare case of a radon seed buried in the left tonsil of a patient for 40 years.